子どもの高次脳機能に眼を凝らす 病弱児とAI活用 ~人とつながるための生成AI

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2026.08.28

子どもの高次脳機能に眼を凝らす 病弱児とAI活用 ~人とつながるための生成AI

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■    はじめに
■□   新連載:子どもの高次脳機能に眼を凝らす
■□■  連載:病弱児とAI活用 ~人とつながるための生成AI
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■□ はじめに ■□--------------------------
脳が一通り完成している成人が交通事故などで脳に損傷を受けて起きる高次脳機能障害はよく知られています。その対処もいくつかの病院で行われて成果を出しているようです。一方、脳の機能自体が発達を続ける途中で脳炎などで発症し、その病気が収まった後も脳の機能が発達をしていく子どもの高次脳機能障害はまったく異なるようです。

本メルマガでは、栗原まな先生の「小児の高次脳機能障害」などの著書や、日本脳外傷友の会※東川悦子さんの活動の紹介をしてきました。ようやく「子どもの高次脳機能障害」について実践研究者の方の寄稿が本メルマガに掲載できることを、編集者として大変うれしく思います。


 

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■ 新連載:子どもの高次脳機能に眼を凝らす
       第1回 私と子どもと高次脳機能
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■私と高次脳機能障害の出会いと再会
クリストファー・ノーラン監督の初期の名作に『メメント』※1があります。脳の障害によって数分から十数分しか記憶が保持できない主人公が、自分や妻を損なった事件の真相に迫っていくサスペンス映画です。私が鑑賞したのはもう何十年も昔になってしまいましたが、今でも身体に記憶を刻む主人公の姿は脳裏に焼きついています。鏡に映る自分の体。そこに忘れ去られてしまった過去の自分が体に刻んだメッセージがある。記憶という機能が人間の根幹に深く根ざしていることをまざまざと見せつけられる映画でした。まだ学生の時分でしたが、“人間とはいかなるものなのか”という深い部分に刺さる映画として今も消えない記憶として残っています。思えば私が高次脳機能というものをはじめて“見た”のはあの作品だったかもしれません。

※1 メメント(Memento, 2000)監督:クリストファー・ノーラン|主演:ガイ・ピアース、キャリー=アン・モス、ジョー・パントリアーノ|113分・アメリカ

それから年を重ねて小児科医となった私は、人間の深い部分に関与する脳への興味も相まって小児神経科医の道に進みました。駆け出しの私は上司たちに背中を見守られながら、実際に神経の疾患を抱えた子どもたちと関わっていきます。そんな日々の中で私は、あの日フィルムの向こうに見た高次脳機能障害と、現実の世界で再び顔を合わせる事になったのです。

■明日を変えてしまう小児の急性脳炎・脳症
皆さんは急性脳炎・脳症という疾患をご存じでしょうか。新型コロナウイルスのパンデミックの折、小児を襲う重篤な病態として急性脳症が取り上げられていたため、記憶に残っている方もいるかもしれません。急性脳炎・脳症は多様な原因、症状によって細分化される疾患群です。今ではその分類も整備されてきていますが、ややこしいのでここではわかりやすさを優先して説明しようと思います。

急性脳炎・脳症は、急激な意識障害やけいれんなどを引き起こす中枢神経疾患の総称です。その原因や病態はさまざまですが、小児ではウイルスなどによる感染症を契機として発症することが少なくありません。
脳炎では、病原体が脳に直接感染するほか、本来は体を守るはずの免疫が誤って脳を攻撃する自己免疫反応によって、脳に炎症が生じることもあります。
一方、急性脳症では、感染症をきっかけとする過剰な炎症反応、エネルギー代謝の破綻、長いけいれんに伴って神経細胞が過剰に活動し続けることなどが、脳の障害に関与すると考えられています。

日本国内の小児急性脳症で最も頻度が高いのは、「けいれん重積型(二相性)急性脳症」と呼ばれる病型です。感染症を契機に長いけいれんなどで発症し、その後、神経細胞の過剰な活動によって脳が傷つくと考えられています。症状や重症度は病型によってさまざまですが、ある日突然、子どもの脳に障害をもたらし得るという点は共通しています。

近年、急性脳炎・脳症の病態解明は進んでおり、それに伴って、病態に応じた免疫治療など、治療面での進歩も見られるようになってきました。もちろん、その歩みはまだ始まったばかりですが、以前に比べれば、医療者が提示できる治療の選択肢は少しずつ増えています。しかし残念ながら、今も急性脳炎・脳症によって脳を傷つけられる子どもたちは、決して少なくありません。

