読み書き困難解決を目指して 公式YouTube「レデックスチャンネル便り」

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2024.02.16

読み書き困難解決を目指して 公式YouTube「レデックスチャンネル便り」

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■   まえがき
■□  新連載:読み書き困難解決を目指して
■□■ コラム:公式YouTube「レデックスチャンネル便り」
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■□まえがき ■□--------------------------
学習障害(LD)をもつ子の支援で多方面で活躍されている菊田史子さんに、今回から連載をしていただけることになりました。

中心となる活動のスクール事業の様子は、最近公開されたばかりの共同通信社のweb記事でご覧いただけます。

『読み書きができないのは努力が足りないから」困難に負荷をかける教師の無理解 クラスに2~3人はいる学習障害(LD)の子、学びの道を切り開くのに必要なものは…』
また、朝日新聞EduAには菊田さんのご寄稿が、5週連続掲載の予定とのことです

『名前も書けなかった読み書き障害の息子が慶応に 入試で配慮を認めてくれたのは2校だけだった』菊田さんの活動は高く評価されており、朝日新聞厚生文化事業団から2024年度の助成金も受けられています。

朝日新聞デジタル 2024年2月11日号 

 
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■ 新連載:読み書き困難解決を目指して
             第1回 学習障害(LD)でも慶應大学に進学した息子───────────────────────────────────…‥
慶應義塾大学に学ぶ息子は学習障害(Learning Disabilities/LD)があります。大学では複数のプログラミング言語を操りプログラム開発に勤しんでいます。小さい頃は素粒子の衝突や国連の話など、難しい話をよく理解して自分の言葉で説明できるのに、読み書きには苦労しました。自分の名前の7文字がひらがなでも書けなかったのです。

読み書き困難について知識のなかった私たちは親子で七転八倒しました。学年が上がるにつれ、文字を練習させようとする私との間で親子関係は険悪になりました。自信をすっかり失った息子は、学校での適応も悪化するばかりでした。

親子して苦悶の果てに、タブレットを使って読み書き困難を解決する方法に辿り着いたのが5年生の時でした。時はGIGAスクール構想のずっと前。タブレットを教室に持ち込むことさえ非常識と受け取られかねない頃でした。それでも共に困難解決を目指してくれた教員の方々の尽力で、6年生からは学校でも読み書きにタブレットを使えるようになり、困難を乗り越えることができました。

進学した中学校では、読み書きをタブレットで代替する合理的配慮を引き継いでくれ、息子は順調に学力を伸ばしました。高校受験も配慮で乗り切り、慶應義塾高校に進学しました。そして今は慶應義塾大学に学ぶ傍ら、得意なデジタルとファッションデザインでビジネスの真似事もしています。

〇LDの子どもたちは大学進学できていない?
発達障害のひとつである学習障害(Learning Disabilities/LD)は、全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態(文部科学省)とされています。平たく言えば、理解は良いのに勉強ができない子どもという感じでしょうか。

学校の先生方を対象にした「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」(文部科学省, 2022年)によれば、「学習に著しい困難を示す子ども」は6.5%とされています。

一方で、大学・短大・専門学校を対象とする「令和4年度 障害のある学生の修学支援に関する実態調査」(日本学生支援機構, 2023年)をもとに、大学・短大・専門学校に在籍するLDの学生の数を在籍学生の総数で割り返すと、0.0078%になります。

単純に比較すれば、LDの子どもたちは1000人に一人しか高等教育に進学できていない計算になります。前述のようにLDの子どもたちに知的発達に遅れはありません。しかも高等教育が「全入時代」とも呼ばれるこの時代にあってです。

〇制度は整っているのに救われていない
障害のある子どもたちは、学校教育法が定める特別支援教育と障害者差別解消法の双方で守られることになっています。特別支援教育は全ての学校・全ての学級で「障害による学習上、又は生活上の困難を克服するための教育を行うもの」です。そして改正障害者差別解消法により、2024年4月から合理的配慮の提供は公立の事業所のみならず民間の事業所においても「義務」となります。つまり公立学校だけでなく私立学校においても合理的配慮の提供は義務になります。

