暮らしの中の情報教育~いつでもどこでも情報活用

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2022.02.18

暮らしの中の情報教育~いつでもどこでも情報活用

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■   まえがき
■□  新連載:暮らしの中の情報教育【いつでもどこでも情報活用】
■□■ シリーズ:子どもゆめ基金のデジタル教材ー(連載)子どもたちの豊かな科学的体験を支援 
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■□ まえがき ■□--------------------------
今回は、シリーズ:子どもゆめ基金のデジタル教材の「子どもたちの豊かな科学的体験を支援」第2回と、新しい連載の初回です。

新連載については、著者の小田和美氏から内容紹介のコメントが届いておりますので、ご紹介します。

生活の中の題材を使って、情報をどう活用していくかを考えていきます。
情報の落とし穴は、わかっているようで、いつの間にか、はまってしまいます。ここ最近の大学の授業で使った題材も紹介しながら、身近な話題提供をしていきます。
情報に溺れているか、落とし穴に気づいているか、自分チェックをしてみませんか?

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 ■ 新連載:暮らしの中の情報教育【いつでもどこでも情報活用】
              第1回:教材がいっぱい~~
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「お仕事は?」「教員です」
「小学校?」「いえ、大学の...」
「何を教えていらっしゃいますか? ご専門は?」「情報教育です。教育工学という分野で…」
「ああ、コンピュータの先生ですかぁ(^o^)]

若いころは、「いえ、そうではなく…」と説明していましたが、ある時からやめました。
いくら言葉を尽くし工夫して説明しても、伝わらない人には、伝わらない…

その理由を整理してみました。

  ・言葉を尽くして説明されると、知ったような気にはなるが理解はできない
  ・そもそも、相手の仕事の内容の理解に、さほど興味がない
  ・教育工学やら情報教育やらの、馴染の薄い言葉
      ⇒ なじみのある言葉『コンピュータ』に置き換えてわかったことにする

予備知識・体験があれば、理解しやすいし、興味があれば理解しようと努力する。
そうでないと人は「わからない自分」に落ち着かず、分かったような気になるために中途半端に理解する。

そういうことなのね~~

これは、人が新しいことを学ぼうとするときに落ちる「落とし穴」とよく似た構図です。
自分を振り返ると、思いあたるところは多々あるはず。常に自覚していないと、せっかくの学びが、時間の浪費になります。

大学で授業するときの難しさも、これに起因しています。

 ・工夫して説明すると、学生さんはうなづきながら聞くけれど、なかなか理解に繋がらない
 ・単位のため学ぶけれど、どれほど自分に必要なものかにはさほど興味がない
 ・自分の理解の容量を超えると、既知な(できる)ことと置き替えて理解したことにする

ね?! よく似ているでしょ~!!

授業を組み立てる醍醐味は、この落とし穴の被害をどう最小限にしていくかです。鍵は2つ目の落とし穴。いま学んでいることが“自分にとっていかに大切か”を実感させ、興味づけていくかです。よくモチベーションの維持といいます。その通りですが、小さい子どもと違って、簡単な話じゃあない(飴や鞭が簡単に効くわけでなし、知恵もついてきていて抜け道探しもうまい)。アハハハ… 教師と学生さんの攻防ですわ~~~

例年、学生さんの専門に近いテーマを探し、教材を工夫します。
でもね~~ 専門性といっても、情報活用を学習する1~2年生ではまだ、自覚が浅い。
専門とめざす領域の面白い話には飛びつくけれど、深めていく学びの面白さはまだ知らない…
(そういう娘さんが多い… とっても多い…(´;ω;`)ウッ…)  あ、あ… 私、女子大で教えているもので…

ところがここ1~2年、世の中、教材がいっぱい~~~ なのです。
理由は、そう、コロナ。

良い教材としての要素は十分。
新しい・未知・豊富・玉石混同・自分に深いかかわり・生死・世界規模…

そして、知らないでは済まされない情報です。
コロナのおかげで、学びが大きく深化しました。少し、紹介しますね。

〔確かな情報源を探そう〕、〔事実と判断・噂 を切り分けよう〕

ここら辺の学習は、とても分かりやすく進みました。
なにせ、豊富な情報があります。学習したことを使うのと使わないのとでは、検索結果が違う。学習の効果は一目瞭然。

〔データをもとに考えよう〕、〔確かでわかりやすい情報源を持っておこう〕

これらの学習では、以下のサイトをよく使います。

 ◇国内・都道府県別の感染者数(累計、日ごと)
   
 ◇世界の感染状況(チャート)やマップ
   
上はNHK、下は日経 のサイトです。データは、厚生労働省やWHO のものですが、見せ方がうまく(わかりやすく)、使いやすい。

〔情報は目先ではなく、全体を見よう〕

2020年の初めの頃は、報道の側も手探り状態。「昨日より@@名増加」「昨日より@@名減少」という見出し。
見る側もその数値を見て、減った、増えた と思っていました。