小児神経科医の道に進んだ私を待っていたのは、そうした急性脳炎・脳症の子どもたちでした。朝まで普通に家族と話していた子が、その日の夜に突然意識を失い、集中治療室で大がかりな治療を受けることになる。そんな残酷な目に遭う子どもと相対することはこども病院や大学病院において珍しいことではありませんでした。もちろん治療が上手くいくこともあります。ですが、残念ながら多くの子どもたちが病前にはなかった苦労を背負い込むことも多かったのです。本当に急性脳炎・脳症は恐ろしく、子どもも家族も深く傷つけていく嫌な病気です。

■急性脳炎・脳症に潜む「高次脳機能障害」
更に厄介なことに、急性脳炎・脳症の恐ろしさはそこに留まりません。私が経験を重ねる中で痛切に突き付けられたのは、急性期の治療がうまくいったからと言って安心できないということでした。学校や家庭に戻ることができた子どもたち。その一見治療がうまくいった子どもたちの中、決して少なくない子どもたちが病院では気づけなかった問題を抱えてしまうのです。昔のように勉強ができない。昔のように友達づきあいができない。そうした「昔」との沢山のズレが子どもたちを苦しめ、折角戻ることができた居場所が子どもたちにとって苦難の場所となりました。

経験の浅い私はその「上手くいかない」の根源をすくい上げることがなかなかできませんでした。今振り返っても反省ばかりが浮かびますが、当時の私には「その問題」を見える化する経験も知識もなかったのです。当時の私が出会っていながらも可視化できなかった「その問題」。それこそが「高次脳機能障害」でした。
こども病院、大学病院。神経集中治療の現場で急性脳炎・脳症と対峙し続ける中で、私は徐々にその見えない「問題」の輪郭に近づいていきました。お恥ずかしいことに沢山の子どもたちの「問題」を見せられ続けることで、少しずつその奥に何かがあると気づき、手あたり次第可能性を探ることでようやく「高次脳機能障害」という問題と結びつけることができるようになったのです。

私はその後一旦病院での勤務を離れ、大学院で急性脳炎・脳症のメカニズムに関わる研究に取り組む日々を送りました。急性脳炎・脳症の病態を再現するマウス実験に取り組む毎日でしたが、けいれんや炎症を誘発する介入によって行動が変化するマウスと向き合いながら、その向こう側にはかつて診療にあたってきた急性脳炎・脳症の患児たちが思い浮かんでいました。

再び大学病院での診療に戻ると、当然ながら急性脳炎・脳症を取り巻く状況は変わっています。急性脳症の分類はよりメカニズムに即して整備されていましたし、免疫の関与が考えられる一部の病態では、免疫反応の特定の経路を抑える分子標的薬も、治療の選択肢として用いられるようになっていました。結果として、急性脳炎・脳症の子どもたちが入院してきたとき、医療者側が言えること、できることは確実に増えていました。私自身も急性脳炎・脳症を研究者視点という異なる視点で考えた日々により、より疾患の輪郭を掴むことができていたように思います。

しかし、それでもなお、私の診療実感では、退院後に家庭や学校で困りごとを抱える子どもたちは、依然として少なくありませんでした。
意識がおかしい、けいれんしている、手足が動かない――これらは脳の障害によって起こりうる症状であり、誰もが「何かがおかしい」とすぐに気づくことができる症状です。一方で、退院後の子どもたちが抱える困りごとの中核は、驚くほど見えにくいものでした。「長い間入院していたのだから、ちょっと元に戻るには時間がかかるのだろう」と、医療者も家族も教育関係者も考えてしまいがちでした。実際、問題の表面だけをみると、勉強がうまくできない、友達関係がぎくしゃくしている、家で親にイライラしてしまう、といった言葉に落とし込むことが可能であり、それらは子どもたちが成長の過程で大なり小なり抱えうる、ありふれた問題ともとれます。
しかし、子どもたちの困りごとをそうした「ありふれた問題」としていったん蓋をしてみても残念ながら時間が解決してくれるなんてことはありませんでした。ただいったん「ありふれた問題」というレッテルを貼られてしまうとそれをはがすのは容易ではありません。慣れることで周囲の人間も、当事者である子ども自身もいつの間にかその困りごとを諦めてしまうことになります。