内閣府の「障害者差別解消法の合理的配慮の提供事例集」(内閣府,2023年)でも「合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例」として「試験を受ける際に筆記が困難なため、デジタル機器の使用を求める申し出があった場合に、デジタル機器の持ち込みを認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく、一律に対応を断ること。」を挙げられているほどです。

このように、学習障害の子どもたちの学びの機会を提供するための制度は整っています。実際、大学入試センターの大学入学共通テストでは、今や多数の選択肢の中からコードを選んで合理的配慮を申請することができます。選択肢にはもちろん学習障害を支える配慮もたくさん含まれています。選択肢に無い配慮は相談に乗ってもらえることにもなっています。例えば試験問題の読み上げは、国語や社会だけでなく英語でも行われています。

〇理解の普及を急げ
ところが私たちの元には、制度が整っていなかった頃と変わらぬ相談が、今現在でも寄せられています
・「入学前に学校が合理的配慮として読み書きにタブレットを使うことについて理解を示したが、入学してみたら学級担任はおろか通級指導の担任からも『漢字を書く練習をしよう』と告げられた」
・「担任から『今は配慮をしても良いが中3までには配慮がいらないようにして行こう』と伝えられた」
・「『板書の写真を撮ってもいいが、連絡帳の板書も含め下校までには削除するように』との指示を受けた」
これでは子供たちの心が折れるのも無理はありません。

LDの子どもたちの心を健やかに育て、高等教育に繋げていくためには、学習障害そのものへの理解と、配慮への理解を高め、そして実践に繋げていくことが急がれます。

私たちは2018年に一般社団法人読み書き配慮を立ち上げました。学習障害を「知る」「調べる(検査)」「支援する(配慮)」を3つの柱に活動を展開しています。

[知る]
・合理的配慮のデータベース(あるよストーリーバンク
・読み書き困難に関するご相談(あるよ相談
[調べる]
読み書き検査 
検査者養成講座 

[支援する]
読み書き苦手な子どものスクールKI・KU・TA 

〇読み書き苦手な子どものスクールKI・KU・TA
このうち「読み書き苦手な子どものスクールKI・KU・TA(機器も・駆使して・楽しく学ぶ)」はその名の通り、読み書き困難の子どもたちを直接支援する事業です。東京の拠点では全9回(約3ヶ月程)で、地方開催では5日間で完成させます。子どもたちにICTを学びの道具とする方法を教え、学生チューターと共に未来を描き、配慮プレゼンを書いていくプログラムです。その中で子どもたちは「自分の学びを貫く勇気」を培います。言い換えればこのプログラムは、眼前に立ちはだかる社会的障壁を、自らの力と、自ら引き出した周囲の協力で打ち砕いていく術を伝えるためのプログラムです。

※KI・KU・TA 受講の様子

※学生チューターと学ぶ

KI・KU・TAには学校の中で深く傷ついた子どもたちが参加してきます。「学習障害」という診断名を告げられた診察室で「僕、障害なの?」と発するや否や嘔吐した6年生。勇気を振り絞って出した配慮申請を受け入れてもらえず、学校に行かなくなり無気力になってしまった中学1年生。「僕には何っの価値もない」と絶望の淵から喘ぐようにつぶやく6年生。「iPadは習っても良いけど学校には絶対行かないんだからね」と宣言する中学1年生。「学校なんか消えてしまえばいい」と言い捨てる4年生。

こうした子どもたちが、このプログラムで解決の力を身につけ、見違えるように変化していく様には驚かされます。不登校だった参加者の回復率は、実に60%にも及びます。

次号では、KI・KU・TAプログラムの内容をもう少し詳しくお伝えし、子どもたちに起きていく変化や、それを受け止めようとする学校など、個人と社会の両面からの解決を、事例を通じてご紹介したいと思います。

