■ 連載:偏食とは、そもそも何なのか 「好き嫌い」では説明できない子どもの食行動
■□ コラム:NHKドラマ『テミスの不確かな法廷』挑戦
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第2回 偏食とは、そもそも何なのか -「好き嫌い」では説明できない子どもの食行動
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「偏食の定義とは?」
実は、日本ではこの問いに対する"明確な基準がほとんど存在してこなかった。"「偏食の定義とは?」
子どもが食べないとき、専門職はこう言うことが多かった。
「もう少し様子を見ましょう」
悩みに悩んだ親が、思い切って相談したときに、この一言で親は救われるだろうか。
さらに、この判断の根拠が"客観的な基準ではなく経験則であることが多い"という点に課題がある。
もし基準がなければ、
支援が必要な子どもを見逃す可能性がある。
逆に、必要以上に不安になる家庭もある。
こども偏食少食ネットワーク協会はこう言っている。
「客観的な指標がないまま判断するのは危険です。」
本来、医療として介入すべきかどうかの"線引きが明確でなければ、支援が遅れてしまう。"
そしてその遅れが、子どもの成長や発達に影響することもある。
そこで協会が重視しているのが、"食べられる品目数"という考え方だ。
子どもが食べられる食材の種類を数えることで、食の偏りの程度を客観的に評価する。
これは協会独自の理論ではない。
欧米で広く使われている"SOS(SOS Aproach to feeding)アプローチ"の考え方に基づいている。
SOSアプローチは、子どもの食行動を科学的に評価し、段階的に食べる経験を広げていく支援方法である。
感覚や発達を尊重しながら食の幅を広げていく方法として、海外では広く実践されている。
つまり偏食は、
「好き嫌い」ではなく
"評価と支援が必要な発達のテーマ"
として捉えられているのだ。
しかし、日本ではこの分野が長く見過ごされてきた。
理由の一つは、"専門職教育のカリキュラムに含まれてこなかった"ことだ。
医療、保育、栄養、リハビリテーション。
どの分野でも子どもの食行動を体系的に学ぶ機会は多くない。
その結果、現場ではそれぞれの専門職が経験則で対応してきた。
もちろん多くの専門家が努力してきた。
しかし、それだけでは解決できないケースもある。
子どもが食べない状態が長く続くと、栄養だけでなく"発達や心理にも影響する可能性"があるからだ。
だからこそ今、子どもの食行動を"医療と科学の視点で理解する必要"がある。
そしてその考え方を、日本でも広げようとしている人たちがいる。
それがこども偏食少食ネットワークだ。
次回は、この団体がなぜ生まれ、どんな未来を目指しているのか、その挑戦を紹介したい。
◇田島由佳(たじま・ゆか)
合同会社こども偏食少食ネットワーク協会代表
看護師従事5年、企業で保健師を約20年務めた後に協会を設立。
現在もロート製薬および同健康保険組合で幅広く活動する傍ら、「こども偏食医療ネットワーク」という新しい子育て支援を展開している。
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■ コラム:本や映画の当事者たち(18)NHKドラマ『テミスの不確かな法廷』
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タイトルからもわかるように、いわゆる障害や病気などの当事者といわれる人たちが描か
れている本や映画、DVDなどを紹介しています。タイトルからもわかるように、いわゆる障害や病気などの当事者といわれる人たちが描か
今回は、NHKテレビで放映された『テミスの不確かな法廷』について書こうと思います。
〇障害のある裁判官を主人公にした特異なリーガルドラマ
2026年3月好評のうちに最終回を迎えたNHKドラマ『テミスの不確かな法廷』。子どものころにASDとADHDと診断された特例判事補・安堂清春(松山ケンイチ)が、さまざまな事件と向き合っていく姿を描いている。今までにない個性的なリーガルドラマだった。原作は検察庁など司法を担当する新聞記者が書いている。私は原作も2巻まで読み、ドラマも一気見した。
裁判官モノは弁護士モノに比べるとドラマにするのが難しい気がする。裁判官が主人公であるため、被告人を公平・公正な立場から描き真実を明らかにする必要があるからだ。一般的には、法廷から離れて裁判官自らが捜査を行うことは稀である。そのあたりは、漫画原作の『イチケイのカラス』と似ているのかもしれない。しかし、この原作もドラマも、そのあたりをしっかり描き、「わからないことをわかっていないと、わからないことはわかりません〈自分の理解不足(「何が」つまずきなのか)を認識できていないため、質問や対策ができず、結果として問題を解決できない状態〉」というのが口癖で、気になったことはとことん追求する。
第1話では、詐欺未遂と傷害事件を起こした被告人江沢卓郎の話だ。保険金と賠償金目当てで、タクシーにわざと衝突し、乗客の前橋市長・茂原孝次郎に殴りかかり、怪我を負わせたということだった。その背景には事情があったのだ。江沢の姉・郁美が市長一派開催のゴルフコンペに医師が参加していたことで適切な治療を受けられず、結果的に命を落としていたというもの。
この話と同様、被告人の置かれていた状況や当時の心境が徐々に明らかになっていくのがとても興味深く引き込まれる。本作は「被告人がどのような人物でどうして罪を犯すことになったのか」を丁寧に描いている。これは、原作も同様で、新聞記者が著者なのもあって、とてもわかりやすい文体で、被告人とその背景について淡々と綴っている。
私はドラマと原作(とくに最終話とその前作)がかなり違っていることにびっくりした。ドラマでは安堂の父である検事は殺されている。ココまで変更を加えたことに、原作者はOKしたと言うことなのか。3巻目がでるとは思うが、ドラマのエピソードはどうなるのか、とても興味深い。
〇「特性は個性」となる時代がくるのか?
