医療的ケア児の療育キャンプを終えて 聴覚認知バランサー

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2024.02.02

医療的ケア児の療育キャンプを終えて 聴覚認知バランサー

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■   特別寄稿:医療的ケア児の療育キャンプを終えて
■□  連載:聴覚認知バランサー
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■ 特別寄稿:医療的ケア児の療育キャンプを終えて
                  【株式会社リニエRとの出会い】
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私は、長きに渡り小児の専門病院で勤務していました。
当時、人工呼吸器を装着された児の、退院への支援を行っていく中で、退院するのが難しい児がちらほらいらっしゃいました。
そのような児を退院させるにはどうしたらいいのだろうか?
家族は、医療ケアは出来る、退院を望んでいるのに退院できない児。
それぞれの児を取り巻く環境の違いはあると思うが調整すればお家に帰れるのではないだろうか。
では、何をどう調整すれば退院できるのか?
自分が地域に出て、地域での医療や看護はどうなっているのか知る必要があると考えました。
そういう児の受け皿になる!との覚悟で現在の会社リニエRに来ました。
家族なんだから一緒に暮らそうよ!その一心で。

【医療的ケア児への支援が必要だと思った理由】
それから約5年、様々な状態の医療的ケア児を訪問してきました。
そんな中で、どうにかならないものかと思うのはやはり、介護者への負担ときょうだいのストレスです。
日々の医療ケアが大変で、4~5時間とかのまとまった睡眠を取ることが困難な親は決して珍しくありません。夜に臨時で訪問し、少しの時間だけどもその間はお母さまに休んでもらう。疲労困憊のお母さまを目の当たりにして、“こんなことしかできなくてごめんね”と一緒に泣いたこともありました。

小児の地域医療においては、昼間のフォローは段々と充実してきていると感じますが、夜間のフォロー体制はまだまだです。
“夜はヘルパーさんが見ててくれるから、私は2階で寝てるんです”という、要介護度5の利用者様の娘さんの言葉は、私にとっては本当に衝撃でした。その点が一番、介護分野と異なる部分なのかな、と思っています。お家で暮らす医療的ケア児を夜見てくれる人がいたらどんなにいいだろうと。
夜間のフォロー体制をどう構築していくか、は今後の課題として、、、

今回は医療的ケア児の療育キャンプについてお話していきたいと思います。

【療育キャンプを行うことになったきっかけ】
最初は、医療的ケア児をキャンプに連れて行ってあげたいけど、そんなリスクの高いことできないよね、やり方もわからないし、と考えていました。
ですが、キャンプ開催日のちょうど1年くらい前に、長野県軽井沢町で医療的ケア児の診療を行っていらっしゃる医師との出会いがありました。
そちらの医師にお話を伺いに行ったことで、医療的ケア児のイベントを多く手掛けておられる方との面識も出来ました。それで、『私たちにも出来そう!』と思ったことが始めるきっかけでした。
そこで私たちは、2023年9月8~9日の1泊の予定で《リニエ療育キャンプin軽井沢》を行うこととしました。

【療育キャンプのコンセプト】
『医療的ケア児と家族の笑顔が見たい』が一番ですが、同じくらい大切だと考えていたのが、(ここまで書いた内容からもお分かりいただけると思いますが)普段ケアしていらっしゃる『介護者のレスパイト』です。

具体的には、私たちが医療的ケア児をお預かりし、コテージなどの施設で宿泊する。
家族にはラグジュアリーなホテルで過ごしていただく。きょうだいにも思い出に残る体験をしてもらいたいので、家族みんなでの乗馬体験を計画。
といった、色々な要素を散りばめた何とも贅沢なコンセプトとなりました。
医療的ケア児自身が喜ぶことをしてあげたい、親の負担を少しでも軽減してあげたい、そしてきょうだいにも何か思い出に残るものを、など家族丸ごとフォローしたい、という思いに駆られた結果です、、、

『色々やりたいこと多過ぎかも。大変だよ』とのアドバイスもいただきましたが、預けている児が楽しめていないと、親も心から楽しめないよね、という思いがあったので、そのまま決行の運びとなりました。

