Teaching is best learningで自己有能感を育てる

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2018.12.21

Teaching is best learningで自己有能感を育てる

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● 連載:Teaching is best learningで自己有能感を育てる
● 連載:発達障害のある人のキャリアアップ:言葉にする力を身に着ける
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● 連載:プログラミング教育への期待
第3回 Teaching is best learning で自己有能感を育てる
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本稿では、前回に引き続き、「障害ある児童のためのプログラミング教育」に関する実証研究の中で、最後に行った通常級の2年生との交流授業について紹介しよう。
前回紹介した、個々に障害ある児童が、それまで学習した3つのプログラミング活動で学んだ成果を、通常級の2年生を相手にミニ博士として教えようという取り組みである。その背景としては「学習方法の違いによる知識の定着度」(Edgar Dale,アメリカ国立訓練研究所(1946))とう古い研究がある。図1※に示すように、講義を受ける、本を読む、視聴覚教材を活用するなど様々な学習方法がある中で、最も知識が定着する学習方法は「教え合い」だという。受動的学習から能動動的学習へと進むことで知識の定着度が増すという。近年、協働学習やアクティブ・ラーニングが叫ばれるのも、このような学習理論に基づいている。

※図1学習方法の違いによる知識の定着度 (画像はこちら>>

1.プログラミングランドを楽しもう -通常級(2年生)との交流学習-

プログラミングランドでの活動の前に「プログラミングランド」で繰り広げられるピラーちゃん、オゾボット、ビスケットの各プレイランドの内容を紹介するため、2年生3クラス全員を対象としたオリエンテーションを行い、グループごとに各学習内容を友達の前で紹介した。その後、各クラスを周り、それぞれの内容をより身近に詳しく紹介した。各クラスでは、それぞれが、どのプレイランドで学習するかを事前に決め、当日の活動へと進んだ。

※写真1 2年生全体を集めての「プログラミングランド」に関するオリエンテーション (画像はこちら>>

(1)ピラーちゃんゾーン

担当の児童がミニ博士になって、通常級2年生のお友達にピラーちゃんの動かし方、課題解決の方法(目的の葉っぱの位置までピラーちゃんを連れていくプログラムを考える)を教え、通常級の友達が課題解決に取り組んだ。各グループのミニ博士は、ゴールへ達成したかの判定をし、上手くゴールにたどりつけたら、褒美の葉っぱを達成ボードに貼って、各グループで達成状況を競わせた。葉っぱやりんごなどの果物の配置を、単純なものから複雑なものへと、課題レベルをあげていった。

※写真2 課題を説明するミニ博士 (画像はこちら>>

※写真3 獲得した葉や果物を達成ボードへ貼るミニ博士 (画像はこちら>>

(2)オゾボットゾーン

担当の児童がミニ博士になって、通常級2年生の友達にOzobotの動かし方、Ozobotのチャレンジ問題のやり方を教え、通常級の友達がチャレンジ問題に取り組んだ。各グループのミニ博士は、Ozobotが上手く迷路を通り抜け、ゴールへ達成したかの判定をする。上手くゴールにたどりつけたら、褒美のスタンプをあげた。単純なものから複雑な問題へと課題レベルをあげ、報償としてのスタンプ集めが、グループの課題達成の動機づけとなった。

※写真4 Ozobotコードについて教えるミニ博士 (画像はこちら>>

※写真5 チャレンジ問題達成で集められたシール(画像はこちら>>

(3)ビスケットゾーン

担当の児童がミニ博士になって、通常級2年生の友達にViscuitでのプログラミングを指導。まずはお絵かき。次にメガネを使ってどう動かすかをパワーポイントで上手に説明。説明後は、各グループでお絵かきと、書いたものを動かすプログラミングに挑戦。最終課題は、グループで楽しい動きのある作品を作ること。グループごとにミニ博士が、親切に教えてあげていた。

