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■ まえがき
■□ 新連載:子どもたちの創造性を育むために~必修化から5年、小学校プログラミング教育の今
■□■ 連載:知的障害のある子どもとAI活用~「AIを子どもに合わせる」時代へ
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■□■ 連載:知的障害のある子どもとAI活用~「AIを子どもに合わせる」時代へ
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■□ まえがき ■□--------------------------
今回から、望月陽一郎さんに小学校でのプログラミング教育について3回の連載をしていただきます。
今回から、望月陽一郎さんに小学校でのプログラミング教育について3回の連載をしていただきます。
編集者自身、20代の頃にLogoというプログラミング言語を使った学びについて取り組んだ経験があります。スキルの獲得という意味以上に、プログラムを作るという活動自体が子どもにとって意味があると考えています。
それから40年が経った今、プログラミングがどんな役割を学校で果たしているのかを知ることにとても興味があります。読者の皆さんと一緒に楽しんでいきたいと思います。
望月さんのご経歴等は以下からご覧ください。
なお、付け加えますと、次の「知的障害のある子どもとAI活用」の中で、生成AIで助詞の違いが可視化されるという実践が紹介されています。それをデザインできる「カスタマイズされたAI」の紹介もあります。これらはまさに編集者が目指している学習環境のひとつではないかと思い、言及させていただきました。
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■ 新連載 子どもたちの創造性を育むために~必修化から5年、小学校プログラミング教育の今第1回 なぜ今、「プログラミング教育」なのか
~学習指導要領と現場データから読み解く"目的"と"実態"~
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2020年度に小学校でプログラミング教育が必修化されてから、数年が経ちます。GIGAスクール構想※1で一人一台端末の環境が整い、子どもたちがコンピュータに触れる機会は以前とは比べものにならないほど増えました。ただ、プログラミングを「そもそも何のためにやるのか」「実際どう教えればいいのか」という点については、先生方の間でもまだ十分に共有されているとは言えないのが正直なところです。
2020年度に小学校でプログラミング教育が必修化されてから、数年が経ちます。GIGAスクール構想※1で一人一台端末の環境が整い、子どもたちがコンピュータに触れる機会は以前とは比べものにならないほど増えました。ただ、プログラミングを「そもそも何のためにやるのか」「実際どう教えればいいのか」という点については、先生方の間でもまだ十分に共有されているとは言えないのが正直なところです。
※1 GIGAスクール構想 文部科学省が2019年度から推進している施策で、「Global and Innovation Gateway for All」の略。全国の小中学生に一人一台の学習用端末(タブレットやノートPC)と高速ネットワーク環境を整備することを目的としている。
今回は、学習指導要領※2が示している理念と、筆者が実施したアンケート調査の結果をもとに、「小学校プログラミング教育」の現状を整理していきます。
※2 学習指導要領 文部科学省が定める、各学校の教育課程(カリキュラム)の基準となる公式文書。どの教科で何を教えるかの大枠を全国共通に定めており、およそ10年ごとに改訂される。
まず、プログラミング教育の「目的」をはっきりさせておきましょう。現行の学習指導要領が大切にしているのは「生きる力」を育てることです。「プログラミング教育」のねらいも、将来のプログラマーを育てるということではなく、「プログラミング的思考※3」を身につけさせるとされています。プログラミングを通して自分がやりたいことを実現するために手順を考え、やってみた結果を見ながらさらに改善していく。そうした論理的な思考力を育てることです。