データ処理の教材を作るため、毎日のデータをエクセルにコピーし、グラフを作ってみて、気づきました。

≪アレ? 月曜日・火曜日は、他の曜日より少ないみたいねぇ…≫

調べたら、土・日は、病院も保健所も休みのところが多い。
そうか!! 検査する人が少ないから、感染者の数値も低くなるのね~!!(当時の話です。今は検査結果が早く出るので、日・月が比較的少ない)

毎日のデータの数値の増減では、全体的な流れは把握できないわね。

そこで、前後7日の平均値を、その日の感染者の数値としてグラフを作り直したところ、全体の動向が見えてきました(この方法だと、その日の数値は3日後まで決められないので、結局、その日の前7日間の平均値を使いました)。

早速、考え方や方法を教材にしました。
今では、7日間移動平均値を使うのは、スタンダードになりましたね。

データを元に考える と知ってはいても、なかなか難しいものです。数値を示され、増えた・減ったと言われると、増えたり減ったりしているように思ってしまいます。それは事実だけど、事実じゃない… 
全体を見る(俯瞰する)という意識を持っていないと、数字に踊らされます。

今回はもう一つ、情報活用を実践してみましょう。

先ほどのNHKのサイトに行き、上部にある〔ニュースを見る〕〔データで見る〕〔知っておきたい〕の中の〔データで見る〕をクリックします。

さまざまなデータをまとめてくれていますねぇ。その中の、〔都道府県ごとの感染者数〕を選んでください。日本地図が出てきましたね?!
全国の都道府県が発表したその日の新規感染者数を、地図上にまとめて表記してあります。数値データは、事実です。これを見ると、東京が突出しています。
やっぱり東京って、感染者が多いのね~~… と思ってしまいますが、そうでしょうか?

1月中旬、後期の最後の授業の頃、沖縄の基地からオミクロン感染が広がったと話題になっていました。その頃の沖縄県の感染者数は、1,500名前後。ちょうどその頃、東京も感染拡大が始まっていて、新規感染者は1万人を超えようとしていました。1月22日のデータが残っているので引用しますね。比較のために、他県もいくつか載せておきますね(大阪は第2の大都市。北海道、京都は、観光地ということで…)。

       感染者数
 東京都  11,227
 北海道   1,605
 大阪府   7,375
 京都府   1,533
 沖縄県   1,313

東京、やはり多く見えますね。

でも待ってください。東京は大都市。人口も多いですから、感染者数も多くて当たり前ですよね。
沖縄県や他の県が、東京と同じ人口だとしたら、感染者は何人いることになるのかしら?(東京感覚に置き換えてみましょう)
人口を調べます(これもネット検索すればすぐ出てきます)。

      人口      感染者数
 東京都  13,515,271   11,227
 北海道   5,381,733    1,605
 大阪府   8,839,469    7,375
 京都府   2,610,353    1,533
 沖縄県   1,433,566    1,313

沖縄県の感染者割合は、 
1313÷1,433,566 ですね。

もし沖縄県の人口が東京都と同じだったら、感染者は、
13,515,271 ×1313÷1,433,566 人です。

他の県も同じようにして、東京都の人口で換算してみました。

2022.01.22              東京換算
       人口     感染者数  感染者数
 東京都   13,515,271   11,227   11,227
 北海道   5,381,733     1,605     4,031
 大阪府   8,839,469     7,375     11,276
 京都府   2,610,353     1,533     7,937
 沖縄県     1,433,566          1,313        12,379

当時、沖縄県は、東京都より感染者が多かったことがわかります。大阪府も、東京より多かったのですね。

数字はうそをつかない と言います。
数値自体は、正しい数値かもしれません。しかしその数値を見て判断する(感じる)のは、人間です。
ここに、情報活用の難しさがあります。

情報を正しく処理・判断していくには、いくつもある落とし穴を、十分知っておく必要があるのですね。
(ちなみに、NHKのサイトではいま、10万人換算の感染者のグラフも提供しています。報道も学習・進化してますよ~~)
 
◆小田 和美
情報ネットワーク教育活用研究協議会(JNK4)理事、聖心女子大学非常勤講師、大妻女子大学非常勤講師
教育情報化コーディネータ検定、情報支援員認定、情報モラル指導モデルカリキュラムや情報活用能力評価カリキュラムの作成、情報教育ポータルサイト構築など、情報教育の研究・推進活動を行っている。



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 ■ シリーズ:子どもゆめ基金のデジタル教材
            連載   :子どもたちの豊かな科学的体験を支援
                          第2回 おもしろプログラミング@ミニミニコンピュータ実験室
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2021年は、GIGAスクール元年といわれ、小・中学校の児童生徒一人1台の端末が整備されてICTの活用が始まっています。「GIGA」とは「Global and Innovation Gateway for All(全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉)」の意味です。このエポックとなる大事なときですので、先生方や子ども達のICTを活用した学習がスムーズに展開できるよう、関係者のご協力を得て諸活動に取り組んでいるところです。

