上手な「休職」「離職」の仕方

MAILMAGAZINE
メルマガ情報

2023.07.14

上手な「休職」「離職」の仕方

----TOPIC----------------------------------------------------------------------------------------
■  連載:上手な「休職」「離職」の仕方
■□ 連載:視覚認知バランサー
--------------------------------------------------------------------------------------------------


───────────────────────────────────…‥・  
■ 連載:知っておいてほしい!「障害者就労支援」アレコレ
             第5回 上手な「休職」「離職」の仕方 
───────────────────────────────────…‥・


 今回は、「仕事を辞めたい」と思った障害者が損をしないために知っておいて欲しいことを書いていきます。主に精神障害、発達障害者の方に向けた情報となります。

■「辞めたい」と思うことは悪いことじゃない
誰でも一度くらいは「仕事を辞めたいな…」と考えることがあるのではないでしょうか。
「辞めたい」と思うこと自体は悪いことではありません。

人は無意識に期待してしまう生き物です。
しかし期待値が高すぎると、自分のイメージ通りにならない時に裏切られたと感じて嫌な気持ちになったり、イライラしたり、「こんなはずじゃなかった。辞めたいな…」と思ったりします。

実際に、「障害に配慮する」といっていたのに実際と違い過ぎる、ということもあります。
話し合いができればよいですが、それも難しいのであれば、辞めるというのは全く問題ない話です。
大切なのは「理由」と「辞め方」です
【無計画に、勢いで辞めてしまう】と、結果的に損をするのは辞める側…
損をしないような辞め方を、事前にしっておくと安心ですね。


 

【事例1】自己判断と勢いで辞め、お金がなくて困ってしまった…
――――――――
うつ病のAさんは、業務内容に負担を感じていました。また、同僚に自分の障害のことが伝わっておらず、配慮のない形で仕事を任されることが続き、困惑する日々…徐々にうつ病の症状が強くなり、主治医からも仕事が負担になっているのでは?少し休んでもよいのでは?と指摘されていました。
そして、就労支援員や職場の相談員もいましたが、相談することなく一人で悩んでいました。

担当業務が急に変更され、混乱している様子に「そんなに困ることではないでしょ?もう2か月目なんだからしっかりして」と同僚から言われたことで気持ちの限界を迎えてしまいます。

「ここの人たちは自分のことを分かってくれない」「つらい」「もういやだ」といったマイナス思考ばかりが浮かび、気分の落ち込みも酷くなって出社できない日もでてきました…
1週間程連続で休んだことを機に復帰できなくなり、1ヵ月仕事を休み続け、「このままでは困るので出社してほしい」と職場から言われ「では退職します」と自己都合退職をしました…

退職して、気持ちは少し楽になりましたが、悪化してしまったうつ病はすぐに治りません。生活リズムが整わず、すぐに働けるような状態ではありません。
しかし、自己都合退職なので失業手当がもらえるのは2か月先…収入もなく焦りが出てきます…
主治医からもすぐに働くのはおススメしない、と言われ途方に暮れてしまいました…
――――――――

■一人で考えて決めない
 
弱っていたりマイナス思考で追い詰められていたりすると、第三者に相談せず一人で抱え込みがちになります。
【事例1】のAさんは、「辞めたい」と思うのも仕方ないような状況ではあります。しかし、誰にも相談せずに辞めてしまったことで、使える制度を使えなくなってしまっています。
就労支援員や職場の相談員に相談することで、
・同僚への障害の説明を改めて上司からする
・業務内容の変更
・部署移動
・数か月「休職」をする
といったすぐ辞める以外の選択肢、困りごとの解決方法を検討してもらえることもあります。
「辞めたい!」と思っている時は思い詰めてしまって視野が狭くなりやすいです。
思い詰める前に相談できるといいですね。

■有給や休職を活用する!
 
とはいえ、相談できる人や支援員がいない時にはどうしたらよいか…

まずは、就業規則(有給、休職、復職、離職)を確認しましょう。
もらえるお金、使える制度は使って、安心して心と体を休めることが大切です。
まず有給で数日休み、復帰できないようであれば休職について上司や主治医と相談してみるのもよいです。
「退職する」と全てから解放されるような印象を持つ人が多いですが、実際は様々な手続きがあり、手続き漏れがあると金銭面で損をすることも多いです。
様々なことに備える意味も込めて、一度心と体を休める必要があるのです。

■辞めた後のことを想像してみる
 
大抵の場合、辞めた後どう過ごすのか、生活費の工面、生活の見通しを立てられるほど元気がない状態です。
そんな状態で判断してもよい判断はできませんし、退職後の手続きもスムーズにできない可能性が高いです。
有給や休職中に少し元気になってきたら、退職するかどうか改めて考えてみることをオススメします。

また、休職中、療養中の人は元気になると「復帰しなければ」あるいは「退職したらすぐに仕事を見つけなければ」と思いがちですが、まずはどれくらい休めるのか、生活はどんな塩梅になりそうか確認してみましょう。
就業規則によりますが、1年半は休職という制度を利用することができます。その間、給与よりは低いですが傷病手当という形でお金をもらうこともできます。

