聴覚情報処理障害/聞き取り困難症 ADHDの不注意症状について

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2023.12.01

聴覚情報処理障害/聞き取り困難症 ADHDの不注意症状について

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■   まえがき
■□  新連載:APD/LiD:当事者からの視点と、現在までの関わり
■□■ 連載:ADHDの不注意症状について
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■□ まえがき ■□--------------------------
この数年で、聴覚障害分野において「APD/LiD(聴覚情報処理障害/聞き取り困難症)」という概念が議論を呼んでいます。聴力検査は正常、でも難聴と似た聞き取りづらさを抱えるこの症状をもつ人が、日本においても確かに存在することが少しずつ認知され始めました。

2023年現在、日本国内ではいまだ診断基準が定まらないこの概念ですが、専門家からの論文や報告だけではなく、当事者からの声も追い風となり、AMED(日本医療研究開発機構)の研究課題として採択され、現在日本国内での診断と支援の手引きが制作されています。

日本国内でのAPD/LiDの研究と啓発活動には、専門家だけではなく当事者も積極的に関わり、自分たちの聞こえの世界を次の世代で「障害」にしないためにそれぞれの場所で活動しています。

今回はAMED研究におけるAPD研究班にも、当事者コミュニティ側からの研究協力者として参加している渡邉歓忠さんに、APD/LiD当事者から見た日本におけるAPD/LiDという概念の進展と、現状や課題を紹介していただきます。



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■ 新連載:APD/LiD(聴覚情報処理障害/聞き取り困難症):当事者からの視点と、現在までの関わり
             第1回 聞こえるのに聞き取れない、APD/LiD当事者の世界
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1.APD/LiDとは
皆様はAPD(Auditory Processing Disorder/聴覚情報処理障害)あるいはLiD(Listening difficulties/聞き取り困難症)と呼ばれる症状をご存じでしょうか?
医学的には「通常の聴力検査では異常が認められないにも関わらず、『聞き取れない』『聞き間違いが多い』などの日常生活における聞き取り困難を有する障害」とされ、日本国内では近年その概念が少しずつ知られ始めました。
原因については様々な要因が関係している可能性が指摘されており、先天的にAPD/LiD症状の聞こえの世界で育った方もいれば、人生の中のある時点から聞き取りが悪化したと感じている方もおられます。

2021年よりAMED(日本医療研究開発機構)の研究としても「当事者ニーズに基づいた聴覚情報処置障害診断と支援の手引きの開発」が採択され、現在は日本におけるAPD/LiDの方の支援基準の叩き台となる基準の策定と、支援のための手引きの製作が進められています。
私自身もAPD/LiDの当事者であり、2018年に診断が出た後、2019年から大阪を中心とした当事者同士の交流会や講演会などの企画等の当事者活動を行っています。

2.当事者からみた、APD/LiDの症状と、その影響
この症状は聴力検査では基本的に異常は見つかりません、ほとんどの方が「正常域」の聴力を持ち、医学的には「健聴者」です。
それにも関わらず、人混みや複数人での会話、授業や講演のような長時間の聞き取り、あるいは日常的な他の人との会話の中でも聞き取りにくさを感じています。
聞き取りにくさの程度もまちまちですが、私自身の聞こえを例にすれば
「会話の中で子音や母音が所々、あるいは数文字欠け落ちて聞こえる」
「会話を音としては聞き取れるが、頭の中で意味を持つ言葉として形になる前に消える」
「早口で話されると言葉の全体の輪郭が溶け合って音の塊のように聞こえる」
「聞きながらノートを取れない」
「長時間会話していると、異常な疲労感を感じる、また強い頭痛も生じる」
といった症状が生じます。

これらの症状は、聴覚障害のある方であれば全てではなくてもある程度は共通してみられるもののようです。
特に軽度難聴はその障害の原因となる部位を別にすれば、結果的に生じる症状や生活の中での困難さは共通点が多いと感じています。
ただ、聴力検査そのものは正常であることからしても、その「困り感」の可視化が困難である事が大きな特徴であり、周囲への説明、また当事者本人の症状への気づきと受容のプロセスでも大きな躓きの元ともなっています。

