知らずにはまってしまう落とし穴〔鵜呑み〕

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2022.03.18

知らずにはまってしまう落とし穴〔鵜呑み〕

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■   連載 知らずにはまってしまう落とし穴〔鵜呑み〕
■□  シリーズ:子どもゆめ基金のデジタル教材(最終回)
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 ■ 連載:暮らしの中の情報教育【いつでもどこでも情報活用】
              第3回:知らずにはまってしまう落とし穴〔鵜呑み〕
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【噂を鵜呑みにしてはいけない】そりゃそうですね。ほとんどの人は、気を付けています。

〔@@ちゃんが言ったから~~〕が通用するのは、噂で動いても大した被害がない(あやふやな人間関係が優先される)子ども時代の話。
と思っていたのですが、つい最近、〔鵜呑みの深淵〕を思い知りました。

鵜呑み と言いますが、どういう意味なのでしょう? 一応、調べてみました。
〔鵜のみ 語源〕とキーワードを入れると、いろいろなサイトが出てきますが、内容はほぼ同じ。

1)〔鵜〕が魚を噛まずに丸呑みすることから、食べ物を噛まずに飲み込むこと。
2)人の話(考え)を理解しないで、そのまま受け入れること。

人は鵜の性質を利用し〔鵜飼い〕という漁法を編み出しました。〔鵜〕には選択権がありません。本能のまま飲み込んだ魚を、飼い主の都合で吐き出さされます。一見(というか、こう書くと) かわいそう… 
そう思い込むと、先入観の落とし穴にはまります。調べなくちゃ…

宮内庁のサイトです。
〔岐阜県の長良川では,毎年5月中旬から10月中旬の間,1300年来我が国の古代漁法として伝承されてきた鵜飼漁が御料鵜飼として皇室の保護のもとに行われています。〕だそうです。鵜匠は、宮内庁の職員の身分「宮内庁式部職鵜匠」だとか… ホ~~知らんかった…

え? じゃあ鵜飼でとった鮎は、私たちは食べられないの? 疑問は広がっていきます。

長良川鵜飼の公式サイトです。
読み応えズッシリ、スッキリ感もシッカリ。ほとんどの疑問は解けました。

・宮内庁式部職鵜匠は、9名
・一般人は観覧船で、御料鵜飼 が終わった後の鵜飼をみることができる
・鵜 が飲み込んだ鮎は高級品として扱われ、市場には殆ど出回らない
・無理やり吐き出させているのではなく、鵜匠と鵜の アウン の関係
などなど…

※ 鵜飼で獲れた鮎が、高級品 な訳。
 鵜が鮎を飲み込むとき、喉で鮎を締め、鮎が瞬殺される。そのため脂が流れず、身のシッカリしまった高級品となるのだそうです。 ホ~~~

鵜呑みの語源に、もう一つあるという話を見つけました。〔うんのみ(なんでもウンウンと受け入れる)〕から来たというのですが、このページの文章表現は、途中で〔事実と自説の混在〕が見られるから、鵜呑みにはできないわね…

今回の本流は、鵜呑み の解説じゃあないので先に行きます。

2月24日、衝撃ニュースが入りました。〔ロシア、ウクライナに侵攻〕

プーチン大統領のテレビ演説の第一声は
・北大西洋条約機構(NATO)諸国が、ウクライナの民族主義者やネオナチを支援している
・ウクライナ東部の「人民共和国」が支援を求めている
・ウクライナ東部での「特別な軍事作戦」の実施を決めた

同時に、キエフを含むウクライナのいくつかの都市で爆発音が聞かれ、軍事施設へのミサイル攻撃が開始されました。破壊され燃え上がる都市・施設、地下鉄や市外に避難する人々の写真や動画がネット上にあふれ、時々刻々とニュースが入ってきました。
それによれば、その日のうちにチェルノブイリ原発が占拠され、翌日には飛行場が制圧されました。欧米を中心に、対ロシアに対する経済的制裁が開始され、ロシアの孤立化を狙っています。
攻める方も守る方も早い展開です。前々から入念に計画していたのでしょう。

私も戦争を知らない世代です。でも鉄や金属の焼ける匂い、煙を吸い込んだ息苦しさなどは知っています。送られてくる写真・映像にその記憶を重ねると、逃げ場のない怒りや悔しさを感じます。 なぜ… かわいそう… 
そして、いかに自分が無知であったかを思い知ります。