3ヶ月休職してから辞めることもできますし、
復職してから、やっぱり無理だなと思って辞めることもできます。
1年半休職して、傷病手当をもらいきってから退職することもできます。

誰でも使える制度なのに、知られていないものは沢山あります!
制度を活用して、心身の調子を整えてから職場復帰、あるいは就職活動を開始できるのが理想的です。

知っておくとよい制度

 

■理想的な休職と退職(例)
 
【事例2】有給と休職を組み合わせ、少し元気になってから動いたケース
―――――――
Bさんは、4年近く同じ会社で働いていましたが、業務内容が合わず、上司との折り合いも悪かったためうつ病を再発してしまいました。辞めようか悩みつつ、収入がなくなることが不安で踏み切れずにました…
不眠が続き、朝出社できない日も出てきたタイミングで、医師から「転職するか休職するのもよいかもしれませんよ」と言われました。

Bさんには就労支援員がついていたため、主治医に言われたことを報告し相談してみました。
すると、就労支援員から「まずは貯まっている有給を使って5日間休んでみるのはどうですか?」と提案され、休んでみることに…。

休んでいる間に上司に休職の制度が使えないかを確認してもらいました。
5日休んで少し楽にはなりましたが、職場に戻ってもまたすぐに具合が悪くなりそうです。
上司からは「できれば復帰してほしい。辞めるのではなく休職してはどうか…」
就労支援員からは「退職する選択肢もありですが、一度休職してから考えてみるのもありですよ」という言葉を受け、まずは3ヶ月休職してみることにしました。
(休職期間は主治医からの診断書に3ヶ月と書いてあったからです)

・・・休職中・・・

点々と休んでいた頃は休みの連絡をすることも苦痛で休んだ気がしませんでしたが、休職はある程度の期間まとまって休むことになるので「連絡せねば」というプレッシャーから解放されました。
よく寝て、動けるときは散歩をしたり、とにかく仕事のことを考えないように過ごす日々。

休職中は「傷病手当」を申請すると給与の何割かを受け取ることができたため、収入面もゼロではなく貯金と節約をすれば生活していくことはできました。
2週間に1回、就労支援員と面談し、近況確認や職場復帰への意欲などを確認していきました…

Bさんは、
・業務内容の変更
・部署異動
・担当上司を変える
といったことを希望しましたが叶わないことが分かり、退職するという選択肢を選びました。

就労支援員から退職後の生活費のこと、療養期間の過ごし方、就職活動を再開するときの留意点などアドバイスをもらい、退職日を迎えることができました。
退職後も、制度を活用して生活費を得ながら療養に専念し、日中は生活リズムを整えるためにデイケアに通うことにしました。また、3ヶ月ごとに就労支援員と面談をして今後について話し合っていきました。
「早く就職活動を始めなければ…」と焦る気持ちもありましたが、今やるべきこと、就職した場合にどんな課題があるのかを相談することで、勢いで就職活動をして体調を悪化させることもなく、順調に回復していくことができました。

Bさんは、来月から失業手当をもらいながら就職活動を始めます。デイケアで生活リズムを整えていたので、「休まず出社できます」と自信をもって言うことができます。
失業手当があるので焦って就職先を決めるのではなく、職場見学や実習をさせてもらいながら、自分に合った職場を探していくことができそうです…
―――――――

■まとめ
 
さて、今回は障害当事者の目線で「仕事を辞めたい」と思った時にどんな動き方があるかについて書きました。
Bさんの事例はあくまで理想ですが、
・元気なうちに使える制度を知っておく
・一人で決めない
・退職後のことも考える
といったことを頭の片隅にいれておいて損はないと思います。

退職時の会社とのやりとりは何かとストレスになりますので、一緒に動いてくれる人がいるというのも心強いです!
休職や離職はダメな事だと思っている人は多いかもしれませんが、そんなことはありません。
とくに、何も知らず勢いで辞めてしまうと使える制度も使えず、後々の生活苦や精神的な焦りにも繋がります。
使える制度をうまく活用し、頼れるものは頼る。その上で自分にとって安心安全な職場復帰あるいは離職してからの再スタートを迎えてほしいと思います。

◆下茉莉(しも まり)
発達特性との付き合い方を考える会「かもみぃる」代表。精神保健福祉士と社会福祉士の資格を持つ、発達障害と発達性トラウマ障害の当事者。障害受容、診断が出た後の相談先や利用できる支援、選択肢が分からずに悩んだ経験を活かし、制度の狭間(グレーゾーン)に落ちてしまう人達の就労支援に力を入れてきた。七転び八起きの精神と突破力で突き進む!
HP
Note
 
 
───────────────────────────────────…‥・  
■ 連載:サービスとアプリ-目標と由来
             第5回 視覚認知バランサー
───────────────────────────────────…‥・
人間が得ている外界の情報は、70~80%が視覚からと言われています。前回は視覚における眼球運動の大切さをご紹介しましたが、資料※1を参照していただければ、「文字を読む」ことについてたくさんの身体の部位が使われているかのイメージをつかんでいただけます。

例えば、年少のお子さんが鏡文字を書くことを不思議に思った方がいらっしゃるのではないかと思います。外界の情報は、目のレンズが網膜上に作った像が元になっています。小学校の理科の実験を思い出してください。凸レンズが作る像は上下左右が逆転した像です。この像の情報を脳が変換して、実際に見えているように認識する訳ですが、上下はまだしも左右がちゃんと変換しきれないと、お子さんは左右が逆の鏡文字と認識しているのではないでしょうか?