そのような結果として、QOL(生活の質)や自己肯定感が損なわれ、二次的な問題などとも結びつきながら徐々に問題が大きくなり、社会に出ると仕事や人間関係で暗礁に乗り上げて身動きが取れなくなった結果として、駆け込むように耳鼻科を受診する当事者が後を絶ちません。

3.当事者から見た、日本におけるAPD/LiDの歴史
学術的な世界では、約20年前から日本国内でもAPD/LiDに関する調査や論文が見られるようになりました。
ただ、この話題に関して火付け役となったのは2018年のNHKによる報道でした。
それを視聴した当事者たちがSNS等で「私もこれだ」「自分だけだと思っていた」とその内容に共感し、一部の当事者たちがSNSや動画投稿サイト等の様々な媒体を通してこの症状を知ってもらおうとして同時多発的に発信を始めました。その結果、徐々にこの症状を持つ人が社会全体に広く一定数いる事、日本国内では知られていないものの世界的には数十年前から学術的にも議論されてきた概念である事、気のせいや気の持ちようでどうにかなるものではないことが知られ始めました。
同時期から、当事者同士によるピアサポート活動も始まり、最初は東京から、次いで私が大阪で当事者会を立ち上げました。現在も各地で徐々に当事者の集まる交流会や専門家も巻き込んでの講演会等の啓発活動が行われています。

その流れもあり、「日本でも話題になりつつあるこの概念に関して、診断基準と支援の方法を検討する必要がある」として、冒頭で述べたようにAMED研究のテーマとして採択され、今に至るという流れがあります。

4.当事者にとっての「診断」の壁
当事者として、最初に誰もが突き当たるのが「診断」に至る事の困難さです。
2023年現在でこそこの状況はかなり改善されつつはありますが、私が受診を検討していた2019年頃は近畿で成人のAPD疑い(当時はまだLiDという概念がありませんでした)を診ている医療機関が日本でも10に満たない数しかなく、大阪から岡山まで複数回通うか、一日で結果まで出る栃木まで足を運ぶ選択肢しか現実的にはありませんでした。

また、当時はAPD/LiDかもしれないと感じる当事者が耳鼻科に足を運び、医師にその旨を切り出すと
「そのような概念はメディアが面白がって取り上げて騒いでいるだけで存在しない」
「聴力が正常なんだから問題はない、気の持ちよう」
「健聴なのに聞き取れないのはあなたのやる気の問題」
等と、専門家に正面からその聞き取りづらさやAPD/LiDの概念そのものを否定されるのみならず、内面まで傷つけるような反応を返されて私達の当事者コミュニティに駆け込んでくる当事者が後を絶ちませんでした。

現在でこそ状況は大きく改善され、個々の医療機関による幾らかの扱いの差はあっても「理解のある医療機関が各地方に1件」のような状況から「各都道府県に1件」程度まで改善されつつあります。
ですが、同時にAPD/LiDかもしれないと感じる当事者の広がりは、診察が可能な医療機関の広がりを追い越すペースで拡大しており、各医療機関では初診まで半年以上、初診から診断が出るまでさらに一年程度かかる状態が珍しくないのが現状です。
依然として受診先が限られている事、専門家によるアセスメントの結果にたどり着くまでの時間的な点が大きな「壁」として2023年のAPD/LiD当事者の前に立ちふさがっています。

5.「論争中の病」の当事者にとっての「診断」の意味
今回の最後に「APD/LiD当事者にとって、『診断』の持つ意味」について触れさせていただきたいと思います。
APD/LiDは様々な要因が背景にあると考えられています。
「脳損傷」「心理的要因」「神経発達症(発達障害)」「認知的な偏り」等が現時点では主な要因として挙げられ、多くの場合根本的な治療や目覚ましい改善は難しいのが現状です。
そうであれば、わざわざそれほどの時間と精神的な負担を抱えてまで「診断」にこだわる必要があるのか?現実的なライフハックを学び、合理的配慮と様々な支援機器等を活用してQOL(生活の質)が改善できるなら、まずはそれを優先するのも一つの選択肢ではないかとお考えになる方もおられると思います。