急に戦争が始まったわけではない。1991年ソ連が崩壊し、2004年にバルト諸国がNATOに加盟したときから、既に火種が産まれ、2014年2月(8年前)のクリミア併合はその端緒。以来8年間、ロシアとウクライナは本格的な戦争を視野に入れた衝突を続けていたこと…
2月24日の数週間前には、ロシア軍はウクライナの包囲を強め、ウクライナ側も大戦の準備を進めていたこと…
親ロシア派を傀儡政権として承認し、そこを足掛かりに侵略を進めるという方法は、クリミア併合で既に使われていたこと。攻撃しないと約束した人道回廊への攻撃、はシリア内戦で既に実行された戦術であること。

なぜプーチンがウクライナを〔ネオナチ〕といったのか、ウクライナがロシア人を虐殺(ジェノサイド)しているといったのか、欧米に無視されたという昨年7月に発表されたプーチンの論文…
プーチンの言い分の根拠についても調べました。

8年前から本格的紛争状態にあったウクライナとロシアです。ウクライナの国内にあるロシア勢力に対抗する右翼系勢力(ネオナチと呼んだ勢力)が生まれるのは必至ですし、ウクライナ側もある程度の協力関係を保ちながらロシアを窺うでしょう。双方の小競り合いの中で死者も出ます(この時点で既に、日本とは違う空気ですね)。

火のないところに煙は立ちませんが、その火が焚火か火事かは火元に行ってみないと分かりません。空間的にも時間的にも、火元に行くのは簡単じゃあありません。

幸い情報社会では、右も左も、上も下も、富も貧も 情報が発信されています。その中から事実(事実と思えること)を拾い、多くの判断やその根拠を比べ、最終的には自分で何を信じるかを決めていくことが可能です。例えばこんな感じ…

地図を見るとウクライナは、ヨーロッパとロシアの間にある緩衝地帯のような大きい国。NATO加盟国を地図にプロットしてみると、なるほどロシアはどんどん取り囲まれてきている。

プーチンは〔(冷戦終了(ベルリンの壁崩壊)時に交わした)NATOの拡大はしないという約束を欧米が破った〕と言いました。1989年当時、冷戦終結の調印をしたゴルバチョフさんによれば〔約束はなかった〕そうです。2018年出版の回顧録によれば、「当時のドイツに関してベーカー国務長官との会談で出た話」だそうで、後の調印に盛り込まれたそうです。具体的には、〔旧東ドイツ領への外国軍の配置や核兵器とその運搬手段の配備を禁止し、西ドイツの兵力を大幅に削減する〕という内容。

火元を確認してみると、論のすり替えがありますね。ベルリンの壁崩のころからKGB※で活動していたプーチンです。知っていて利用している(自説に都合よく取り込んでいる)感があります(これ、私の判断です)。
※編者注 ソ連国家保安委員会:旧ソ連の秘密警察。ソ連崩壊(1991年)まで存在し、反体制活動の取り締まりなどの国内治安活動の他、対外諜報活動にも従事。

こんな感じで、一つ一つ、2月24日からの1~2週間は、湧いてくる疑問を解消するために調べまくりました。
そして、ハタと気づきました。どうして今頃、この戦争に驚いているのだろう… 私…

鵜呑みの深淵(とてつもない落とし穴)に、落ち込んでいたのです。日本は平和だ という鵜呑み。過去の話じゃありません。私がいい年の大人として生き、仕事をし子育てをし、平和を楽しんでいた最中に、同時並行して進んでいた現実です。それを知らずに、ベトナム戦争、中東戦争、シリア内戦、アフリカ内戦、ISIS※、香港 … ぐらいの(しかも表面的)知識。
しかも、どこか遠い他国の話。戦争という言葉から、内戦、弾圧という表現に変わってきたことも、平和の錯覚に影響しています。
※編者注 イスラム国と呼ばれることもある。イラクとシリアで発生したイスラム過激派組織。

そして今回、驚き怒った世界中の民衆の予想に反して、NATOやアメリカは、ロシアに対する経済制裁やウクライナへの経済支援は強めても、今(3月15日時点)のところ、本格的軍事介入(派兵、大型戦闘機や戦車等の供与など)には、慎重です。
〔第三次世界大戦を回避するため〕であることはもっともですが、ロシアの本気(ここまで攻撃をすること)を予測できていなかったのでしょうか…?? それとも、これも、予測の範疇だったのでしょうか? 
だとしたらウクライナは、世界の力の均衡を測定するモノサシの役割を持たされている …