※写真6 グループで個別指導するミニ博士 (画像はこちら>>

※写真7 「私が作ったのが動いてる!」と皆歓声(画像はこちら>>

最後に、ミニ博士が司会役になって、プログラミングランドの感想を聞いた。2年生からは、「ピラーちゃんを最初は上手く動かせなかったけど、友だちと相談して上手く動かすことができて嬉しかった」「オゾボットに右や左と教えるのが大変だったけど、頑張ってゴールにたどり着けたのが嬉しかった。」「ロケットの動かし方で、ミニ博士のルールの説明が分かりやすくて上手くできてとても嬉しかった。」「ピラーちゃんは最初は簡単だったけど、どこを通るかだんだん頭をつかいました。」「ビスケットで動かすのに頭を使って、やってみるとできたのでとっても勉強になりました。」「ビスケットで絵を作って動かすのはとても楽しかった。」等など、うれしい意見が沢山聞けて、ミニ博士たちもとっても満足そうであった。最後に、ミニ博士たちからは、こんな勉強をもっとしたいという声が聞かれ、プログラミング教育の実証実験授業が無事終了となった。

※写真8 参加した2年生から、ミニ博士たちにとってうれしい意見がたくさん聞けた (画像はこちら>>

参加した児童(ミニ博士)の感想の中からいくつかを紹介しておこう。

・ピラーちゃんを上手く動かすことができてとても嬉しかった。
・ピラーちゃんに葉っぱをたくさん食べさせて蝶になったのが嬉しかった。
・オゾボットのプログラミングは難しかったけど、考えたらできて楽しくなってきた。
・ビスケットで自分の書いた絵が出てきて嬉しかった。
・みんなで話し合って、仲間とふれ合ったのがとても楽しかった。
・友だちと一緒にやって楽しかった。
・難しかったけど友だちや学生さん(後述)と相談してできるようになって嬉しかった。
・わからないところがあったけど、学生さんに教えてもらってできて嬉しかった。
・2年生のお友達に上手く教えることができて嬉しかった。
・ロボットとまた遊びたい。

2.持続的かつ能動的学習を進めることができた要因

さて、ここに紹介した一連のプログラミング学習と最後の交流授業をとおして、13名の障害ある児童が、皆、それぞれに能動的に学習を行えた要因と個別の事例についてもう少し考えてみよう。本実証実験授業においては、特別支援学級の担任のみではなく、山西と富山大学で特別支援教育を指導する水内准教授並びに学生の協働で活動が実施された。全体のプロジェクトデザインは山西が担当したが、具体の学習指導については水内、および、特に教材の準備や個々の学習支援では、メンターとして参画した学生の力も大きい。

写真に示すように、単純なピラーロボットを動かすという課題にあっても、一つの直進ブロックで何cm進むのか、左右のブロックでどのように曲がるのかを事前にチェックし、課題解決としての葉っぱや果物の獲得を、簡単な配置からより複雑な配置へと準備したのである。Ozobotに関しても同様の考えで、スタートからゴールへ、簡単な順路から複雑な順路になるよう工夫がされた。Viscuitでは、メガネの働きやアニメーションに登場する部品の描き方を理解しやすいようにメガネボードやお絵かき画面のボードを準備し、児童の学習を支援した。

※写真9 学生メンターによる教材開発 (画像はこちら>>

※写真10 メガネボードで部品の動きを考える (画像はこちら>>

また、プログラミング教育の狙いの一つである論理的思考力の育成にあっては、単に思いつきでブロックを組み合わせたり、コードを貼ったりするのではなく、戦略ボードでまず考え(動きの手順を考える(Plan))、実際に動かしてみる(Do)、うまくできたかチェックする(Check)、うまく行かなかったらどこが良くなかったかを考え、再度手順を考える(Act)のPDCAサイクルを回すように指導した。個々の学習場面において、一緒に活動している友達と考えること(協働学習)も意識させた。このペアのグループ分けは、児童の障害や特質を熟知している担任の力によるものである。また、グループごとに学生メンターが、PDCAサイクルでの学習やコミュニケーションを促す協働学習のファシリテータの役割を果たしたことも持続的かつ能動的学習の大きな要因であった。

※写真11 戦略ボードを使ったPDCAサイクルで児童の学習を促す学生メンター・1 (画像はこちら>>

※写真12 戦略ボードを使ったPDCAサイクルで児童の学習を促す学生メンター・2 (画像はこちら>>

持続的かつ能動的学習の要因については、前回述べた「応答する学習環境」の考え方、すなわち児童が考えた結果がすぐ目の前で、ロボットの動きや作成したアニメーションの動きとして視覚的に捉えられる点も大きい。