※3 プログラミング的思考 コンピュータのプログラムを書く技術そのものではなく、「目的を達成するために、物事を順序立てて考え、試行錯誤しながら改善する」という思考のプロセスのこと。問題解決能力や論理的思考力と深く関係している。
この考え方は、プログラミングにとどまらずあらゆる学びの土台になるものです。また、それぞれの子どもによって理解の仕方や認知の特性が違う中で、多様なアプローチが取りやすいという面もあります。プログラミングは「できる・できない」ではなく、「どう考え、どう試すか」を大事にする学びであり、個別最適な学び※4や特別支援教育の視点ともつながっています。
※4 個別最適な学び 一人ひとりの学習進度・理解度・関心に合わせて、それぞれに最も適した方法や内容で学べるようにする考え方。
では、実際の現場ではどうなっているのでしょうか。筆者が2025年末から2026年初頭にかけて実施したアンケート調査(n=168、うち小学校75)から、いくつかのことが見えてきました。
ひとつは、実施学年が偏っていることです。プログラミング教育を「すべての学年で実施している」と答えた学校は約15%にとどまり、約48%が「一部の学年のみ」という状況でした。また特に5・6年生に集中しており、低学年からコツコツと積み上げていく仕組みにはなっておらず、まだ課題があります。
もうひとつは、他教科との関連についてです。プログラミング教育は独立した教科で行うのではなく、算数や理科、総合的な学習の時間※5など既存の授業の中で行うことになっています。算数なら図形や規則性、理科なら電気や自然現象と結びつけた実践が多く見られます。プログラミングを「目的」にするのではなく、教科の学びを深める「手段」として位置づけているわけです。
※5 総合的な学習の時間 国語・算数などの教科とは別に設けられた、横断的・探究的な学びのための時間。テーマは学校や地域によって異なり、環境・国際理解・情報などの課題に主体的に取り組む場として活用される。
ただ、こうした取り組みは学校によってかなりばらつきがあり、体系的なカリキュラムになっているとは言いにくいのが現状です。特に、さまざまな特性を持つ子どもたちに対してどう学びを保障するかという観点では、課題がまだ残っています。
理念としての方向性はある程度共有されてきたと思われますが、実践はまだ模索の途中にあります。次回は、実際の教室でどんなプログラミング教材が使われ、子どもたちがどのように学んでいるのかを具体的に見ていきます。
【参考文献・資料】
文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」
2025-2026年「プログラミング教育」の現状に関するアンケート(望月陽一郎 調査)
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◇望月 陽一郎(もちづき よういちろう)
大分県立芸術文化短期大学 非常勤講師。
長年にわたり、学校現場におけるICT活用やプログラミング教育の推進、教員研修の講師などに尽力。自身が運営するサイト「mochizuki.net」では、micro:bitを用いた「サンプルプログラミング集」を無償公開しており、プログラミング教育の活動については、2019年に「学情研デジタル学習教材コンクール 学情研賞」を受賞。「まねる、変える、そしてつくる」をコンセプトに、子どもたちがテクノロジーを「魔法の箱」ではなく、自らのアイデアを形にするための「道具」として使いこなせるようになるための環境づくりを提唱している。
関連リンク mochizuki.net(個人サイト)micro:bitプログラミング集(無償公開中)
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■ 連載:特別支援教育から考えるAIとの付き合い方第5回 知的障害のある子どもとAI活用~「AIを子どもに合わせる」時代へ~
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近年、AIは文章作成や検索だけでなく、日常生活のさまざまな場面で活用されるようになってきました。知的障害のある子どもたちにとっても、AIは学習や生活を支えるツールの一つになり得ます。
「分からない言葉を、子どもにも分かりやすい表現で説明する」
「長い文章を短く整理する」
「作文や振り返り学習のアイデアを一緒に考える」
「困った場面で、どうすればよいかを一緒に整理する」