もちろん、そのような流れが現時点の日本の状況には即していると言えますし、そちらのアプローチから始める当事者の方も多くおられます。
ですが、同時に日本社会において「診断」という言葉が持つ社会的な意味は大きなものがあります。
実際、合理的配慮を検討する際に「診断書」が手続き開始の条件として求められるケースは少なくありません。例えそれが「合理的配慮」の本質的な概念から必要ないものであるとしても、「事務手続き上、診断書が必要ということになっているので」と担当窓口で突き戻されるケースは未だ少なくありません。

また、学術的にそうであるかは一度横に置いても「合理的配慮」を得る事、「大多数の人にとっては苦も無くできる事が、自分にはできないと説明すること」は社会に共通する規範からの一種の逸脱を意味し、その逸脱を正当なものとして立証する責任は「障害がある側」が担うべきであるという視点が日本においては依然として強固です。
そしてそのためには多くの場合、「医師による診断」が必要とされます。

最後にAPD/LiD当事者に多く見られる問題として、聞き取りの困難さから生じる様々な問題は当事者自身に「聞き取れないのは誰が『悪いから』なのか」という問いを突き付け続けてきた事にも触れておきたいと思います。

多くの場合、「聴力検査結果は正常」という客観的事実を目の前にした当事者は自然な思考の流れとして「じゃあ、私が悪いんだ」以外の選択肢を見つけられないまま、身に覚えのない呵責を日々感じながら、自責の念を自身の中に積み重ねて耐えるしかありませんでした。
それに対し「診断」を通して専門家から「あなたに何か責められる点があるわけではない」と論理的根拠に基づいて告げられる事は、その一言で時に人生そのものの見方が変化するほどの大きな意味を持ちます。
そのような意味でも、少なくとも今の日本社会において、APD/LiD当事者が「診断」にたどり着く事が当事者から見ても良い意味で、大きな影響を持ちうる事があるという点をまずは知っていただければと思います。

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・参考文献、資料等
WEBサイト「聞き取り困難症・聴覚情報処理障害(LiD/APD)研究班ホームページ」

「LiD/APD(聞き取り困難/聴覚情報処理障害)の当事者と保護者の年齢別の困りごととニーズ」
(關戸智恵 阪本浩一 他 - Audiology Japan Vol.66,No.5 2023)

「診断の社会学 『論争中の病』を患うということ」(野島 那津子 慶応義塾大学出版会 2021)
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◆渡邉 歓忠
APD/LiD当事者 近畿APD/LiD当事者会代表(2019~)
日本聴覚医学会準会員 日本教育オーディオロジー研究会会員
AMED「当事者ニーズに基づいた聴覚情報処置障害診断と支援の手引きの開発」-研究協力者として参加。APD/LiD当事者として、オンラインや対面の交流会を定期的に開催し、APD/LiD当事者の居場所作りと情報の発信を行っている。
最近は学会や研修会等でも演者や講師としても発表や講演を行っている。
※関わった主な書籍:「隣の聞き取れないひと APD/LiDをめぐる聴き取りの記録」(五十嵐大 2022 翔泳社)


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■ 連載:教育・心理的支援において診断基準をどう読むか・理解するか
             第9回 ADHDの不注意症状について(注意欠如多動症・4)
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このシリーズでは、教育関係者や心理支援職が改めて診断基準を読むときの留意点を解説しながら、どのように診断基準と付き合っていけばいいのかをご一緒に考えることで、発達障害の改めての理解につなげていければと思います。