さらに、通常級の友達との交流学習で、教師役を果たしたこと並びに、参加した友達から「楽しかった」、「よくわかった」などの言葉をもらったことは、彼らの自己有能感を高めることに大いに役立った。

3.プログラミング学習の客観的効果について

児童の態度変容については、主観的にはこの活動に参画した多くの教師が感じたところであったが、ここで、客観的評価について少し述べておこう。

本事業では、障害のある児童にプログラミング学習を行うことで、論理的思考力が育つことと同時に、認知面や発達の諸側面においても良い影響があるという仮説を持って実証授業を行った。

今日、障害は、WHOのICF(生活機能分類)という枠組みで考えられる。つまり、障害があるから生きづらいのではなく、その人の生活機能は本人の心身機能や身体構造、活動状態、参加の状態、そしてその人の個人因子やその人をとりまく環境因子などが相互に影響しあって決まるものと考えられている。

この考えのもとに、今回の実証授業を、特別支援の必要な子どもに行うということを考えてみると、今回使用したプログラミングツールで教育に取り組むことは、認知能力、特に実行機能に影響を与える事が考えられる。また本授業を通して自分の思い通りの表現やゲーム製作などができ、他者からも褒められることで自己有能感にも作用することが予想される。このような直接的な影響だけでなくそこから派生して、子どもの支援レベルや社会生活能力などにも少なくない影響を与えることが予想された。

そのようなことから、今回の実証事業で、児童にとって直接的に寄与すると推測される、論理的思考力であるプランニング、そして児童自身の自己有能感(コンピテンス)について、実証授業の前後において評価を実施した。

(1)心理面での評価:コンピテンス

本人による自己評価は、運動領域以外は、事前事後変わらず総じて高かった。プログラミング教育に係る本実証モデルは、児童にとって新規であり、知的好奇心を喚起したと考えられる。

※図2 コンピテンス尺度による自己有能感 (画像はこちら>>

(2)論理的思考力の評価:プランニング(DN-CASにおける「文字の変換」)

事後の得点が有意に高かった。特に、回答方略で一番効率的な方略「斜めに変換」を使うものが事前は2名のみだったが、事後は7名と増加。プログラミング教育に係る本実証モデルはプランニング能力を高めたと考えられる。

※図3 DN-CASにおける「文字の変換」 (画像はこちら>>

(3)児童自身によるアンケート結果から

※図4 アンケート結果 プログラミングで楽しかった、うれしかったこと (画像はこちら>>

※図5 アンケート結果 取り組みによる児童の変容 (画像はこちら>>

4.まとめ

(1)シンプルな応答環境

児童にとって、アクションに対する外界の反応が目に見える形で分かる学習環境が、学びを促進するという「応答する学習環境」モデルをふまえ、ロボット教材として、ピラー、Ozobot、また、アニメーション教材として、Viscuitを用いた学習活動をデザインした。いずれもシンプルで反応が即時目に見える。児童アンケート「楽しかったことうれしかったこと」で、参加者全員が「ピラー、Ozobot、Viscuitが自分の指示通りに動いたこと」をあげたことで、本学習教材の有効性が示された。

(2)コミュニケーションと協働作業能力を育むグループ学習

すべての活動において、障害及び学年を考慮した2または3人からなるグループで課題解決を考える状況を設定した。戦略ボード、作戦ボード、確認ボードを共有し、課題解決方略を相談しながら考えることで、コミュニケーションや協働作業の力が育成されると考えた。教員や学生メンターの「友だちとよく相談して考えてみよう」の言葉がけもあり、上記同様、ほとんどの児童が「友だちと一緒に相談しながら取り組んだこと」が「楽しかったことうれしかったとこと」と回答したことからも、グループ学習の効果が明らかになった。

(3)論理的思考力、問題解決能力の育成を意図した戦略ボード等

論理的思考力、問題解決能力の育成には、PDCAサイクルを回すことが重要との考えのもと、P(プラン)で課題解決の方法を考え、D(実行)で考えたプランを実行し、C(チェック)で課題を上手く解決できたかを検証評価し、A(アクト)で改善、再度の計画という手順で学習を進めた。ここで、思考を可視化するツールとして、それぞれの教材に対応して、戦略ボード、作戦ボード、確認ボードを準備した。認知能力検査のプランニング成績で、事前事後で顕著な違いが見られたことは、これらのボードを用いたPDCAサイクルでの学習活動が、論理的思考力、問題解決能力の育成に効果的に働いたと考えられる。