“時間に追われながら医療ケアをこなす日々が続いているご両親も、たまには時間にとらわれず、高級なホテルでゆったりと過ごしたいと思っていらっしゃるだろう”という、私の自分勝手な妄想から始まったことですが、療育キャンプのコアmemberの皆がその妄想に賛同してくれて、そのコンセプトで進めることとなったのです。(そんなmemberも実は、当初はその突飛な発想に驚いていた、というのは後から聞いた話です)

【準備期間】

= 2023年2月~開催当日 =

(1) イベント会社との打ち合わせ   
イベントの種類・内容、注意点など細かく情報共有していただきました。
先方とはイベントコンセプトが異なったため共同開催ということにはなりませんでしたが、幾度かに渡ってアドバイスを受けられる場を設けていただけたため、私たちの中にキャンプに関するイメージが出来上がり、具体的に行動に移すことが出来ました。
宿泊場所等の相談にも乗っていただき大変心強かったです。

(2) イベント開催地の医療機関との連携
今回のプロジェクトの対象は、医療的ケア児です。いつどのような事態が起こるか、急変するリスクのあるお子様です。
緊急時に備え、初期対応医療機関及び3次救急医療機関と連携を取り、事前に参加児の情報共有を行いました。どの医療機関も快く受けて下さりました。

= 2023年5月~8月 =

(1) 資金調達とソーシャルグッド
今回はクラウドファンディングを活用しました。
あらゆる人に、地域で暮らす医療的ケア児とその家族のことをもっと知ってもらいたい、という観点から、結果的に資金の確保に繋がることが出来ればいいな、と思い、クラウドファンディングを行うことにしました。

クラウドファンディング《CAMPFIRE》

クラウドファンディングサイトは《CAMPFIRE》を利用しました。こちらのサイトを利用した理由は、Google検索でトップに出てきたから、になります。

私も含め、療育キャンプmemberでクラウドファンディングの経験者はいなかったため、とりあえず、検索でトップに出てきたサイトなら大丈夫だろう、と考え問い合わせを行い、無料のオンライン研修を4回受講後、プロジェクトを開始したという流れになります。

クラウドファンディング始動後は、当社のホームぺージやプレスリリース、ブログなどSNSを中心に、広告宣伝を行いました。
結果的に、目標金額500,000円のところ757,000円の資金調達ができました。
寄付して下さった皆様に厚く御礼を申し上げます。

= 2023年6月 =

(1) 参加者募集と決定
参加者は5名までとし、リニエRの利用者で0~12歳までの医療的ケア児、約100名を対象とし募集しました。募集開始後3日間ほどで定員5名に達し、その後キャンセル待ち枠を設け計10計前後の申し込みがありました。
参加児は申し込み先着順で決定していきました。

(2) 宿泊場所の確保
医療的ケア児及びスタッフ:貸別荘
医療的ケア児の家族:ラグジュアリーな高級ホテル

= 2023年7月~8月 =
(1) 人員確保(2023年7月)
それぞれの児の状態を考慮した上で、コアmember及びボランティアスタッフの人数を決めました。
社内でボランティアを募集し、最終的には、医療的ケア児5名に対し、スタッフは16名となりました。
医療的ケア児の重症度に合わせて、児1人に対しスタッフを2~3名割り振れるよう調整を行いました。

(2) イベント内容の決定、遊びの計画
晴天時、悪天時、両方の場合での予定を立てました。
主なイベントは、1日目は乗馬体験、2日目は近隣の公園への散策です。

(3) 人員配置と工程表
開催日前日、当日のスタッフの役割分担を綿密に計画しました。看護師と療法士が協働
し、常にお子様に目が届くようリスク管理を行った上で、ケアと遊びを提供できるよう配慮しました。
夜間帯は看護師が交代でお子様のケアを行います。

(4) 宿泊先における医療機器の設置
在宅酸素の業者が行っている、旅行レンタルサービスを利用することによって、事前に酸素濃縮器や酸素ボンベ等の、宿泊施設への設置が可能です。