今回のシリーズでは、DSM-V及びDSM-V-TRについて、発達障害の診断基準を丁寧に説明させていただいております。

DSM-V及びDSM-V-TRでは、注意欠如多動症(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)という名称が採択されました。DSM-Vでは、注意欠如・多動症と注意欠如・多動性障害が併記されていたが、TRになり、注意欠如多動症に統一されたことになります。略語は、これまで通り、ADHDです(以下、ADHDと表記します)。

●診断基準の作り
ADHDの診断基準の作りは以下のとおりです。

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A.(1)および/または(2)によって特徴づけられる、不注意および/または多動-衝動性の持続的な様式で、機能または発達の妨げになっていること
(1)不注意
(2)多動-衝動性

B.不注意または多動-衝動性の症状のうちのいくつもが12歳になる前から存在していた

C.不注意または多動-衝動性の症状のうちのいくつもが2つ以上の状況(例:家庭、学校、職場:友人や親せきといる時:他の活動中)において存在する

D.これらの症状が、社会的、学業的、または職業的機能を損なわせているまたはその質を低下 
させているという明確な証拠がある

E.その症状は、統合失調症、またはほかの精神症の経過中にのみ起こるものではなく、他の精
神疾患(例:気分症、不安症、解離症、パーソナリティ症、物質中毒又は離脱)ではうまく説明
されない
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前回から、この注意ということばについてお話をしています。注意という言葉は、日常的に非常によく使われているために、それぞれの言葉のイメージで症状をとらえてしまいます。そのことが、不注意優勢状態(従来の不注意タイプ)の理解の阻害要因になっているとも言えるのです。

診断基準は、対象を理解するための「共通言語」です。共通言語というからには、皆が同じ基礎的な考え方を共有したうえで、この診断基準を読むことが原則です。その原則に従って、不注意の説明をしていきます。

前回の再掲になりますが、注意という言葉にはいろいろな意味があります。様々な先行研究があるのですが、ここでは注意を以下の5つに分けて考えています。

(1)持続性注意(続ける力):ある対象に一定以上の注意を向け続ける力
(2)選択性注意(見つける力):多くの情報の中から必要な情報だけを見つけ出す力
(3)転導性注意(別のことに注意を切り換える力):ある対象に向いている注意をスムーズに別の対象に向ける力
(4)注意の分配・多方向性:複数の対象に同時に注意を向ける力
(5)注意の容量:目的に応じて注意の配分のバランスを保つ機能

この5つの注意を念頭に置いて、前回は 「a.学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な間違いをする。」を解説しました。
今回は、b.から検討していきましょう。

●持続性注意のコントロールの不全

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b.課題又は遊びの活動中に、しばしば注意を持続することが困難である(例:講義、会話、または長時間の読書に集中し続けることが難しい)。
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b.は、文中に明示されている通り(1)の持続性注意を示すと考えられます。まさに必要なだけ、注意を向け続けることができない、ということです。「あきっぽい」「長続きしない」という印象になります。ですから、例にあるように、授業中に注意が持たず、本当は黒板や先生の話、クラスメートの発表などに集中して注意を向けていなければならないのに、他のところキョロキョロを見たり(よそ見をする)、他のことを始めてしまったり、机をガタガタさせたり・・というような行為をし始めてしまうことがよくあります。

また、ひたすら何かの作業をし続ける必要のある時にすぐに飽きてしまうことも多く見られます。例にあるような読書の時間にすぐに飽きてしまうだけではなく、映画やテレビのような長時間の活動も、すぐに飽きてしまうことがありそうです。教室で先生方が気になるという行為としては、まさに一番気になるところです。また、飽きてしまって教室を出てウロウロしはじめたりとなると、多動の症状にも該当します。わかりやすい項目でもあります。

一方で、この項目の難しさも存在します。先生方や保護者の方から良く聞かれるのは「たしかにあきっぽいです。でも、自分が好きなことだととても集中できるのです。」ということです。
例えば大好きなゲームだと何時間もやっている。読書の好きな子どもは、親が止めるまで本を読んでいて、叱っても止めない。時には、「うちの子は~なら何時間でもやれるから、集中力はあります!」と言われることもありますね。これをどのように解釈するか。そこがポイントです。