(4)自己有能感を育てる他者に教える活動:Teaching is best learning

本実証研究では、児童が博士(先生)にプログラミングをいろいろ教えてもらうという状況で学習が進められた。最後の活動では、それらを学習した児童が、今度はミニ博士となって通常級の友だちに教えるという状況を設定した。「Teaching is best learning」と言われるが、ミニ博士となって友だちに教えるという状況設定で、指導者としての児童は、より学習内容をしっかり理解しようとする姿が見られると同時に、通常級の友だちに教えるという活動が自己有能感をもたせる結果につながった。

5 おわりに

本稿の内容は、総務省の「若年層に対するプログラミング教育の普及推進事業」の中で、平成29年度に「多様な障害に対応したプログラミング教育」として、富山大学の山西が、同大学の水内准教授並びに富山市立芝園小学校特別支援学級と協働して実施した内容によるものである。詳しい内容をお知りになりたい方は、次のURLを参照してください。
(詳細はこちら>>

山西潤一
(富山大学名誉教授、ICT教育アドバイザー)

 

● 連載:発達障害のある人のキャリアアップについて
第2回「言葉にする力を身に着ける」
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前号で、「自分のことを知る・伝えるための言語化の大切さ」をご紹介しましたが、言葉にする力(言語化スキル)はどのようにすれば身に着けることができるのでしょうか。

私たちは人とのコミュニケーションにおいて、言葉だけでなく服装、髪型、姿勢、身振り、手振り、視線、顔の表情、声のトーン、相手との距離など、非言語コミュニケーションと言われる方法を活用して良好な関係を築くよう努めています。

しかしながら発達障害のある人は、表情や姿勢、身振りなどで表現するのが苦手という方が多いため、対話における言葉の持つ役割は必然的に大きいものとなります。

また、発達障害のある人は、実際のコミュニケーションの場面では、「話し出すととまらない」「話し出すと何を伝えたいのか忘れてしまう」「言っていることがわからないと言われる」「話をうまく組み立てることができない」「話につまると言葉が出てこない」ということが多く、言語化スキルを身に着けることは、重要な生活課題といえます。

ここでは「言葉にする力(言語化スキル)」を、(1)頭の中にあることをアウトプット(話す・書く)すること、(2)わかりやすい内容(構造化)にすること、(3)相手にあった(相手が理解できる)言葉を使うこと、と定義しておきます。

料理に例えてみるならば、頭の中にあることが食材とすれば、アウトプットすることは下ごしらえに当たるかと思います。また、フレームワーク等を用いてわかりやすい内容にするというのはレシピやメニューになります。そして相手にあった言葉というのは、食べる人の好みにあった味ということになります。料理の作り方と同様に一足飛びに難しいメニューに挑戦したり、相手を喜ばせるために作ったことのない料理をするのではなく、まずは下ごしらえがきちんとできる力をつけることが大切です。

1.<下ごしらえをする> 自身の特性にあった方法で「書くこと」を習慣化する

私は、就業中の発達障害のある人が集まる場所では、書くことや(練習のために)話すということを実践することをすすめています。当事者会などではいろんな人が話していることをメモをするという光景はあまり見かけることが少ないのですが、せっかく自分に役立ちそうな話であっても、メモをしないままだと、いい話だったという印象だけが残り、どんな話だったかという具体的な内容は忘れがちになります。殴り書きでもイラストでも自分の認知特性にあった方法で記録しておくことが重要です。特には視覚優位で図形などで認識するのが得意という方にとっては、箇条書きにするよりも、スケッチブックにチャート図やイメージ図などを使ってメモする方が、頭の整理や理解が進むようです。

※認知特性の解説については、前号や下記のメルマガバックナンバーを参照ください。
本田真美先生:「小児発達医・まなみの診察室」の第7話(2011年06月24日)~第12話(2011年09月30日)
(バックナンバーはこちら>>

プロジェクトに参加している人たちは手帳やノート、スケッチブックを常に持って、書く・描く習慣を実践しています。発達障害のある人の中には、対面でのコミュニケーションが苦手という人が多いため、メールやLINEなど、インターネットのコミュニケーションツールを活用して、書く練習するのもひとつの方法です。