今回ご紹介する教材は、小学校でのプログラミング教育の必修化を見据えて、コンピュータの知識の習得、実践の基礎となるべき教材として制作しました。

小学校での「プログラミング教育」は2020年度から必修化されました。情報化の対応が遅れていると言われる我が国において、情報教育の充実、ICT機器の導入整備は喫緊の課題であり、加えて、この「プログラミング教育」を円滑に進めていくための教材の充実が不可欠でした。

また、この教育課程の改善の取り組みと併行して、当時の政府の政策によりGIGAスクール構想が推進され、ICT機器環境は大きく変貌しました。それを支えるのも適切な教材です。

この教材は、プログラミング学習についての体験学習を指導する方向けに、コンピュータの入門レベルの知識から初歩のプログラミング体験までをまとめたものです。必修化されるプログラミング教育を実施するうえで、コンピュータの扱いに不案内な先生方にその基礎となる用語や内容を解説し、プログラミング体験ソフトウェアを紹介するなどにより、指導に役立てていただくことを期待して作成したものです。

〇教材の概要
この教材は、世界的に注目されている子どものプログラミング学習についての体験学習に活用していただくよう、コンピュータの基礎知識からプログラミング体験までを体系的に示し、授業での実践や指導される方の研修教材としても活用できるものです。この教材を利用される方が環境を再現しやすいように、ハードウェアには低価格な教育用のコンピュータを、プログラミング環境には無料のソフトを使用しています。

 
この教材では、ブラックボックス化が進み、携帯電話やスマホの中に潜み始めていたコンピュータをもう一度「見えるもの」にし、小学生以上のすべての年代の人間が、自分で考え、手を動かして操作できるようになるという知恵が込められています。

日進月歩ともいえる進化をしているコンピュータの利用実例と多くの教材の中で、この教材がさらに智慧の普及として世の中に貢献できることを確信し、また期待して作成したものです。

〇教材の構成
この教材は、以下のようなコーナーで構成され、基礎知識から始まって具体的な体験へと展開していきます。

・「はじめてのソフトウェア」
・「はじめてのプログラミング」
・「Scratchを使いこなそう」
・「はじめてのミニミニコンピュータ」
・「ミニコンピュータを使ってみよう」
・「はじめての体験活動」

〇「はじめてのソフトウェア」

※教材サイト「はじめてのソフトウェア」

コンピュータの解説は、日頃触れる機会の多い人でも、なかなか難解です。ましてや初めて接する子どもたちにとっては聞き慣れない言葉のオンパレードで、指導する先生にとっても、理解し、子どもたちに教えるとなると、不安を持つ方も多いと思います。

ステップを踏んで、理解を深めることで、いずれ情報化社会の中で情報やICT機器を駆使して活躍する人を育てるという大切な使命を果たして頂きたいと願うものです。

「はじめてのソフトウェア」では、以下について説明しています。
この教材の基礎中の基礎です。

・「コンピュータとプログラム」
・「プログラミングとは何か」
・「アルゴリズムとは何か」
・「データとは何か」
・「プログラム言語とは何か」
・「OSとは何か」

最初の「コンピュータとプログラム」では、コンピュータとは何か、プログラムはどのような役目を持っているのかを理解してもらうことを目的としています。

ハードウェアであるコンピュータを作るのは、なかなか大変ですが、ソフトウェアであるプログラムは個人でも、子どもでも自作することができます。超精密工場は必要ありません。パソコンやスマートフォンでもプログラムは作ることができます。

プログラムは難しいのではないか、と尻込みしてしまうかもしれませんが、簡単なプログラムで練習し、だんだんと複雑なものに挑戦していけばいいのです。

〇「はじめてのプログラミング」
こうしてソフトウェアの基礎について学んだところで、以下のような次の段階へと展開していきます。

・「はじめてのプログラミング」
・「Scratchを使いこなそう」
・「はじめてのミニミニコンピュータ」
・「ミニミニコンピュータを使ってみよう」
・「はじめての体験活動」

ここでは、プログラミング、プログラムとは何かという基本を理解していきます。そして「アルゴリズムとは何か」「データとは何か」「データ構造とは」と更に知識を深めていきます。

そしていよいよプログラミング教材「Scratch」を使った実践体験へと移っていきます。

※教材サイト「Scratchを使いこなそう>ネコを回転させよう」


〇教材の普及・活用
この教材は、本センターの子ども向け教材、開発教材・普及活動のサイト※で利用できます。本教材サイトのトップページには昨年も100件程度のアクセスがあります。

※教材サイト 

文部科学省による教員のICT活用指導力についての調査(2020年度)では、「ICT活用を指導する能力」があると答えた教員は6割程度にとどまった項目があります。

今回ご紹介した教材等の活用により、先生方の指導力の向上が図られることを願っています。

◆山本惠一
公益財団法人学習情報研究センター
常務理事・事務局長 

 
■□ あとがき ■□--------------------------
次回は、3月4日(金)を予定しています。

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