教室で何が起きているのか Scratchとmicro:bitに見る"学びの変化" 、メルマガBN

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2026.06.12

教室で何が起きているのか Scratchとmicro:bitに見る"学びの変化" 、メルマガBN

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■    連載:教室で何が起きているのか Scratchとmicro:bitに見る"学びの変化"
■□   コラム:困りの当事者からのメッセージ・1
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■ 連載:子どもたちの創造性を育むために~必修化から5年、小学校プログラミング教育の今
       第2回 教室で何が起きているのか ~Scratchとmicro:bitに見る"学びの変化"~
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前回は、「小学校プログラミング教育の目的と現状」について整理しました。今回は、実際の教室でどんな教材が使われ、どんな学びが起きているのかを見ていきます。

前回と同じアンケート調査(n=168、うち小学校75)によると、小学校では主に「算数」や「理科」の授業にプログラミングの内容が組み込まれています。算数では図形の作図や規則性の理解を通じて、繰り返しや条件分岐(プログラミングの基本的な考え方。「繰り返し」は同じ処理を何度も実行する仕組み。「条件分岐」は「もし〇〇なら△△する、そうでなければ□□する」というように、状況によって処理を変える仕組み)を使ったプログラミングの活動が行われています。理科ではセンサーを活用し、「環境の変化に合わせて動作が変わる仕組み」を考えさせる実践が多く見られます。こうした活動を通じて、子どもたちは自分が行ったプログラミングが「なぜそうなるのか」手順として考え、その思考の過程を目に見える形で確認できるようになります。

こうした学びを支える教材として、最もよく使われているのが Scratch(スクラッチ)※1です。テキストでプログラミングするのではなく、命令を「ブロック」で組み合わせていく仕組みで、難しい文法を気にせず試行錯誤できるのが大きな特徴です。自分の考えをすぐに形にして、結果を見ながら直していける。「試す→確かめる→改善する」のサイクルを自然に回せるのがScratchの良さです。

※1 Scratch マサチューセッツ工科大学(MIT)が開発した、子ども向けの無料プログラミング環境。文字を入力する代わりに、色分けされた「命令ブロック」をパズルのように組み合わせてプログラムを作る。

二番目によく使われているのが、ハードウェア教材の micro:bit(マイクロビット)※2です。光・温度・加速度といったセンサーを本体に内蔵しており、書いたプログラムを実際の機器として動かせるのが特徴です。明るさに応じてLEDの表示を変えたり、温度の変化に反応させたりといったプログラミング活動を通して、子どもたちは自然現象とプログラムのつながりを体で実感しながら理解していくことができます。

※2 micro:bit 英国BBCが教育目的で開発した、手のひらサイズの小型コンピュータ基板。光・温度・動き(加速度)などのセンサーとLEDディスプレイを内蔵しており、自分でプログラムを書いて実際に動かすことができる。物理的に手で触れられる教材である。

こうした学びで効果的なのが、「まねる→変える→つくる」という3段階です。まず既存のサンプルプログラムをそのまま動かしてみる。次に条件を少し変えて、結果がどう変わるかを試してみる。そして最終的に、自分が実現したいアイデアをゼロから形にしていく。この流れを踏むことで、子どもたちは無理なく創造的な活動へと進んでいけるのです。

特に注目したいのが、この学び方が多様な子どもたちに向いているという点です。視覚的な操作性と即時フィードバックされる仕組みは、プログラミングへの心理的なハードルを下げてくれます。言葉での説明だけでは理解しにくい子どもにとって、「やってみたら分かった」という経験が比較的得やすく、また正解がひとつではない活動だからこそ、それぞれのペースで進めやすいという面もあります。

実際、特別支援教育の現場でもこうした特徴は有効に働きます。例えば、文字を読むことや言葉での説明を理解することが苦手な子どもでも、ブロック操作のわかりやすさや、結果がすぐに現れる仕組みが成功体験につながりやすく、学ぶ意欲を保つことにもつながります。試行錯誤しながら「できた」という実感を積み重ねていくことが、自信になっていきます。

プログラミング教育を行う意味は、技術を身につけさせることにあるのではなく、考えて、試して、また考えるというその過程にあります。ただ、こうした取り組みがすべての学校で十分に広がっているかというと、現実はそうではありません。次回は、その背景にある課題と、今後のあり方について考えていきます。

