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■ 特別寄稿 超高齢社会に挑む、福祉×産業×行政 ~共創による福祉製品開発の取組~
■ 特別寄稿:超高齢社会に挑む、福祉×産業×行政 ~共創による福祉製品開発の取組~
■□ コラム:NHKドラマ『テミスの不確かな法廷』挑戦
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■ 特別寄稿 超高齢社会に挑む、福祉×産業×行政 ~共創による福祉製品開発の取組~
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日本は世界に類を見ないスピードで高齢化が進行しており、現在の高齢化率は約30%と、いわゆる超高齢社会に突入しています。介護ニーズが急速に拡大する一方で、担い手不足や現場の負担増といった課題が顕在化しており、喫緊の課題となっています。
日本は世界に類を見ないスピードで高齢化が進行しており、現在の高齢化率は約30%と、いわゆる超高齢社会に突入しています。介護ニーズが急速に拡大する一方で、担い手不足や現場の負担増といった課題が顕在化しており、喫緊の課題となっています。
こうした課題に対し、福祉を現場だけの問題として捉えるのではなく、産業の力を活用したアプローチが、今まさに求められています。
川崎市では、地域包括ケアシステム実現に向け福祉の課題を産業の力で解決する「ケアイノベーション」の推進のため、福祉現場の課題、ニーズをものづくりの企業やスタートアップ企業の技術力と結び付けることで、真に現場に求められる福祉製品の開発、改良を支援し、実効性のある製品創出を支援しています。
その中核を担うのが福祉製品の開発・改良支援拠点「Kawasaki Welfare Technology Lab」通称ウェルテックです。
≪Kawasaki Welfare Technology Lab(ウェルテック)≫
ウェルテックには大きく二つの特徴があります。
一つ目は、同建物内の高齢者・障害者施設、川崎市の福祉専門職が多数在籍する川崎市総合リハビリテーション推進センターが入居する「複合福祉センターふくふく」内に立地している点です。福祉現場のニーズや知見と、企業のシーズを日常的につなぐことが可能となっています。
二つ目は、国立大学法人東京科学大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同運営により、高度な技術的支援を受けられるという点です。
ウェルテックでは開発初期のアイデア段階から、現場、当事者の声を丁寧に取り入れ、試作・検証・開発改良に繋げる伴走支援を行うことで、福祉製品の社会実装の確度を高める仕組みを構築しています。
とりわけ重要なのは、現場ニーズの"翻訳者"としての、行政の役割です。現場では日常的な課題意識や、それを解決するための創意工夫が多くある一方、それらが製品開発に活かされるかたちで企業へ共有されにくいという現状があります。
川崎市では、ウェルテックを拠点とし、"課題と技術の間"に立つことで、現場ニーズを構造的に整理し、企業にとって理解しやすい開発テーマへ変えていく、そんな支援に取り組んでおります。
また、福祉分野は企業側にとって、法制度や安全性、利用者特性への配慮など、高度に専門的な知見を求められることから、参入障壁が高いと捉えられがちです。
そこでウェルテックでは年に2回、川崎市総合リハビリテーション推進センターと連携し、勉強会を開催することで、現場の生の
声を聞き、繋がりを生み、参入障壁を解消し試作や検証の機会を提供しています。こうした取組を積み重ねることで、企業が段階的に福祉製品等の開発に取り組むことができる環境を創出しています。
超高齢社会における福祉課題は、今後さらに多様化、複雑化していくことが想定されます。その解決には、単一の主体による対応では限界があります。ウェルテックを起点とした共創の取組は、福祉、産業、行政がそれぞれの強みを持ちより、社会課題の解決と福祉産業の活性化を同時に実現するロールモデルとなることを目指しています。
川崎市は今後も、現場に根差した課題解決と、挑戦する企業を後押しすることで、誰もが安心して暮らし続けられる社会の実現に向けて取り組んで参ります。
(参考)川崎市ホームぺージ≪ケアイノベーションの推進≫
◆奈良岡 蒼生(ならおか・そうせい)
川崎市役所 経済労働局イノベーション推進部所属
介護保険担当部署での経験や知見を産業の側面で活かしたいと考え現職へ。
福祉製品の開発・改良を支援する拠点「ウェルテック」担当。
※ウェルテックの連絡先
TEL 044-223-6468 E-mail info@kawasaki-weltech.com
TEL 044-223-6468 E-mail info@kawasaki-weltech.com
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■ 新連載:こどもの偏食・少食は社会課題。食×医療×地域ネットワークの挑戦(最終回)