これ以外にもたくさんの工程をさまざまな身体の部位が担当している訳ですが、そのどこかがうまくいかないと、文字が読めない、より正確には文字を読むのに時間がかかるということになります。

※1 「文字を読む」活動を支える「見る力」

 
1.かわばた眼科と視覚発達支援センター
千葉県浦安市にある、かわばた眼科はLDも含め様々な目の困りへの対応ができることで有名で、全国からたくさんの患者さんを集めています。

目の困りは、眼鏡の処方や目薬の処方、手術などによって解決できることもありますが、一定期間以上のトレーニングが必要になるケースが少なくありません。その対応をするために、かわばた眼科では別法人を立ち上げ、その併設施設である視覚発達支援センター※2で患者さんの対応を行っています。

※2 視覚発達支援センター 

しかし、そこに通える人は地理的にも限られますので、自宅等でトレーニングをできるようにしたいと考えられた川端秀人院長から相談を受けました。当方から案を出し、それを川端院長と視覚発達支援センター長の簗田明教(やなだあきのり)氏が検討し、議論した結果、開発に至ったのが視覚認知バランサーです。

まずは、川端院長のコメントをまとめた動画をご覧ください。

※3 川端院長の解説動画

2.前提となる注意と眼球運動
視覚認知バランサーは、視覚認知機能5領域(注意/記憶/形状識別/空間認識/運動統合)の16種類のタスクを収録しています。

基本的には、お子さんが自分でトレーニングに取り組める内容ですが、まず視覚の大前提として、見ているものに注意が向けられているか、眼球が見るべきものについていっているかを知る必要があります。視覚発達支援センターでは、支援者が手にもったポインタを動かしながら、お子さんの目の動きを確認するのですが、それをデジタルで行うタスク「へんかでタッチ」を用意しました。一点をじっと見て変化に気がつけるかどうか(注視)、移動する点を目で追いながら変化に気がつけるかどうか(パシュート)、突然出てくる点に気がつけるかどうか(サッケード)、それらをまず知っておくことが支援する際に重要となります。

3.形状識別と記憶
視覚的に識別すべき事項には、形という複合的なものに含まれる様々な要素があります。長さ、広さ、かさ(量)、傾き、相対的な位置、形の組み合わせ等です。それぞれ脳の別の部分が担当しているようで、例えば、傾きが分からないという人が存在します。そういったことはひとつひとつ確認していかないと本人も周囲の人も気がつけませんので、視覚認知バランサーではタスク「おなじかたち」で要素ごとの識別能力をチェックします。

形状識別では、複雑な形をいくつかの単位として認識できるかどうかが重要になります。タスク「からまりずけい」は形の中に含まれる単位図形を見つけ出すトレーニングができ、文字の形の認識に時間のかかるLDのお子さんに有効です。

また、記憶についても形状識別と同様で、記憶しにくい形や要素があります。タスク「ずけいきおく」でそれらを確認し、様々な形の要素を記憶するトレーニングを行います。

さらに、日常生活でもっともよく使う記憶の要素であるワーキングメモリを鍛えるタスク「おなじところは?」も用意しました。

4.空間認識
点のまとまりを形として認識したり、欠けた部分を補って元の形を考えたり、空間認識に含まれる様々な要素のトレーニング課題を用意しました。特に、模様の描かれたカードを裏返したり、回転させたりして、結果の模様を予想する「カードかえし」は難易度の高い興味を引くタスクとなっています。

5.運動統合と抑制力
見た情報を使いながら身体を動かすことは日常生活でひんぱんに求められる能力です。「ボールめいろ」には手指の巧緻性を高める要素を盛り込みました。また、出てくる形を瞬時に判断して、消火活動を行う早さを競う「ファイヤーパニック」には、対象でないものを識別し、手指の動きを止める衝動性を抑え、抑制力を高めるトレーニング効果があります。

6.その他
他にも様々な認知機能を組み合わせて使うタスクを用意し、また、利用者の取組結果で難易度がレベル1からレベル3まで変わるレベル自動調節機能もあることで、小学生から中高生、成人まで、視覚に関するさまざまな能力を高められる製品になっていると自負しています。

※4 視覚認知バランサー 

◆五藤博義

 
■□ あとがき ■□--------------------------
YouTube動画レデックス チャンネルは、新シリーズとして子育て支援関連の施設や制度の紹介を予定しています。チャンネル登録をよろしくお願いします。

レデックス チャンネル

次回メルマガは、7月28日(金)の予定です。

メルマガ登録はこちら

本文からさがす

テーマからさがす

全ての記事を表示する

執筆者及び専門家

©LEDEX Corporation All Rights Reserved.