ディスレクシアへの全人的アプローチ

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2020.02.14

ディスレクシアへの全人的アプローチ

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■  連載:ディスレクシアへの全人的アプローチ
■□ 連載:「気になる」子どもたちと私の関わり~中学校編
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 ■ 連載 ディスレクシアとは?
       第7回 ディスレクシアへの全人的アプローチ
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読み書きが困難であるというと読み書きへの支援やアプローチが主となりがちである。ときにそれが本人が持つ興味や得意の部分を無視して、かえって本来の能力が花開くことを阻害したり、生き生きとした感性を削いでしまうことがある。そのようなことがないように全人的なアプローチを心掛けたい。

幸せな大人に育つのは、まず「食う、寝る、遊ぶ」がしっかりと確保されてからのことだと思う。次に自分のことを、できることもできないことも含めて理解して、大丈夫だという感覚をしっかりと持っていてほしい。それを他の人に伝えられること、自分ができることは精いっぱいやるが、必要なところではHELPを求められることが大切である。多少の失敗があっても、その失敗から学び、工夫して乗り切るかという知恵と力をレジリエンスで発揮してほしい。

ここまでは、どの子育てでも教育でも基礎中の基礎である。その上で学習に取り組むのだが、読み書きという学習の入口が狭かったり、閉ざされていたりする状況だと、入口を広くすることにのみ力を入れたり、そこに入ることをあきらめたりするようになる。実は違うアプローチをとることで、いくらでも学習することが可能であるにもかかわらずである。具体的にはかなや漢字を、正確に流ちょうに早く抑揚をつけて音読できるようにすること「だけ」に力を入れて、読んでいる内容を楽しむまで行きつかない状況とか、「とめはねはらい」や書き順に力を入れて、面白い発想や文章を書くことまで行きつかない状況や作文はできないと思い込んでしまうことをである。そういった事例を筆者は数多く見てきている。

くれぐれも学習の機会が失われないように、読み書きの困難さに対しての合理的な配慮を十分にした上で、指導法も工夫をしてほしいと思う。指導のキーワードはマルチである。

読み書きは人間が本来持っているの能力のほんの一部であるという考え方がある。マルチ知能(MI-Multiple Intelligence)という、ハーバード大学の心理学者ガードナー(H. Gardner)が提唱したものである。8つのマルチ知能というのは、「言語的知能」、「論理数学的知能」、「空間的知能」、「身体運動的知能」、「音楽的知能」、「対人的知能」、「内省的知能」、「博物的知能」の8つのことである 。

国立特別支援教育総合研究所の涌井恵氏は、その8つのマルチ能力と「やる気」「注意」「記憶」を加えた合計11の視点から、一人一人の学び方の違いに対応し、誰もが学びやすく、わかりやすいというユニバーサルデザインな授業の実践をしている。

学び方は一人一人ちがっている! 

もう一つのマルチは、多感覚である。視覚からの情報に頼りがちな指導を「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」など人間が持っている様々な感覚に訴えて、理解し学習し身につけていく方法である。英語学習のジョリーフォニックス(Jolly Phonics、シンセティック・フォニックスの一つ)もその一つである。ディスレクシアと診断された児童生徒50名ほどが、約30時間で英語の基礎となる42音が読めるようになったという実践がある。アルファベット文字の名前ではなく、音から、小文字から、物語を通して、ヒントとなる物語、体の動きを入れて、顔の動き、のどの響き、おいしいビスケットなどを食べながらという実に多感覚を駆使して学べるようになっているものである。

楽しく楽に英語を学ぼう ジョリーフォニックス講座 

一人ひとりに合った学習方法は必ずあるので、探し当ててほしいと思う。

藤堂栄子
星槎大学特任教授
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 ■ 連載 「気になる」子どもたちと私の関わり
        第4回 中学校編
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前回の記事では、小学校中高学年の時期を中心にお伝えしました。今回は、中学生のころの話をしたいと思います。

〇担任に恵まれた中学生時代

Yも中学生になりました。発育が早く、中学入学の時には身長170cmで、制服の詰襟姿は親も見惚れるほど(笑) 同じ小学校から半分他校から半分というミックスされた生徒の中で、最初は私も問題を起こさないかとビクビクしていました。そんな中、5月の連休後に1本の電話。すわ見たことかと、身構えて出た電話には、涙が出るほどにうれしい担任の先生のお話だったのです。

まず事実を淡々と、二時間目の休み時間に、Yくんは隣のクラスメートと口争いになって、Yが相手の首元を締め上げ、青あざをつくったという話でした。相手のおうちの電話番号を伝えられ、親御さんに連絡してくださいとのこと。これはいつものことだったので、まあ、仕方ないなあと思いました。もちろん、そんな電話はしたくはありませんが。しかし、そのあとの話がその先生の人柄というか、先生としての素質というか、びっくりだったのです。

その後の経緯はこうでした。帰りのHRで、みんなの前で先生が「Yくんがお友だちの首を締め上げたのはいけないことでした。しかしそれには理由がありました。相手のSくんがしつこくYくんに絡んでいたのを先生は知っています……。暴力は何が理由だとしても悪いこと、だから謝るべきで二度としてはいけない。しかし、その理由はみんなにも知っていてほしい」と言われたそうです。Yはその話で号泣したそうです。いつだって、けんかの被疑者となって怒られていたYを、そんな風に認めてくれた先生はいませんでした。