第3回 食卓に笑顔を取り戻す-こども偏食少食ネットワーク協会の挑戦
その問いから、すべては始まった。第3回 食卓に笑顔を取り戻す-こども偏食少食ネットワーク協会の挑戦
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「どうして食べてくれないんだろう」
「どうして食べてくれないんだろう」
こども偏食少食ネットワーク協会の代表、田島はかつて看護師としてNICU~看取りまでに関わり、その後保健師として働き盛り世代の予防医療に関わる仕事をしてきた。
自分が子育てするときに、正直困らないと思っていた。
ところが、自分の子どもの離乳食が始まり、びっくりするほど食べてくれない。
母親に栄養の知識があっても、子どもが食べるとは限らない。
むしろ「食べてほしい」と思うほど、食卓の空気は重くなる。
気づけば、食事の時間が親子にとってストレスになっていた。
同じ悩みを持つ親はきっと多い。
しかし相談できる場所はほとんどない。
「偏食はしつけの問題」
そう考えられてきた社会の中で、親は悩みを抱え込んでしまう。
子育てがこんなにつらいとは・・・その状況を変えたい。
そうして2023年に設立したのが、こども偏食少食ネットワーク協会だ。
"800人を超える支援者が集まり始めている"
協会が取り組んでいるのが、子どもの偏食を理解し支援できる専門職を育てる支援者養成講座である。監修医は日本で初めて偏食専門外来を立ち上げた神奈川県立こども医療センターの大山牧子医師だ。
この講座の受講者はすでに800名を超えた。
受講者の職種は医療の専門職に加え、保育・福祉の専門職である。
助産師
小児科医
管理栄養士
言語聴覚士
歯科医師
保健師
保育士
とりわけ多いのが、助産師、小児科医、管理栄養士、言語聴覚士といった、子どもの成長に関わる専門職だ。
これまで、日本では子どもの食行動を体系的に学ぶ機会がほとんどなかった。
医療・保育の専門職教育のカリキュラムにも、この分野はほとんど含まれていない。
そのため、現場では各専門職が"経験則で対応するしかない状況"が続いてきた。
しかし、それでは子どもが食べない問題を十分に解決できないこともある。
食べない状態が長く続けば、
栄養だけでなく"成長や発達にも影響する可能性"がある。
だからこそ、食行動を科学的に理解し、支援できる専門職が必要だ。
そうして生まれたのが、この支援者ネットワークである。
"全国初の「こども偏食医療ネットワーク」"
これは、地域の支援者をつなぎ、
ドラッグストアを起点に子どもの食の相談を受ける新しい仕組みである。
病院に行くほどではない。
でも、誰かに相談したい。
そんなとき、買い物のついでに立ち寄れる場所があれば、親の不安は大きく減る。
この仕組みは、2025年5月、福岡で初めて動き出した。
福岡では、大賀薬局の管理栄養士(支援者養成講座の受講生)を中心に、
小児科や歯科、専門職が連携するネットワークが誕生した。
ドラッグストアの相談窓口を入り口に、必要に応じて医療機関につなぐという仕組みで、
"全国初の偏食の医療ネットワーク"とされている。
詳細はこちら↓
【日本初】こどもの偏食・少食に悩む家庭を多職種ネットワークで支える「こども偏食医療ネットワーク」が福岡で始動!
そして2026年2月には、もう一つの大きな動きが始まった。
東京・世田谷区で、スギ薬局の管理栄養士や薬剤師(いずれも受講生)を中心とした都市型ネットワークがスタートしたのである。
大都市のドラッグストアを拠点に、
医療と地域支援をつなぐ新しいモデルが生まれようとしている。
"子育ての悩みを医療で支えるという発想"
「子育ての悩みを医療で解決する」
そう聞くと、少し意外に思うかもしれない。
しかし、子どもの食行動を発達や感覚の問題として捉えるなら、
それは決して特別なことではない。
むしろ、この発想はこれからの子育て支援の形なのかもしれない。
もし適切な支援によって育児不安が軽減できればどうだろう。
親が必死になって食べさせることも減る。
子どもが食事でトラウマ体験をすることも減る。
食卓は、本来、家族が安心できる場所であるはずだ。
「食べなさい」と叱る場所ではなく、
「おいしいね」と笑い合える場所へ。
食卓の小さなSOSに、社会が応えることができたなら。
日本の食卓には、
きっともっと多くの笑顔が戻ってくる。
その未来に向けて、
こども偏食少食ネットワーク協会は使命をもって取り組みを進めていく。
◆田島由佳(たじま・ゆか)
合同会社こども偏食少食ネットワーク協会代表
看護師従事5年、企業で保健師を約20年務めた後に協会を設立。
現在もロート製薬および同健康保険組合で幅広く活動する傍ら、「こども偏食医療ネットワーク」という新しい子育て支援を展開している。
■□ あとがき ■□--------------------------
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