■「高次脳機能障害」をみる一歩
私は長い時間、多くの急性脳炎・脳症を患う子どもたちと関わることでようやくこの負のスパイラルを脱する切り口を掴みかけていました。「脳の新しい問題がこれらの根底にあるのではないか」という仮定をひとつ挟むことで、こうした問題たちの表情が一変したのです。

病前は難なくできていた学校の準備が苦手になったこと。その背景に脳の問題を想像すると「遂行機能障害」という可能性が浮かんできます。授業をその場で理解できても定着できなくなったことだって、脳の問題を想像すると「記憶障害」という言葉が浮かんできます。同様にして、友人や家族との関係がうまくいかなくなった背景に「感情コントロールの問題」といった変化の可能性を挙げられるようになります。脳の問題、すなわち高次脳機能障害が背景にある可能性を考慮に入れることで、私たちは「問題」をもう一歩深く考えることができるのです。そして、これらの高次脳機能障害は、その存在を疑い、それを評価するにふさわしいアプローチを用いて初めて、あるのかないのかを確かめることができるのです。つまり、工夫してみようとしないとみえないもの、それこそ「高次脳機能障害」なのです。

私はこの回路を手に入れたことにより、退院後新たな問題を抱える子どもたちに高次脳機能障害という可能性を思い浮かべ、その原因を探るようになっていきました。あくまで私の経験範囲での実感ですが、小児の認知機能評価ではWISC-V※2やKABC-II※3といった包括的な知能検査、FAB※4のような前頭葉機能の簡易スクリーニングが中心であり、個別の高次脳機能を詳しく掘り下げる評価は、必ずしも広く行われていないのが実情でした。ですが、「問題」の根っこを探るには、それだけではとても足りません。疑うことで「高次脳機能障害」のしっぽを掴んだ私は小児に応用されている高次脳機能評価の方法を文献から紐解き、見様見真似で実践するようになりました。
「問題」の原因を探る――その目的意識さえはっきりしていれば、先人の少ない獣道を行くことも、さほど苦にはなりませんでした。そうして不器用ながら身に着けた高次脳機能評価という武器を片手に、鬱蒼と生い茂った「問題」の森へ分け入っていくと、かつては見えていなかった「問題」の顔が、ようやくその姿を現し始めました。

※2 WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children-Fifth Edition)は、5歳から16歳までの子どもを対象に、ことばの理解、考える力、記憶、作業の速さなどを幅広く調べる検査。得意なことや苦手なことなど、その子どもの認知的な特徴を捉えるために用いられる。

※3 KABC-II(Kaufman Assessment Battery for Children-Second Edition)は、2歳6か月から18歳までを対象に、物事を理解したり考えたりする力と、読み・書き・算数などの基礎的な学力を調べる検査。認知面と学習面をあわせて見ることで、その子どもが「どのように考え、どのように学びやすいか」を捉え、学習支援を具体化する手がかりになる。

※4 FAB(Frontal Assessment Battery)は、成人を対象として開発された前頭葉機能の簡易評価法である。小児への応用例も報告されているが、年齢や発達段階を踏まえて結果を解釈する必要がある。

文章問題の苦手さの背景に「ワーキングメモリーの低下」が見つかったとき、短いステップに分けて取り組むことを提案するだけで、学習は格段に進んでいくことを経験しました。またその子の場合は、「ワーキングメモリー」という課題が浮き彫りになったことで、マルチタスクをなるべく避ける、音読や聞き取りは細かく区切って進めるといった、具体的な環境調整を組み立てることができます。そうした対策のひとつひとつはなんとなく様子を見ていた「問題」の重さを確かに軽くしてくれました。この具体的にアプローチできるという感覚は私をより一層高次脳機能評価の道へ誘っていったのです。

高次脳機能障害そのものを治す特効薬は今のところありません。しかし、それを見える化することによって、問題への具体的な方策を立てることは十分に可能になります。この図式を念頭に改めて冒頭で紹介した『メメント』を振り返ります。すると『メメント』にはすでに高次脳機能障害を見える化する大切さが描かれていたことに気づかされます。主人公が記憶障害を乗り越えるため、記憶の外部装置として言葉を自分の体に刻んだことは、まさに記憶障害を自覚して具体的な方策を立てた一例だったのです。