など、子どもたちが自分の考えを整理したり、学習内容を理解したりすることを支えるツールとして活用できる可能性があります。
一方で、実際に子どもがAIを活用しようとすると、大きな壁がありました。
それは、「AIへの指示文(プロンプト)を作成すること」です。
AIは、入力された指示文を読み取りながら応答を生成します。そのため、AIを活用するためには、「何をしてほしいのか」を、相手に伝わる形で文章にする必要があります。しかし、知的障害のある子どもたちにとって、これは決して簡単なことではありません。特に、細かな条件を伝える場合には、「どのように」「どんなふうに」といった副詞や、「は」「を」「に」などの助詞を適切に使いながら文章を組み立てる必要があります。
もちろん、特別支援学校でも、文章を書く学習は行われています。校外学習や運動会などの実体験をもとに、振り返りの文章を書く学習などが多いのではないでしょうか。子どもたちは、自分が経験したことや感じたことを、教師と一緒に振り返りながら文章にしていきます。自分が実際に経験したことを文章にする活動は、子どもたちにとってイメージしやすく、取り組みやすい学習の一つでもあります。ただ、AIへの指示文では、「体験を書けばよい」というだけではありません。「どのように伝えれば、AIに意図が伝わるのか」を考えながら、言葉を整理して文章を組み立てる必要があります。そのため、実体験をもとに文章を書くこととは、また異なる難しさがあると考えられます。
また、AIを活用するためには、文章を作る力だけではなく、「自分が知りたいこと」を、AIに伝わりやすい形へ整理する力も求められます。以前、子どもたちにインターネット検索で「風邪の治し方を調べてみよう」と伝えたことがあります。すると、検索窓に「風邪の治し方を調べてみよう」と、そのまま入力する多くの子どもたちの姿を見たことがあります。
私たちが検索するときはどうでしょうか。恐らく多くの方が、「風邪 治し方」のように、必要な言葉だけを抜き出して検索することが多いのではないでしょうか。これは、私たちが日常生活の中で、「検索ではキーワードを入力する」といったルールや使い方を自然に学んできたためです。一方で、知的障害のある子どもたちの中には、そのような検索のルールや使い方を、普段の生活経験の中だけで十分に学ぶことが難しい子どももいます。そのため、「何を入力すればよいのか」「どの言葉を抜き出せばよいのか」を整理することに困難さを抱えることがあります。
そして、この困難さは、AI活用においてさらに大きな課題になります。AIは、入力された言葉をもとに応答を生成するため、「どのように伝えるか」によって返ってくる内容が大きく変わります。つまり、AIを活用するためには、「自分が知りたいこと」を、AIに伝わりやすい形へ整理しながら入力することが求められるのです。
こうした「AIに意図が伝わるように言葉を整理し、文章を組み立てることの難しさ」を逆手に取り、筆者は、生成AIの画像生成を活用した助詞の学習方法を提案したことがあります(山崎,2024)。例えば、「リンゴやバナナを食べる」と「リンゴやバナナと食べる」では、助詞が一文字異なるだけで、生成される画像の意味が大きく変化します。このような特徴を活用し、子どもたちが「どのような文章を入力すれば、目的の画像が生成されるのか」を考えながらAIを活用することで、助詞の違いによって意味が変化することを具体的に学べるのではないかと考えました。
知的障害のある子どもたちの中には、助詞の違いによって文章の意味がどのように変わるのかを理解することに難しさを抱える子どももいます。しかし、生成AIを活用すると、「言葉の違い」が画像として可視化されるため、意味の違いを視覚的に理解しやすくなるのです。
また、この学習では、教師が直接「間違い」を指摘するのではなく、生成された画像を見ることで入力した文章が誤っていることに子ども自身で気付くことができます。そのため、失敗への不安が強い子どもでも、安心して学習に取り組みやすいという利点もあります。これまで、「AIを使うためには、正確な文章を書く必要がある」と考えられていました。しかし、生成AIを子どもたちが学ぶための教材として活用することで、言葉の学習そのものを支援できる可能性が生まれたのです。