(5) 参加児のリスク管理
緊急対応のためのマニュアルやフローシート等を作成し、スタッフ間で共有いたしました。
また、事前訪問を行い、それぞれの児の1日のタイムスケジュールの把握に努めるとともに、児の状態に合わせた食事を提供するため、アレルギーチェックや食事の形態や状況などの確認を行いました。
児の状態把握のために、状態観察シートを作成し、開催日の1週間前からバイタルサインや状態を記載してもらうことにしました。

(6) 参加者のリスク管理
旅行保険への加入

= 2023年9月 =

(1) 感染防止対策
コロナ渦も落ち着いてきた時期ではあったが念のため、開催日前日に参加者のコロナ抗原検査を実施しました。

【イベント当日】

5名の医療的ケア児とその家族が参加される予定でしたが、当日、体調不良にて2名が不参加となりました。
また、台風の襲来と重なり、悪天候が予想されたため開催するか否か迷いましたが、軽井沢直撃の台風ではなかったことから、一部のスタッフが前日に現地入りし受け入れ態勢を整えておく、ということでイベントは決行となりました。

現地に到着してからは、心配していた台風の影響はそれほどでもなく、ベランダに出てブランコに乗ったり、雨の合間を縫って散歩を楽しんだりすることも出来ました。
室内遊びでは、それぞれスタッフが持参したおもちゃやボールプールなどを使い、遊んで過ごしました。
予定していた乗馬は体験できませんでしたが、土の上に寝っ転がって、土や草木のにおい、心地よく通り抜ける風を体全体で感じているようでした。

※イベント中の子どもたちの様子
食事は、アレルギーに配慮し、それぞれのお子様の食形態に合わせてスタッフが手作りしました。
メニューは、スタッフの食事と同じく、タコライスです。

※食事

この2日間で、子どもたちはとても素敵な笑顔をたくさん見せてくれました。
私たちは、その貴重な笑顔を、たくさんの写真に収めました。
そしてそれらを(夜なべして?)小さなアルバムにして、 イベントの終わり、ご両親がお迎えに来られた際にお渡ししました。

※アルバム

【イベントを終えて】
イベント終了後、それぞれのお母さまから感謝を伝えて下さるメールや手紙をいただきました。
『この子が生まれてから、時間を気にせず、だれにも気兼ねせずこんなにゆっくり出来たのは初めてでした』など、皆様がそれぞれの形で感謝のお気持ちを表現して下さりました。

私たちにとっては、初めて開催したイベントであったため、至らぬ点も多々あったことと存じますが、最後にこのような感謝のお言葉を皆様からいただいたことで、療育キャンプmember一同感動し、これからも頑張って行こう、と誓いました。

 

【終わりに】
《医療的ケア児の療育キャンプin軽井沢》は、リニエRにとってとても大きな一歩を踏み出せたと思っています。この一歩を大切にして、私たちが医療的ケアの必要なお子様とその家族と一緒にこれから何ができるのか、をしっかりと考えて進んでまいります。

今後も温かく見守っていただけますと幸いでございます。

◆澤村清美
株式会社リニエR 看護師



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■ 連載:サービスとアプリ-目標と由来
             第7回 聴覚認知バランサー───────────────────────────────────…‥
1.聴力チェックの新しいアイデア
知人を通して、2014年に中川雅文先生(当時、国際医療福祉大学教授・国際医療福祉大学病院耳鼻咽喉科部長)から依頼がありました。新しい聴力チェックの方法をデジタルで実現してほしいという要請です。

一般的な聴力チェックは、無音室でヘッドフォンをつけて異なる帯域の音を聞き、聴こえたらスイッチを押すことで行います。それぞれの帯域でかなり小さな音からだんだんと5デシベルずつ大きくしていき、聴こえたと判断してスイッチを押すと、その帯域についてその音の大きさが聞こえると判断されます。帯域は広いため、かなりの回数が繰り返されます。また、左右別々に行うのでかなりの時間がかかるため、実際に受けてみると相当疲労します。

中川先生の考えられた方式は利用者が、デジタルで読み上げる問題語を聞き、予め用意したその問題語に似た選択肢の中から、利用者が選んだ言葉と問題後の一致度合で聴力を判断するというものです。無音室に出向く必要がなく、短時間で行えることで、利用者の負担を大幅に軽減することができます。