私も電話口で涙ぐんでいました。もちろん、相手のおうちには電話をして謝りましたが、心の中はほんわかしていました。これを機に、Yの暴力沙汰は驚くほどなくなりました。中学校では、それ以外のトラブルを起こしはしましたが、一方的な暴力がなくなったことはうれしいことでした。

その先生には、2年間担任を持っていただき、3年生の先生もとても理解のある面白い先生でしたので、大人へのYの信頼感が培われたと思います。

〇毎朝の遅刻と提出物を出さない息子

小学生のころから、Yは先生の好き嫌いが激しく、嫌いな先生への態度はひどいものでした。だから通知表の凸凹も激しくて、得意な教科と嫌いな先生の教科は雲泥の差。今だから言えますがおもしろいもので、Yの嫌いな先生は、他の生徒からも親からも嫌われている人が多かったんです。Yの人間を見る目にはひそかに感心をしていました。これも今だから言える話ですが。授業中はほとんど話を聞かず、提出物も出しません、もちろん宿題もやらないのですから、成績が悪いのは当たり前ですね。

また発達障害系の子どもによくある時間概念のなさというか、自律が苦手でしたから、遅刻もひんぱんで毎日のようでした。しかし、担任の先生から、「お母さんは起こさないでください。起こされているうちは、起きられるようにならない」とのことで、私は一切起こしませんでした。信頼のおける担任だったので言われた通りにしていましたが、3年生になるまで、遅刻には悩まされ続けました。

〇高校入試は何とか志望校に

前回の記事にも書いていた塾の、息子と同じタイプの先生とはずっと仲が良くて、成績は嫌いな教科以外は結構よかったんです。特に国語数学の点数は非常に高く、高校受験の時も内申は期待できませんが、成績の点では安心していました。

部活の方はやはり続きませんでした。背が高かったのでバスケ部に入り最初は熱心でしたが、部活の先輩や同級生との関係は予想通りうまくいくはずがありません。2年になると辞めて、一人で筋トレやマラソンをしていました。「なんでそんなに体を鍛えるの?」と私が聞いたことがありました。すると、「体を鍛えてあれば無用なけんかをしない(相手がちょっかいを出してこない)」と言ったんです。なるほど、と思った覚えがあります。

この頃になると心も体も、本当に大人になっていきました。その分父親との衝突は増えました。それは、父親の方が子どもだったからです。警察を呼ぶくらいのけんかを繰り返し、最後にはYは、父親を相手にしなくなりました。体格もYのほうが大きいくらいになり、けんかしても対等。そんな焦りが出た父親がばかげて見えたのかもしれません。でも面白いことに、今ではそんな父親ととても仲が良く、社会人になってから二人で飲みに行ったりしているんです。父と息子って面白いですね。

Yは子どものころからゲームクリエーターになるという夢があり、高専を狙っていました。高専は内申より入試の点数を評価してくれるので、私も応援していました。説明会にも一緒に行きました。一緒に行っても隣には座りませんでしたが(笑) 塾の先生の指導もあり、本人も頑張ったおかげで、なんとか合格。これで5年間は大丈夫だと安心していたんですが……。この続きは次回に。本当に親として試される息子だったなあと今では思っています。

〇発達障害のある子どもの進学

グレーゾーンと言われたりもする、知的に高い発達障害のお子さんは、得意不得意の差が激しいものですね。好きや得意をきっかけにして伸ばすのが効果的だと思っています。うちも、ゲームやライトノベル、漫画を好きな気持ちは非常に高く、それが進学への意欲につながりました。ゲームクリエーターになるには、プログラミングや情報技術を学ばなくてはなりません。そして、なりたがっていたゲームプロデューサーは、ストーリーから音楽、全般的なものも必要です。そのための勉強は全然、苦にならなかったようです。

もしお子さんが、何か夢中になれることがあれば、ぜひそれを活かしてください。そしてそこを伸ばせる環境が与えられたらよいと思います。理想論になってしまいますが、何か一つは楽しんで夢中になれるものがあればと思います。

そういったところを学べる進学先を選ぶことがひとつの考え方だと思います。学び方はいろいろです。通信制やフリースクールで、力を伸ばすこともよいと思います。

参考までに、文科省ではこんなページも作っています。発達障害のあるお子さんはいじめや不登校になることがとても多いようです。情報をきちんと取り入れて、お子さんに合う進学先や居場所を見つけられると良いですね。

文部科学省 フリースクール・不登校に対する取組 

広域通信制高等学校が展開するサテライト施設について、その施設が所在する都道府県ごとに情報を集約したページもあります。

文部科学省 広域通信制高等学校の展開するサテライト施設に関する調査結果(平成29年度) 

原佐知子
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■□ あとがき ■□--------------------------
次号は、2月28日(金)を予定しています。
新しい企画、かなしろにゃんこ。さんのマンガコラムがスタートします。お楽しみに。

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