こうして「問題」の奥に潜んでいた「高次脳機能障害」が可視化されたことは、私に新しい俯瞰する視点を与えました。そして、その俯瞰視点は小児神経の世界の見えていなかった部分も少しずつ照らし出していきます。照らし出された部分。それは小児と高次脳機能という関係の難しさでした。小児の領域では、成人領域以上に「高次脳機能障害」は隠れたままになりやすく、それを見ようとする人も少ないことに気づかされたのです。かつての私自身、この見えない世界の中にいたのだと気付かされました。

ではなぜ、子どもの高次脳機能障害はこれほどまでに隠れてしまっているのでしょうか。(連載第2回:「子どもの高次脳機能障害が見えない理由」につづく)

◇森 貴幸 
東京大学小児科
千葉県市川市出身。山梨大学医学部医学科卒業。東京大学小児科、東京都立小児総合医療センターでの勤務を経て、東京大学小児科助教。その間に東京都立医学総合研究所こどもの脳プロジェクトで急性脳炎・脳症研究に従事。

 

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■ 連載:特別支援教育から考えるAIとの付き合い方
       第10回 病弱児とAI活用 ~人とつながるための生成AI~
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病気の治療のために入院している子どもたちは、病院で治療を受けながら学んでいます。
院内学級で学習したり、体調によっては病室で学習したりすることもあります。また、入院前に通っていた学校(原籍校)とオンラインでつながり、授業や学級活動に参加することもあります。

入院によって変わるのは、学ぶ「場所」だけではありません。
昨日まで毎日会っていた友達に会えない。学校でどんなことが起きているのか分からない。治療や検査によって学習できない日がある。そして、退院が近づけば、「学校に戻ったとき、みんなとこれまで通り話せるかな」と不安になることもあるでしょう。
では、このような子どもたちの学びに、生成AIは何ができるのでしょうか。今回は、病気の治療を受けながら学ぶ子どもたちとAIに関する研究を手がかりに考えてみたいと思います。

病弱児と生成AIに関する教育研究は、現時点ではまだ十分に蓄積されているとはいえません。一方で、病気の治療を受ける子どもと生成AIとの関わりを検討した研究が少しずつ登場しています。

Haseiら(2025)は、小児およびAYA世代(概ね15~39歳)のがん患者を対象として、生成AIチャットボットを活用した研究を行っています。小中学生には友達のような話し方をするAI、高校生以上には心理学を学んでいる大学生のようなAIを設定し、対話しやすいように工夫しています。
興味深いのは、参加した5名のうち4名が「AIにだけ話せた話題があった」と答えていることです。医療者や家族には伝えていなかったことを、AIには話していました。この研究は5名を対象とした小規模なパイロット研究であり、結果は一つの示唆として捉える必要がありますが、病気や治療を受ける子どもと生成AIとの関わりを考える上で興味深い結果です。

病気や治療について感じていることを、いつでも誰かに話せるとは限りません。「こんなことを言ったら心配されるかな」「先生や家族には言いにくいな」と感じることもあるでしょう。
そんなとき、AIとの対話を通して自分の気持ちを整理し、それを教師や家族、医療者に伝えていくという使い方が考えられます。人に話すための一歩手前にAIがいるという使い方です。

では、学習や学校とのつながりについてはどうでしょうか。
Marell-Olssonら(2021)は、長期の治療を受ける子どもが、人や学校とのつながりを維持するためにAIなどの技術をどのように活用できるかを検討しています。ChatGPTのような生成AIが普及する以前の研究ですが、現在の生成AI活用を考える上でも興味深い視点が示されています。それは、AIを子ども一人で何かをするための道具としてではなく、人や学校とのつながりを支えるための技術として捉える視点です。

そこでは、子どもが他者と交流すること、学校での活動に参加すること、学校とのつながりを維持することが重視されています。また、子どもが闘病の日々を自分で記録し、気持ちを整理したり、あとで友達に自分の言葉で語ったりすることも提案されています。子ども自身が自分の物語の主導権を握るためにテクノロジーを使うという考え方です。

この「つながる」という視点は、病弱教育におけるICT活用でも大切にされてきました。
SpodenとEma(2024)は、日本とドイツにおけるアバターロボットの活用について報告しています。日本ではOriHime、ドイツではAV1などを活用し、病気の治療のために学校へ通えない子どもと教室をつなぐ取り組みが行われています。
病院にいる子どもの代わりにロボットが教室にいて、子どもは病室などから授業に参加したり、友達とコミュニケーションを取ったりします。ここで大切にされているのは、「病院にいる子ども」と「いつもの教室」をどうつなぐかという考え方です。