2.福祉用具実用化開発支援事業の活用
ソフトウエアの開発には費用がかかります。当然のことながらその回収ができなければ、企業は成り立ちません。そこで、聴力チェックを柱にして、発達の困りをもつ子どもたちの聴覚認知トレーニングを行う内容で製品化をすることを考えました。さらに、社会にとって必要なものなので、公的な助成金が使えないかと考えて、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の福祉用具実用化開発支援事業に応募することにしました。

課題解決型福祉用具実用化開発支援事業 
採択されることが難しい助成金として有名ですが、幸いにして2013年度~2014年度の公募に選ばれ、開発にこぎつけることができました。

3.聴覚チェック・プログラム
(1) 問題語の選択と音声データの作成
視認では文字を認識しますが、聴き取りではそれぞれの人が知っている語群と照らし合わせて意味を理解します。知っている語群の中に含まれていない場合は無意味語と判断され、認識することも記憶することも容易ではありません。

それを考慮すると問題語はできるだけ誰でも知っている語である必要があります。そこで、NTTと東北大学が研究成果として発表している「単語親密度データベース」に収録されている語から選択することにしました。

単語親密度データベース 

できるだけ幅広い年齢の人に利用してもらえるよう、年少の子でも理解しやすい語をさまざまなジャンルから約800語を選択しました。そして、男性と女性の声優に、大人の男性の声、大人の女性の声、子どもの声で録音してもらい、3種類の音声データを作成しました。

さらに、それらから小学生2年生以下でも理解しやすい問題語群を作成しました。

(2) 音素分解と音の大きさ、帯域の測定
音声データを音素※に分解し、それぞれの音素の大きさと帯域を測定しました。その作業は、森幸男先生(当時、サレジオ工業高等専門学校教授)のご協力で行いました。

※音素は音の最小単位。例えば、「ば」という音は、Bという子音とAという母音の2つの音素で構成されている。

(3) 選択肢となる語群の作成
問題語の回答となる選択肢を用意する必要があります。できるだけ選択肢と似た音素で構成されている、意味のある言葉を選択する必要があります。親密度ができるだけ高く、また、子どもにも理解しやすい語はそれほど多くありません。かなり苦労しましたが3,000語以上の選択肢を用意し、問題語ごとに複数の語群からランダムに4つが選び出されるようにしました。

(4) 選択した語と問題語のマッチングによる正誤判定
利用者があらかじめ設定した、男性の声、女性の声または子どもの声で、問題語が出力されます。語に含まれる音素はさまざまですが、語としての大きさは50デシベル程度で出力されます。その音を聞いて分かったら4つの選択肢から回答を選びます。聞き取れない場合「もういちど」を選ぶと、5デシベル大きい音で出力がなされます。
マッチングでは、問題語の音素が選択肢に含まれていれば正解、含まれていなければ不正解と判断します。

(5) スピーチバナナ
6問出題され、結果は問題語の全音素が小さな円として、スピーチバナナ※のグラフ上にプロットされます。

スピーチバナナ 一般的な聞き取れる音の範囲を楕円で示したもの。形がバナナに似ているためスピーチバナナと呼ばれる。

スピーチバナナのグラフでは、より周波数の高い音素(高音)は右寄りに、より音の大きい音素は下寄りにプロットされます。正解の音素は水色に、不正解(または聞き取れなかった)音素は赤色等で表示されます。

(6) 結果コメント
耳の聴き取りの構造は、イメージでいうと高さごとに音を拾うマイクが並んでいるようなものです。ですから、音が拾えないマイクがあれば、その高さの音が聴き取れないということになります。
グラフ上に、縦方向に赤色のブロットが並んでいれば、その周波数の音が聞こえないと判断されます。
さらに、不正解となった音素の位置でも聴覚認知の困りが想像できます。例えば、不正解になった音素が、語の最初の部分に多ければ、注意機能に問題があることが想像されます。あるいは、語の最後の部分に多ければ、最後まで聞き続けることができない集中機能が弱いことが示唆されます。
さまざまな不正解のパターンを、中川先生の耳鼻咽喉科医の知見から判断し、結果コメントが自動生成されて表示されます。