このドラマと原作、どちらも秀逸なのは主人公がもつ発達障害の特性を忠実に描いているところだろう。ADHDとASD(自閉症スペクトラム)は、その頻繁な忘れものと、一般の人との行動の違いがつぶさに描かれ、その特性があることでの苦悩もしっかり描かれている。主人公曰く、「普通の人に常に擬態している」と言うが、周囲からすると擬態し切れていない点があふれている。
その集大成といえるのが、最終回で安堂が法廷で語った言葉だ。自身の特性を告白し、人前で感情を爆発させ、司法に対する誠実な姿勢を示した場面だ。その姿に心を揺さぶられた視聴者も多く、SNSなどで話題になった。ただ、法廷での言葉以上に心を揺さぶられたのはその後の仲間たちとのやり取りだった。
上司の門倉茂は「特性と言えばそうだろうけどさ、俺は安堂くんの個性だと思っていたよ」と語り、主任書記官の八雲恭子も「うちの裁判官なんて、安堂さんに負けず劣らず強烈な個性の持ち主ばかりですから」と声をかける。それに対して安堂はこう返す。「特性は個性。特性を個性と言い切るには高いハードルがあります。私はそうは言いきれません。今でも怖い」。障害と共に生きてきた安堂にはそう簡単に割り切れない思いがあるのだと思う。
「特性は個性」と受け止められたとしても、周囲からは“開き直り”と受け取られてしまう。また、特性を個性として上書きしてしまえば、本来うまくできないことまで「努力不足」や「自己責任」として扱われてしまう危険性もある。
その後に「いつか、いつの日か、特性を個性だと言い切れるようになりたいと思います」と前向きな言葉を口にしている。仲間たちと関わるなかで、少しずつ受け入れられていると感じられているのだろう。そうした日々の積み重ねが、彼を前向きにさせたのかもしれない。
人間とは多様な生き物である。しかし、日々関わるなかで、許し許される存在になっていくのだと思う。個性とはまだまだ言い切れないが、少しずつ世の中も変わってきている。お互いを許し許される関係性を持つことが、「特性は個性」といいきれる時代につながるのかもしれない。
原作もドラマも、真っ向から障害をとらえ、その世界から障害理解を自然と伝えようとしている。きっといつかその後の安堂の活躍が続編で見られることを願ってやまない。
◆はら さちこ
ライター。
編集制作会社にて、書籍や雑誌の制作に携わり、以降フリーランスの編集・ライターとして活動。障害全般、教育福祉分野にかかわる執筆や編集を行う。障害にかかわる本の書評や映画評なども書いている。
主な編著書に、『ADHD、アスペルガー症候群、LDかな?と思ったら…』、『ADHD・アスペ系ママ へんちゃんのポジティブライフ』、『専門キャリアカウンセラーが教える これからの発達障害者「雇用」』、『自閉症スペクトラムの子を育てる家族を理解する 母親・父親・きょうだいの声からわかること』『発達障害のおはなしシリーズ』、『10代からのSDGs-いま、わたしたちにできること』などがある。
■□ あとがき ■□--------------------------
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■東京都プレスリリース
■令和8年度認定事業者及び認定商品一覧



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