◆菊田 史子(きくた ふみこ)
一般社団法人読み書き配慮 代表理事 
『読み書き困難のある子どもたちへの支援: 子どもとICTをつなぐKIKUTAメソッド』河野俊寛と共著、金子書房
『これでピタっと! 気づけば伸ばせる学習障害 ーー事例から学ぶ “解決” 教えたいのは挫折ではなく生きる力』Book Trip

 

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■ コラム:公式YouTube「レデックスチャンネル便り」
             第1回 子どもの発達を支える専門家:医師・歯科医師
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1.はじめに
レデックス公式YouTubeチャンネルが開設して、約1年が経とうとしています。

レデックスチャンネル
 
2010年から続くメルマガは、今年で創刊14年目になり、130名を超える著者の方々にご協力をいただきました。発達の困りのある子ども、大人、全ての方にとって役立てていただける情報が蓄積されており、様々な思いのつまったメルマガは、レデックスの財産と考えています。
動画では、このメルマガをもとにしながら、現在は学びにかかわる情報を月1回のペースで配信しています。

本コラムでは、レデックスチャンネルにて公開された動画コンテンツを、メルマガの読者の方々にもご紹介していきたいと思います。
ぜひ本編のYouTubeもご覧ください。

※Youtube本編の動画はこちら

 
2.子どもの発達を支える専門家:医師・歯科医師(2023年11月27日公開)

(1)発達障害の相談をどこにするか?
「発達障害かな?と思ったら 相談できるところは?」のシリーズでは、「乳児・幼児の相談編」、「小・中学生の相談編」、「地域の相談機関編」として、身近に相談できる場所を年齢に分けて紹介しました。
保護者が一人で悩みを抱えて切羽詰まってしまう前に、地域の社会資源を知っているというのは非常に大事なことです。例え利用しなくても、「相談できる場所がある」と前もって知っているだけでも良いのです。

※発達障害かな?と思ったら<相談編>


しかし、相談場所がわかっても「誰」に相談したら良いかを知らないと困ってしまうこともあるでしょう。
ことばや運動、行動など、発達には様々な側面があり、それぞれの専門家が、それぞれの役割を果たしています。

そこで今回のコラムでは、発達に関わる専門職種について、「子どもの発達を支える専門家」シリーズから、メルマガの読者様向けに掘り下げてご紹介します。
「専門職」と耳にするけれども、知っていそうで実はよく知らないことも多いのではないでしょうか。

「似たような名前・略語でよくわからない…」、「たくさんいるけど職種の違いがわからない…」などよく聞く話です。相談した相手が、何を専門にしている人なのかよくわからなかった!なんてこともあるくらいです。
「どのような専門家が子どもたちの発達を支援してくれるのか?」、また「誰に相談したらいいか?」というのは、その専門性を知っていないと判断に悩んでしまいますよね。
地域の社会資源と併せて、「こんな心配事にはこの専門職を頼ればいいんだ!」とぜひ知っていただきたいです。

(2)専門職を活用しよう!
専門職というのは保護者だけではなく、学校の教員や児童発達支援施設の職員等、教育・福祉などの関係機関で子どもに携わる支援者とも連携の機会があります。
ぜひそのような方々にも、各専門職が何を得意として、何の専門性があるのか、知っていただきたいと感じています。

近年、巡回相談や保育所等訪問支援などで、医療専門職が教育の場に入ることも増えてきましたが、「連携が大事」と言われながらも、お互いを知らないことの弊害は大きいと言えます。
まず連携の第一歩は「互いの職種を知ること」。
それぞれの持つ専門性をうまく活用することが、子どもにとってより良い支援に繋がります。