(7) 特許の取得
上記の機能は有用かつユニークなものと判断され、特許が認められています。

特許第6639857号 

4.聴覚認知のアセスメントとトレーニング
製品では、聴覚認知のさまざまな弱さをアセスメントし、それらを繰り返しトライすることでのトレーニング効果を狙って、次の6種類のタスクを作成しました。
単純なようですが、誰か他の人に声を出してもらわないとできない聴き取りが、利用者一人だけでいつでもできる点は、広く知っていただきたい特長だと考えています。

(1) イン・ザ・クラウド
雑音が気になって聴き取るのがにがてな人はそれなりにいると思います。ただ、生活の中の雑音を完全に遮断することはむずかしく、それを克服するためのトレーニングのタスクです。
問題語は50デシベルで流れ、同時に生活音が流れます。だんだん生活音が小さくなっていき、問題語が分かった時点で回答します。

(2) 1音ジャッジ
問題語を聴き、最初の音、または最後の音が出題されます。塊の中から音を取り出すトレーニングです。

(3) ランダムワード
知らない語は、その時点で聴く人にとっては無意味語ですが、それを聴き取って覚えることで新語の獲得ができます。2音または4音のスタートで、だんだんと長い音数の連続を記憶するトレーニングを行います。

(4) 単語ジャッジ
予めカテゴリーが示され、問題語がそのカテゴリーの語かどうかを判断します。知っていることは認識するが意味を思い出せない「意味認知症」という特殊な認知症のスクリーニング検査としても使われることがあります。

(5) カテゴライズ
問題語が、4つ示されるカテゴリーのどれに入るのかを判断します。

(6) 色あて
ストリーミングあるいは逆ストリーミング検査をタスクにしたものです。
問題語として「色」を意味する音声が流れ、画面に表示される「着色された色の語」を見て、音声が語の意味と合致しているか、語の着色と合致しているかを答えます。
意味で判断しやすい脳の特性を抑えて、着色を判断できるかという「抑制力のトレーニング」という面もあります。

5.用途と利用者
聴覚認知バランサーを使っていただきたい用途の主なものは次の2つです。

(1) 軽度難聴の発見
加齢によって聴こえは衰えますが、低音・中音はあまり変化がないのに対し、4kHz以上の高音は50代以降、急速に聞こえなくなります※。この場合の高音というのは母音ではなく、子音の音素sやhなので、"せんどう"が"えんどう"、"はかい"が"あかい"、というように聴こえることになります。高音以外は問題なく聞き取れるので自覚がなく対処の必要性に気がつきにくいのですが、聞き間違いが多くなり、聞くことを避けるようになります。すると、難聴の程度が進み、さらに、脳を使わずにフレイルという認知機能低下を引き起こし、軽度認知障害(MCI)になる場合もあります。
以前、音自体を大きくするので使いづらかった補聴器は、周波数ごとの調整ができるようになっていますから、高音の聞きづらさを早期に発見し、補聴器等での補正することで、難聴や認知症を予防する効果が期待できます。

※こちら難聴・耳鳴り外来。耳トレ!

(2) 聴くトレーニングによる発達の困りの緩和
発達の困りのある子には、聴覚過敏をもつ子が少なからずいます。その場合、特定の音に対しての過反応が見つけられれば、ノイズキャンセリング・ヘッドフォンなどの利用で落ち着いて過ごせるようにできるかもしれません。
視覚優先のタイプの子は、その時に他の人がつぶやいた、別の観点の情報に気づかないことが多く、こだわりが助長されているとも考えることができます。聴くことをゲームとして取り組み、少しずつ聴く習慣ができていけば、発達の困りの緩和にもつながるのではないでしょうか?

以上のようなことがおそらく評価されて、放課後等デイサービスや、刑務所や少年院での社会復帰プログラムでの活用が近年増えてきていることをご紹介させていただきます。

◆五藤博義
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■□ あとがき ■□--------------------------
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