日本は平和、紛争は遠い国の出来事、ベトナム戦争(東西冷戦の代理戦争と言われました)では負けたが冷戦はアメリカが勝利した、その後は内紛や弾圧が起きているが世界も概ね平和…

残念ですが、私はこういう感覚でした。

よく「日本人は外国で、不用心だ」と言われます。もちろんヒッタクリや強盗らしき人かげに用心しますが、それは国内でも(都市部では)していることです。〔外国で不用心〕というのは、もっと別の意味があったのでしょう。
島国ですから、すぐとなりに敵国がない歴史が、民族意識に刷り込まれているのかもしれません。しかし情報社会では、いつでもすぐ隣は別の国です。地続きでなくても、経済・ネットワーク・生活すべてが、すぐ影響します。コロナの蔓延を見れば、それは明白でしたね。

でも、周りの日常(生活・報道・話題…)が、知らず知らずの〔平和の鵜呑み〕を作り上げていました。報道を鵜呑み(内容だけではなくそのバランス含めてすべて)にしてはいけませんね。もちろん、よくよく調べれば、どこかに書かれていることはたくさんあるでしょう。実際、2月24日からの1~2週間、調べまくればどこかに情報はありました。そして落とし穴に気づかされたのです。

ここ数日、調べまくって見えてきたことと同じようなことが、やっと報道されるようになっています。いくつもの新聞を読み比べると、そこには情報伝達ゲームのように、ニュアンスの変化も読み取れます。
〔日本の報道は欧米の情報を訳して垂れ流している〕と称している人がいました。鵜呑みにはできません。しかし、コロナを調べたときよりも、ウクライナ情勢については歯切れが悪かったのは事実(実感)です。

この知らず知らずにはまってしまう、〔鵜呑みの落とし穴〕には、どう注意していけばよいのでしょう…??

今回の教訓から得たいくつかの答え

・些細なアレ?(疑問)を、調べまくってみる
  ⇒ 何でもかんでもする余裕はありません。
    大事なことは何か のアンテナも磨きましょう。
・世界は、力の均衡をかろうじて保っている と認識する
  ⇒ 平和がどのように続くかは、この均衡次第
・悲劇の裏には、必ずそれで喜んでいる人がいる
  ⇒ これは哀しい事実です。軍需発注、傭兵の投入… 既に始まっていますね…
    次の選挙の宣伝材料にして煽っている人もいる…
・常に、疑問を持つ
  ⇒ 今の現状、確かと思っていること… すべてをときおり見返す
    そこに疑問を持つ。 そして、最初の教訓に戻ります


◆小田 和美
情報ネットワーク教育活用研究協議会(JNK4)理事、聖心女子大学講師、大妻女子大学講師
教育情報化コーディネータ検定、情報支援員認定、情報モラル指導モデルカリキュラムや情報活用能力評価カリキュラムの作成、情報教育ポータルサイト構築など、情報教育の研究・推進活動を行っている。


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 ■ シリーズ:子どもゆめ基金のデジタル教材(最終回)
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本メルマガ編集の五藤です。2020年11月27日号からシリーズとして、独立行政法人国立青少年教育振興機構の助成に基づいて開発され、一般公開されているデジタル教材を紹介してきました。これまで11団体が開発した教材を紹介してきましたが、それらとは別のジャンルで魅力的な教材を、今回は最終回としていくつか紹介させていただきます。

なお、子どもゆめ基金の下記Webページに教材が紹介されていますが、助成の条件として定められている普及活動の期間が限られていることもあってごく一部となっています。

※子どもゆめ基金の教材リンクページ 

ですから、今回のシリーズで紹介した以外にも、無償公開されているデジタル教材が多数あることを知っておいていただければと思います。

1.コミュニケーションを学ぶ:KIDSの宣言!、他
一般社団法人フリンジシアターアソシエーションは、子どもたちに考えたり、発表したりといった行動を身につけさせるために、参加型の活動を展開している団体です。

子どもゆめ基金との関わりでは、2019年度にKIDSの宣言!、2020年度にKIDSのなんでも相談会!の2つのWebページを開発しています。それぞれWebページから抜粋、引用して内容をご紹介します。

1)KIDSの宣言!
 
