料理には子どもの力を伸ばす要素がいっぱい!

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2020.04.24

料理には子どもの力を伸ばす要素がいっぱい!

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■  連載:料理には子どもの力を伸ばす要素がいっぱい!
■□ 連載:怒らないで育てるということを深く考えてみたら世界の見えかたが変わった
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 ■ 連載:療育畑で30年かけた取り組み!家庭でできる療育のコツ
         第3回 料理には子どもの力を伸ばす要素がいっぱい!
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成長した子ども達の実例を交えて、その失敗が成功のもとになるコツをお伝えします。

相談に来られた保護者に「療育」と言うと「むずかしい」「できない」と敷居が高く思われる場合があります。そこで、療育は特別なことではなく、「家でお手伝いから始めてみませんか?」というように、家庭でできそうなことから始めてもらいます。

例えば、帰宅した時に靴を揃えること、ポストから新聞を取ってくること、食事の時に使うお皿をテーブルに並べることなど身近なお手伝いから始めます。最初は、「できる」ことだけでなく「できそうな」ことを、手を添えて大人がやっていくことからがスタートです。「ほとんど私がやってしまっているんですけど」と言われる親御さんには、大人がやっていることを見本にして、やり方を教えながら一緒にすることの大切さと、徐々に援助を減らしていくことをお伝えします。

4歳で相談にこられた美由ちゃん(仮名)のお母さんは、指先に力が入らず、手指の使い方が不器用と言われました。お母さんには「ゆで卵」の殻むきをお勧めしました。最初の頃は殻に白身が引っ付いてしまい、ゆで卵は二回りくらい小さくなっていましたが、いくつも殻をむいているうちに次第に美由ちゃんの小さな手でむけるようになりました。お母さんは手を添えてあげたり、傍らでやり方を見せたりしていかれました。いくつも殻をむいているうちに次第に美由ちゃんの小さな手でむけるようになりました。

そして、殻むきをする時に絵と字で書いた『レシピ』を用意し、お母さんが読みながら手順を進めていきました。絵の説明が分かりやすく、字にも興味を持ち始めていたので、『レシピ』に興味をもちました。次に、卵をそっと扱う、鍋に入れる、水につけるなどの工程を一緒にやってみました。時には、鍋の中で卵が割れてしまうこともありましたが、卵は崩れても、サラダに入れられるなど応用がききます。「失敗」となりにくいのです。美由ちゃんはゆで卵が大好きになり、次の料理へ興味を持ちました。お母さんも声かけだけでなく文字を使うやりとりを工夫されて、指示が適切になっていかれました。

※ゆでたまご のつくりかた

9歳の雅也君(仮名)は特別支援学校の小学部3年生、発語は2語文程度で、水をさわることが大好きな男の子でした。雅也君は指先の不器用さと様々な場面で経験不足がみられました。そんな雅也君に「米研ぎ」を勧めました。最初はお母さんが「無理です」と言われていましたが、こちらからお母さんに写真による米研ぎの手順書をお渡しした後、雅也君にさらにわかりやすくするためお母さんに写真の横に文字を書き入れてもらいました。早速家に帰って手順書を見せて説明したあと、後ろから手を添えて米研ぎに挑戦されました。

雅也君は張り切ってやり始めたのですが、研いだ水を換える時にうまく手を使えず、お米が流れ出てしまいました。お母さんはどうしようかと一瞬思われたのですが「お米には神様がいるからね、そっと拾おうね。」と一粒ずつ一緒に拾って戻されました。彼も一粒ずつ拾い大切に戻しました。再び研いで炊飯器にセットし、雅也君にスイッチを押してもらいました。炊き上がったご飯を雅也君がよそって家族みんなで食べたそうです。そして、雅也君は2杯も食べて満面の笑みだったそうです。その後、雅也君は何度も米研ぎを繰り返すうちに、研ぎ汁を流すときのボウルの傾き具合や手の添え方など変わっていったそうです。その頃から手の使い方が少しずつ変わっていきました。

12歳の克也君(仮名)は小学校の特別支援学級で学んでいました。手の協調が難しく、左手の押さえが利きにくいことが多くの作業の課題でした。また、時計を読むことはできたのですが、秤の読み取りとdl(デシリットル)やccなどの量の単位が苦手です。分かりづらいことが判断の弱さにもつながっていて、自信の無さがイライラした表情に現れてお母さんも戸惑っておられました。

そこで、苦手な単位ccなどをレシピに取り入れて『親子どんぶり』をつくることを宿題にしました。お母さんはレシピの表に、合わせ調味料の入れ方を書いて一緒に取り組みました。ボウルにみりんを入れるのは4杯、1杯入れるごとに番号に〇を入れていき、全部入れたら次は醤油を入れる、というように作業工程を分かりやすくしました。レシピを確認させながら、大さじは何cc(15cc)か確認し、4杯の場合は15cc×4というように計算しながら実際の量を計って、触って実感させたそうです。調味料ができたら克也君はすぐに鍋に入れたがったのですが、「時間を置く」ことを教えました。その間に、鶏肉を切ったり、卵を割って溶いたり、物事の手順や同時に進めることを経験し実感させるためにされたのです。料理の間はイライラした表情も無く、真剣に取り組んでいたそうです。