ところが、近年のAIの進歩によって、この学習を実施することが難しくなりました。現在の生成AIは、以前よりも文脈を読み取る力が向上しています。そのため、「リンゴやバナナと食べる」と入力した場合でも、AI側が助詞の誤りを補完し、「リンゴやバナナを食べる」という意味として受け取るようになったのです。つまり、以前であれば助詞の違いによって生成結果が変化していたものが、AIが意味を補って理解するようになったことで、その違いが見えなくなったのです。これは、知的障害のある子どもたちにとって、多少言葉が不正確であってもAIが意図を理解してくれるという利点につながる側面があります。一方で、「どのように言えば意味が正確に伝わるのか」を学ぶ学習ツールとしては機能しなくなるということでもありました。
こうした中、近年、この状況を大きく変える可能性をもつものが登場してきました。それが、教師側で応答内容を事前に調整できる「カスタマイズされたAI(ChatGPTのGPTsやGeminiのGemなど)」です。これらは有料プランで利用できるものも多いのですが、GeminiのGemについては、学校で配布されている教師用Googleアカウントで利用できる場合もあります(教育委員会の設定による)。
これらのAIでは、教師側があらかじめAIの応答の仕方を設定できるため、冒頭で説明した「文章を組み立てる難しさ」に対しては、助詞の誤りがあった際に、「なぜこの表現では意味が変わるのか」を分かりやすく説明したり、子どもが入力した文章を整理しながら読み取ったりするような活用が考えられます。また、「自分が知りたいことを、AIや検索に伝わりやすい形へ整理する難しさ」に対しては、検索キーワードを提案したり、「何について知りたいのか」をAIが対話しながら整理したりするような活用も考えられます。さらに、あらかじめ子どもの実態を把握しておくことで、「小学3年生程度までの漢字で出力する」「短い文章で説明する」「選択肢を提示しながらやり取りする」といったように、子どもの理解しやすさに合わせてAIの応答を調整することも可能になります。これは、特別支援教育において非常に大きな意味をもつと考えられます。
これまでは、「AIを使うために、子どもがAIに合わせる」必要がありました。しかし、カスタマイズされたAIの登場によって、「AIの側を子どもに合わせる」ことが、少しずつできるようになってきたのです。 また、こうしたAIを活用することで、先述したような「助詞による意味の違いを学ぶ学習活動」も、再び行いやすくなってきています。
そこで今回、子どもたちが作成した文章について、「どのような意味として受け取られたのか」を楽しみながら確認できるAIを試作してみました。 実際にどのような学習になるのか試せるようにしていますので、もし興味がありましたら、下記URL、または掲載されているQRコードからアクセスしてみてください。文章を入力するとその文章になるべく忠実に画像が生成されると思います。
【ぶんしょうチェックAI】
(※使用する際は、入力欄付近にある「ツール」を押し、「画像を作成」を選択してください)
なお、本AIは、倫理的配慮や著作権、個人情報保護等に配慮したうえで作成しております。生成AIの利用につきましては、各所属機関等の方針をご確認のうえ、ご自身の責任にてご活用ください。
生成AIは、単に「便利な道具」というだけではなく、子どもたちの学び方そのものを変える可能性をもっています。一方で、AIが進歩することで、これまで見えていた間違いが見えにくくなるなど、新たな課題も生まれ始めています。 だからこそ、これからの特別支援教育では、「AIを使えるようにすること」だけではなく、「AIを活用しながら、どのような力を育てるのか」という視点が、ますます重要になっていくのではないでしょうか。 AIに子どもを合わせるのではなく、子どもに合わせてAIを活用していく。その視点を大切にしながら、今後も特別支援教育におけるAI活用の可能性を考えていきたいと思います。
【引用文献】
山崎智仁(2024)特別支援教育における生成AIの可能性?特別支援教育とICT.学習情報研究,299,8-11.
◇山﨑 智仁
山口県立大学 社会福祉学部 社会福祉学科 講師。臨床発達心理士。
特別支援教育を専門とし、知的障害のある子どもを中心に、ICTや生成AIを活用した教育支援の実践・研究に取り組んでいる。
特別支援学校教員としての勤務経験を経て現職。
近年は、AI時代における教師の専門性や倫理的配慮を踏まえた支援の在り方について検討を重ねている。
■□ あとがき ■□--------------------------
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