生成AIも、人や学校とつながるための準備や橋渡しとして活用できると思います。
例えば、久しぶりに原籍校の友達とオンラインで交流することになった子どもが、「みんなに何を話そう」「病気のことを聞かれたらどうしよう」と不安になることがあるかもしれません。
そんなとき、「明日、久しぶりにクラスのみんなと話します。最近あったことを30秒くらいで話せるように一緒に考えて」と生成AIに相談することができます。自分が伝えたいことをAIとの対話で整理してから、友達との交流に参加するのです。

教科学習でも同じような活用が考えられます。
入院中も原籍校では授業が進んでいきますが、治療や体調の影響によって、同じ時間、同じ内容を学習できるとは限りません。
そこで、「この単元で特に大切なことを三つ教えて」「次の授業に参加するために、知っておいた方がよいことを教えて」と生成AIを使って学習内容を整理することができます。生成AIの説明には誤りが含まれることもあるため、教師が内容を確認できる形で使うことは必要です。

こうした使い方は、休んだ分をすべて「取り戻す」ことを目指すものではありません。入院前の学びと、院内学級での学び、そして原籍校に戻った後の学びをつなぐための活用です。

AIやICTの活用では、その子の体調や気持ち、これまでの学級との関係を踏まえて、「この子にとって、今、この使い方が助けになるのか」を考えることも大切です。その判断には、子どものそばにいる教師や保護者、医療者の視点が欠かせません。
病院では、子どもが「患者」として過ごす時間が多くなります。診察を受け、検査を受け、治療を受ける。一方で、入院している今も、その子は学校で学び、友達と関わりながら成長している一人の子どもです。

勉強して「分かった!」とうれしくなることもあれば、友達とくだらない話をして笑いたいこともあります。先生に自分の頑張りを見てもらいたいこともあれば、久しぶりに教室へ戻ったときに、友達から「おかえり」と迎えてもらうことを楽しみにしている子どももいるでしょう。
生成AIは、学習内容を整理したり、自分の気持ちを言葉にしたり、誰かに伝えるための準備を手伝ったりすることができます。そして、その先には、友達と話す、教師に気持ちを伝える、原籍校の授業に参加する、教室へ戻るといった、人との具体的な関わりがあります。
だからこそ、「AIに何をさせるか」だけではなく、「AIを使って、この子を誰と、何とつなぐのか」という視点が大切なのだと思います。

病室と院内学級をつなぐ。院内学級と原籍校をつなぐ。これまでの学びと、これからの学びをつなぐ。そして、子どもと友達や先生をつなぐ。
生成AIを、病院で一人で学ぶためだけの道具ではなく、病院にいても人とつながりながら、その子らしく学び続けるための道具として活用していく。そんな可能性を探っていくことが、これからの病弱教育に求められているのではないでしょうか。

【参考文献】
 
Spoden, C., & Ema, A. (2024). Staying connected: Implementing avatar robots at schools in Germany and Japan. Frontiers in Digital Health, 6, 1273415. 

◇山崎 智仁
山口県立大学 社会福祉学部 社会福祉学科 講師。臨床発達心理士。
特別支援教育を専門とし、知的障害のある子どもを中心に、ICTや生成AIを活用した教育支援の実践・研究に取り組んでいる。
特別支援学校教員としての勤務経験を経て現職。
近年は、AI時代における教師の専門性や倫理的配慮を踏まえた支援の在り方について検討を重ねている


■□ あとがき ■□--------------------------
病院から外になかなか出られない子どもに楽しんでもらおうと、病院に演劇を出前する試みがあります。2026年10月4日(日)、東京小児療育病院・桑原ホール(東京都武蔵村山市)にて、舞台作品**『ピーターパンと影』**の無料公演が予定されています。
子どもたちが病気や障がいの有無にかかわらず、家族とともに舞台芸術に触れ、楽しむ機会を届けたいとの思いから企画された公演です。

現在、公演の実現に向けてクラウドファンディングも実施されています。
ご関心をお持ちの方は、下記ページより取り組みの詳細をご覧ください。

『ピーターパンと影』プロジェクト詳細 

脳バランサーキッズ2が、町田市トライアル発注認定制度の認定を受けることができました。本社所在地である地元の町田市にご評価いただけることはとてもうれしく、皆様にもご報告させていただきます。

町田市 第14回(2026年度)トライアル発注認定商品 

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