つまり、不注意症状の「不注意すぎる」には、「集中しすぎる」ことも含まれている、ということです。前回お話ししましたように、私はADHDと定型発達の子どもとの違いは、何か特異な行動をするわけではなく「やりすぎたり」「やらなすぎたり」の障害だと考えています。ですから、注意することを「やらなすぎる」ところが不注意なら、注意すぎることである「過集中」もまた、不注意症状だと考えることができるのです。よって、この項目は、持続性注意のコントロールの不全であると言えます。

少しだけ支援に踏み込むならば、持続性注意は、コントロールできるようにする支援よりも、どうやったら集中できるようにするか、本人にとって楽しい課題と感じられるような動機づけを工夫するかが重要です。また過集中症状は、場面によっては困難につながりますが、資格試験や受験勉強では効果を発揮します。夏休みのような長期休暇のような思いっきり過集中できる時に、時間を気にせず思いっきり集中することを試しに行って、自分の過集中のちからを知っておくことも、いざというときに活用できて、有効です。

ADHDの子どもは、好きな科目はとことんやりたいと思うようです。でも、どの教科も均等に勉強しなくちゃ、と思うと、結局はどれも集中できなくて中途半端になってしまうと感じていることがあります。だから、何度か、思いっきり取り組んで、達成感を味わっておくと、調整をできるようになっていきます。昼夜逆転をしないように、生活に支障のないように行ってくださいね。ただし、ゲームなどの依存性の強いものは別の話です。

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c.直接話かけられたときにしばしば聞いていないように見える。
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c.は、(3)転導性注意(別のことに注意を切り換える力)のつまずきを示しています。他者に話しかけられると、他の対象に向いている注意を、スムーズに話しかけた方に向けることが求められます。続いて、(1)持続性注意 話しかけた人に、相手が話している間、注意を向け続ける力が必要になります。

話しかけても聞いているのかどうかわからない、というのは、ソーシャルスキルとしては非常に未熟です。また、相手にも非常に失礼な態度を示すことにもなります。ですので、この態度が不遜に見え、叱られたり注意されたりということも多いようです。

しかし本人たちに聞くと、本人なりに聞いている、と、言われた経験を持っている皆さんも少なくないでしょう。そして、相手が「聞いていないように見える」と思っているとは思わなかった、ということがよくあります。だから、「どうして聞かないの?」「ちゃんと人の話を聞きなさい」と叱られると、自分はちゃんと聞いているのに!!という怒りになったり、落ち込みになったりして、こんなことが蓄積すると二次的症状に、ということになります。

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h.しばしば外的な刺激(青年期後期および成人では無関係な考えも含まれる)によってすぐ気が散ってしまう
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順番が前後しますが、ここでh.を説明してしまいます。これは、易刺激性(いしげきせい)を示す項目です。つまり、現在注意を向け続けなければならないことがあるのに(持続性注意を求められている)、他の刺激に簡単に注意を振り向けてしまう、ということを示します。そして、他のことに注意を切り替える力である転導性注意を使いすぎてしまう、ということです。

よって、易刺激性は、持続性注意のつまずきと、転導性注意のつまずき、ということになります。
教室では、誰かが入ってきたり廊下を通るだけで、また教室にチョウチョが飛んできただけで簡単にそちらに注意を向けて、集中が中断します。しかも、その誰かや虫の動き、外の音などに非常に敏感ですぐに気が付く、という臨床的な印象を持っている方も多いようです。
これも注意の障害ということになります。

d.以降は、注意の障害のうえに、実行機能の障害が関連してきます。実行機能がつまずくとどんなことが起こるかを考えながら解説していきます。

◆吉田 ゆり(よしだ ゆり)
長崎大学教育学部・教育学研究科 教授。専門は発達臨床心理学。
公認心理師、臨床心理士、臨床発達心理士、そして保育士でもある。



■□ あとがき ■□--------------------------
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