専門職というのは、先生方や支援者の方を「指導」をする立場ではありません。
子どもたちの日々の生活が、安心して落ち着いて過ごせること、成功体験が積み重ねられること、より良い環境で生活できることを一緒に考え、お手伝いする人なのです。
もちろん、先生方・支援者側の負担感や大変さも理解した上で、今できることを一緒に考えるチームの一員です。
ぜひ様々な「専門職」について関心を持っていただければと思います。

作業療法士の高橋知義先生が、保育所等訪問支援での取り組みについてご寄稿いただいていますので、こちらの記事※も参考になさってください。

※作業療法士が行う保育所等訪問支援/高橋知義(全3回)


(3)病院は何科を受診すればいいの?
シリーズ1回目の動画では「医師・歯科医師」を取り上げています。
発達の心配があり、すぐに診断ができる医師に相談したいという方もいると思いますが、「何科を受診したら良いのか?」で迷われることもあるでしょう。
「まだ小さいから様子見ですね…」と言われてモヤモヤした経験のある保護者もいるのではないでしょうか。できれば発達の専門医にちゃんと診てもらいたいものですよね。
残念ながら「子ども」の発達を診られる医師は多くはありませんが、発達の困りに関係しそうな専門医について、いくつか挙げてみます。


【小児科医】
子どもにとって最も身近な医師であり、小児期の病気を診断・治療するかたわら、地域の子どもたちの医療を支えている存在です。
広く「からだ」や「ことば」といった全体発達を診ていますが、中には発達障害に詳しい医師もいます。

【児童精神科医】
発達障害は、脳の機能の働きを診ることになるため精神科が専門になります。小児期の場合は、「児童精神科」が専門医に該当します。
こころの専門医でもあるため、精神疾患やメンタルヘルス、虐待や不登校など幅広い分野の治療、診断、相談を行っています。

【小児神経科医】
小児期の脳・神経や筋肉に関わる病気の専門医で、発達障害のほか、痙攣や脳の病気、感染症や難病等を対象としています。
小児神経科の専門外来は非常に少ないですが、小児科医として勤務している医師もいるそうです。

【その他の専門医】
整形外科医、耳鼻咽喉科医、眼科医などそれぞれの心配に合わせた専門医がいます。

【歯科医師(小児歯科専門医)】
小児歯科専門医は歯の治療だけでなく、歯肉や舌の組織、噛み合わせや顎関節といった顔や口腔全体を専門的に診ています。
お口の健康というのは生活習慣やトータルな発達にも密接に関わっており、特に成長著しい乳幼児期というのは、予防の観点でも歯科の存在は重要です。
最近では発音の相談を受け付けているところもあります。

(4)どうやって探す?
動画の後半では、専門医の探し方のちょっとしたコツもご紹介しています。
お住まいの周辺で認定医や専門医にかかりたいけれど、探し方がわからないという場合はぜひYouTubeもご覧ください。

3.おわりに
「子どもの発達を支える専門家」シリーズは今後も動画を追加していく予定です。
引き続き動画チャンネルと併せてコラムもお楽しみいただけるよう、今後も皆様に役立つ情報を発信していきます。チャンネル登録をぜひよろしくお願いします。

▶︎YouTube レデックス チャンネル
レデックス株式会社は、「Learn=学ぶ」「Design=デザインする」「Experiment=やってみる」の頭文字をとって【LEDEX】という社名にしました。「学び、デザインし、試してみる」そんなこども達を応援している会社です。
主に、教育や学習支援のデジタルコンテンツを制作・運用しています。
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◆大野 南(おおの みなみ)
レデックス主任研究員、言語聴覚士(ST)
適応指導教室で不登校の小・中学生の支援に携わる中で、発達障害による二次障害を目の当たりにし、一念発起して言語聴覚士の道へ。
放課後等デイサービスや自治体の発達センターでの発達支援の経験を活かし、現在はレデックスで教材開発や支援者への間接支援を行っている。
子どものことばの相談・療育も続ける二足のわらじST。




■□ あとがき ■□--------------------------
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