○この教材について
e-コンテンツ「KIDSの宣言!」は、子どもたちが他者との関わりの中で、<ルール作り>と<対話の知識と技能>を使える形で獲得していくアクティブラーニング型プログラムです。デジタル教材本体と、利用方法を説明したこちらのウェブサイトと、ワークショップで使えるマニュアルや配布資料等が一体型になったコンテンツです。インターネット環境、プリンターがあればすぐに利用をはじめることができます。

○概要
認知科学と学習論をベースに、
1)対話やルール作りの大切さ
2)意思決定の重要性
3)対話と合意形成のスキル
について、ゲームを通し実用的で深い学びを提供する体験型のプログラムとなっています。

○ねらい
本教材は、主に8~12歳の子どもたちが、他者とのかかわりの中で刺激を受けたり表現したりしながら「ルール作り」および「対話の知識と技能」を使える形で効率よく獲得していくために、この教材1つで体験学習を実施できることを目標につくられています。子どもが、対話のための基礎能力である「根拠に基づいて意見を表明する力」「相手の意見を傾聴し、批判的に検討する力」「意見と人格を切り離して対話できる力」を身につけることができ、また、子どもたち同士の対話を体験してもらうことをねらいとしています。

2)KIDSのなんでも相談会!
 
○育てよう!ケアリングの力
『KIDSのなんでも相談会!』は、子どもたちがケアリングの仕事を通じた他者との関わりの中で、他者を演じながら「相手の話を傾聴し、相手の心に寄り添って考える力」、「相手に伝わるように語る力」を獲得していくことができます。今後10年~20年のうちに既存の職業の約49%が機械に置き換わると予想されているAIの時代において、人にしかできないケアリングの方法を楽しく学びましょう。

○KIDSのなんでも相談会って?
eコンテンツ『KIDSのなんでも相談会!』は、子どもが専門家と一般市民の関わりをロールプレイで疑似体験できるアクティブラーニング型プログラムです。子どもたちは、相談会というフォーマットのアクティビティを通してケアリングの入り口となる「人の想いに耳を傾ける体験」を手軽に体験することができます。

舞台は近未来の世界。アンドロイド「KAMIMO」のアテンドの元、「ナンディモタウンセンター」で市民相談会が行われます。子どもたちは「専門家・相談者・精霊」それぞれの役割になりきり、決められた時間内での相談プロセスを体験できます。

2.子どもの読みたい本を探せるデータベース:本の海大冒険
一般財団法人大阪国際児童文学振興財団は、大阪府立中央図書館をベースに、子どもたちに本を読むきっかけと、選ぶ楽しさを知ってもらうことを目的として活動しています。
子どもゆめ基金との関わりでは、好きな本を見つけるためのWebサイト:本の海大冒険を開発し、公開しています。

デジタル教材の開発以外にも、参加型の読書に親しむ活動を行っており、それについても子どもゆめ基金の「読書活動」の助成金も活用しています。その一例として、おはなしモノレールを紹介します。

1)本の海大冒険 
2014年度の子どもゆめ基金教材開発・普及活動の助成を受けて開発されたものです。
小学生低学年と高学年に分けて、本が探せるようになっています。キーワードを入れると候補の本が提示されますので、自分が読みたいと思える「ことば」を入れて、いろいろな本と出合うことができます。ものがたりと知識を得るための本の両方が用意されています。

また、通常の本の探し方の他に「あそんで探す」という入り口を用意して、子どもの興味を引き出せるように工夫しています。画面のキャラクターが出す質問(アンケートやクイズ)に答えることで、その子どもが好むかもしれない本の候補が複数、提示され、自分に合った本に出会えるようになっています。

たどりついた本の紹介では、概要の他に、本の表紙の画像が見られるようになっています。また、著者や絵本の画家の名前から、その人のかいた本にもたどり着けるようになっています。

ともかくたくさんの本に出合える工夫が満載で、文章だけで説明することが難しいです。読者の方には一度、上記ページを訪問して、いろいろと遊んでみていただければと思います。

2)子どものためのリアル催し:おはなしモノレール 
大阪市の近郊に出かけて、貸し切りのモノレールの中で絵本やおはなしを楽しみます。また、彩都西駅にあるCube3110彩都インフォ*ミュージアムではパネル・シアターも見学します。

この他にも、さまざまなイベントを催されているようです。本を読みたいと思うきっかけには、本の好きな人(司書さんなど)と一緒にいろいろな活動を体験するのは、とてもよいアイデアだと思いました。

この他にも、10代の子ども達が性について気軽に学べるサイトや、浜辺で見つけられる微小物を調べて情報を共有するサイトなど、幅広いジャンルの教材があります。子どもたちの興味関心を拡げ、体験活動を誘発する可能性の一つとして、頭の片隅に収めておいていただければと思います。


◆五藤博義 
【レデックス通信】編集長


■□ あとがき ■□--------------------------

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