◇望月 陽一郎(もちづき よういちろう) 
大分県立芸術文化短期大学 非常勤講師。
長年にわたり、学校現場におけるICT活用やプログラミング教育の推進、教員研修の講師などに尽力。自身が運営するサイト「mochizuki.net」では、micro:bitを用いた「サンプルプログラミング集」を無償公開しており、プログラミング教育の活動については、2019年に「学情研デジタル学習教材コンクール 学情研賞」を受賞。「まねる、変える、そしてつくる」をコンセプトに、子どもたちがテクノロジーを「魔法の箱」ではなく、自らのアイデアを形にするための「道具」として使いこなせるようになるための環境づくりを提唱している。
 
関連リンク mochizuki.net(個人サイト)micro:bitプログラミング集(無償公開中)



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■ コラム:メルマガ・バックナンバーのおすすめ
        第3回 困りの当事者からのメッセージ・1
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15周年記念バックナンバー紹介の3回目、困りの当事者に寄稿していただいた連載を紹介させていただきます。

1.知っておいてほしい!「障害者就労支援」アレコレ

最初にご紹介するのは、ご自分でも「発達障害のある精神保健福祉士・社会福祉士と称されている下茉莉(しも まり)さんによる連載です。『知っておいてほしい!「障害者就労支援」アレコレ』は、自分らしい働き方を見つけるための知恵が詰まったコラムで、2023年3月から7月まで間を空けながら6回の連載です。

当事者であり精神保健福祉士などの資格を持つ下さんが、現場目線から実践的な防衛策を伝授します。連載では、合理的配慮を受ける「障害者雇用枠」と自己理解が試される「一般枠」の選び方、自分に合った就労移行支援事業所の見極め方を解説。さらに、障害者を社会から隔離しかねない「障害者雇用代行ビジネス」の課題にも鋭く切り込みます。

また、「離職支援は可能性の宝庫」と捉え、辞めたい気持ちを自己理解や環境調整の好機に変える温かい視点を提示。心身を守るための上手な休職法や、傷病手当金などの公的制度を活用した「損をしない立ち回り方」、再就職に向けた自宅の視覚情報を減らすリハビリ環境の整え方まで、具体的かつ実践的なヒントが満載です。

「自分を知り、制度や支援者を頼って納得のいく選択をする」ことの大切さを一貫して説く本作は、悩める当事者はもちろん、ご家族、支援者、企業の雇用担当者にとっても、優しく背中を押してくれる必読のバイブルです。

2.成人ディスレクシアの独り言

次にご紹介するのは、井上智さん(大工・当事者)と妻の賞子さんによる連載です。
「成人ディスレクシアの独り言」全14回は、大人になってから自身のディスレクシア(発達性読み書き障害)を知った井上さんの葛藤、気づき、そして未来への提言をまとめたものです。

井上さんは43歳で診断を受けるまで、読み書きの困難から数々の失敗や挫折、深い生きづらさを経験してきました。連載前半では、周囲に隠し通そうと必死だった子ども時代や大工修行中の苦悩、そして診断によって過去の傷や疑問が「そうだったのか」という納得へと変わっていく心の軌跡が描かれます。

後半では、53歳での大学進学という新たな挑戦が語られます。スマートフォンの音声読み上げやフリック入力、予測変換といったICT(情報通信技術)を活用することで学習空白を補い、思考を止めずに文章を紡げるようになった実体験を紹介。ICTの利用は「楽をするため」ではなく、周囲と同じ「スタートライン」に立つための眼鏡のような存在だと訴えます。

連載は、2017年5月から2018年3月で全14回に渡っています。

「自分のような苦しみを今の子どもたちにさせたくない」という強い願いのもと、今を支えて未来を開くための柔軟な合理的配慮と教育の重要性を伝えています。


■□ あとがき ■□--------------------------
前号の、肢体不自由のある子どもとAI活用の、最後の参考文献のURLが、その後の文字と一緒の文字列と判断されてリンクエラーになる場合があります。その場合は、下記からご覧ください。

Di Paola, A., Muraro, S., Marinelli, R., & Pilato, C. (2024). Foundation Models in Augmentative and Alternative Communication: Opportunities and Challenges. arXiv.  (参照日 2026.05.20)

次号メルマガは、6月26日(金)です。

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