このように書く・描くことを習慣化していくと、記憶力の向上にもつながっていきます。

2.<レシピ作りをする> 自分にあったフレームワークを見つける

プロジェクトでは、ビジネスの現場で使われているフレームワークを活用して、わかりやすく書く・話すための実践を行っています。

フレームワークというのは情報を整理したり伝えたりするための枠組みのようなもので、例えばよくネットで見かける新製品の発売や社長の交代など、企業などが社会に向けて発信するプレスリリースがそのひとつで、結論、要約、メッセージをできるだけ短い文章で、読み手に情報を伝えるための構造になっています。

※プレスリリースのフレーム (詳細はこちら>>

また、マーケティングで使う「 MECE( Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)」、「ピラミッド・ストラクチャ」、 「3C分析」、 「SWOT (スウォット)」分析、「4C/4P分析」などの情報を整理するためのフレームワークは、頭の中で考えるととっちらかってしまいがちな発達障害のある人にとっても、とても有効なツールとなります。

この中でSWOT分析は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威) の頭文字を取ったもので、マーケティング戦略を策定する用いられる手法で、ビジネスの様々なシーンで活用されています。

例えば、就職や転職を考えているときに、自分自身の強みは何か、弱みは何か、外部要因にある機会(チャンス)になるものや脅威になるものは何かを整理したうえで、企業や業界の選択、また面接などの自己PRする際に活用することができます。

自己肯定感が低いと弱みに目が行きがちになりますが、弱みがわかっていること、その弱みの対処方法を実践していること、これも「自分のことをよく理解している」という強みにもなります。

前号にも書いた「自分のことを知る」ためにも、いろんなフレームワークを活用して自分自身をたな卸ししてみるのも大切なことです。

※SWOT分析 (詳細はこちら>>

マーケティングという言葉が聞きなれない人にとっては難しいものと感じがちですが、生活を整えたり買い物で商品を決めたり、旅行の行き先を考えたりと日常生活を豊かにするためにも知っておくと便利なものですので、書店などでわかりやすいものを漁ってみるのもいいのではと思います。

情報を整理したり分析するためビジネスフレームワーク(ツール)は、数多くありますので、自分にあったものを見つけることが大切です。

3.<相手にあった味付けをする> いろんな場面で実践してデータベース化する

空気が読めなくて人との会話が苦手、話すタイミングがわからない、話してもとんちんかんなことを言ってしまいそうで言葉がでない、はじめての人とは(場面緘黙傾向があり)言葉が出ずらい、というのは発達障害のある人にとって共通の悩みです。
こういうケースでの対策のノウハウ本はいろいろ出ていますが、あらかじめ想定される場面を考えて、話すことを準備して実践しながらデータベース化していくことも対応のひとつです。

プロジェクトの参加者の中で、社会的実験と称して定型発達のひとたちの集まりに参加して、自身を演じながら反応をみたり、参加者同士のやりとりや話すタイミングの見極めなどを観察して記録に残している人もいます。会話を楽しむのではなく観察するのを楽しんでいると話しています。

緊張したり不安な状態では言葉がでない人が社会実験をする場合は、「面白い」「好き」「わくわくする」「ドキドキする」といった興味関心のある話題に関連する集まりを選ぶのも入りやすい方法だと思います。

発達障害の特性上、興味や好意、関心が高く、自発的に行う行動が適しているため、無理にビジネススクールなどで学ぶよりも、周囲に迷惑をかけたり、誤解を招くようなことでなければ、身近なことで大いに実践してみるのもいいのではないでしょうか。

次号では、主体的・具体的・肯定的な言葉を習慣化することがキャリアアップにとても大切なことを具体的な事例をまじえて紹介します。

榎本哲(つむぐびとプロジェクト主宰)
※発達障害のある人のキャリアアップ創出プロジェクト (詳細はこちら>>
※「働く発達障害の人のキャリアアップに必要な50のこと」(弘文堂) (詳細はこちら>>

 

● あとがき
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2018年最後のメルマガをお届けします。少々早いですが、読者の皆様、どうかよいお年をお迎えください。

次回メルマガは、年明けの1月11日(金)に発行します。

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