そして、彼が一番楽しみにしていたのは、家族が彼のつくった料理を「美味しい!」と食べてくれる瞬間でした。その後、お父さんは彼の料理を楽しみにするようになり、お姉ちゃんは「地味だけど美味しい」と言ってくれます。この経験は克也君の自信につながり、「親子どんぶり」は彼のつくる定番メニューとなったそうです。

不器用で自信がなかった子どもたちも料理を継続することでさまざまな役割を担い、自信がつきました。美由ちゃんはお母さんが書いてくれたレシピから、文章の読み書きに興味を持ち始めて、レシピを読むだけでなく、字をきれいに書く練習をしたそうです。そして、友だちとのお手紙交換を楽しむことにつながったそうです。雅也君は卒業後に就労支援事業所の喫茶で働いており、注文をとるなど接客をしてコーヒーを運んでいます。克也君は親子どんぶりを作ったことがきっかけに料理が好きになり、お客さんの喜ぶ顔を見たいと食品会社で働くことになったのです。

幼児期は「遊びが広がらないんです」という相談があります。そんな時に本物を扱う「料理」を勧めます。料理は家庭でできる療育の取組の一つです。料理を続けることで手の使い方が変わります。自分の作った料理の味見をすることで偏食が減った子もいます。計量することで算数・理科・国語の要素を含んだ生きた学習になります。そして何よりも自分の作った料理を家族と一緒に食べる喜びや、人のために働くやりがいにつながり、責任感が育ちます。いずれ子ども達は、大人になっていきます。先輩の親御さん達は「子どものつくった料理を味わえることは何よりの幸せです」とおっしゃっています。始めは手を添えての一歩ですが、料理をやってみてはどうでしょうか。
料理には子どもの力を伸ばす要素がいっぱい!です。

発達の気になる子シリーズの著者
橋本美恵&鹿野佐代子
誤学習・未学習を防ぐ!発達の気になる子の「できた!」が増えるトレーニング
未来に飛び立て!発達の気になる子の大人になるためのチャレンジ〈学齢期編〉

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 ■ 連載:いい意味で"諦める育児"で、反抗期も親子で笑い合えた
         第3回 怒らないで育てるということを深く考えてみたら
                      世界の見えかたが変わった
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ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太を怒らないで育ててみよう!という実験のような育児に挑戦してみました。どうせ育てにくい子なんだから、いい子になる育児っていうのをダメもとで試してやろうじゃないの!ってヤケになった気分で始めたペアレント・トレーニングでした。

※ダメもとでやってみようじゃないの!! 


私はなんでも自分で実験して結果を知りたがる人間です。分からないことは研究したり試したりすることが好きでした。理科では実際に実験していないものでは、先生や教科書が「この物質はこうするとこう化学反応を起こす!」と言っても「本当かな?目の前で見ないと信じられない」と疑う女です。

ですから育児でも「褒めて伸ばす、怒らないで育てる」この方法でどう効果が出てくるのか知りたかったのかもしれません。

ナマイキ盛りの思春期に入った小4ですから、精神的に幼くても親を怒らせる言動などは頻繁にあって、怒らないようにしていてもたまには怒ってしまうこともあります。
でも「怒らなくてよい」という自分が50%。「どうしても怒りたくなったら怒っていい」という自分を50%、半分ずつ自分の中に置くことで心のバランスがうまく保てるようになりました。

※怒っていい50% 怒らなくていい50%

怒らないことを我慢しすぎてストレスになってもダメだし、怒ることでストレス発散となりエスカレーションしてもいけない。

ガミガミ母ちゃんだった以前の私は「怒らなくてよい」20%「怒っていい」80%くらいの比率で、子どものミスに対して厳しく、着火しやすい性格でした。こんな母が発達障害がある子を育てるのですから、子どもの自己肯定感をガンガン下げてしまいます。

※やばっやってた!

「人として小さい私が改心するために、発達障害がある子を授けてくれたような気がする~」とまで思うようになりました。これも息子のあら捜しを止めて、心が穏やかになったことで気持ちに余裕ができたから考えられるようになったんだと思います。

「リュウ太は私を成長させるために天からやってきた天使的な存在かもしれない、この子を大事に育てないと後悔するかもしれないな~」などなど、ファンタジーな発想もできるくらい広い心の母?(自画自賛)

※リュウ太恐ろしい子!おもしろすぎる

発達障害は悪いことばかりではない、発達障害の特性をいい方向に伸ばすことにしよう!と息子の将来のプランなども落ち着いて考えることができるようになりました。
いつも50%50%の自分でいることで、「別に怒らなくていいや」状態が続くと息子と一緒にいても苦にならなくなってきて、鉄道のイベントに出掛けたり、親子で海外ドラマを鑑賞して感想を述べあったりと親子関係は良くなっていきました。

息子のほうも甘え方?母の喜ばせ方がもともと上手なので小4小5でも「お母さん大好き」と平気で言葉にする子でした。

すると「うちの子はかわいいわ、リュウ太は生きてるだけでいいよね」と様々なことに寛容になれたのでした。

息子が息をしている、しゃべっている、歩いている、笑っているだけでいいじゃないか!勉強なんてできなくてもいいし、学校に行きたくなければ行かなくてもいいし、宿題もやりたくないならやらなくていい、勉強なんていつでもできる!と、私が考えていた理想の息子像が書き換えられていくと、目の前の息子を本当に愛せるようになっていくのでした。
私はコレを「いい意味で諦める育児」と呼んでいます。

※「いい意味で諦める育児」

抱いていた理想を捨てる、諦める。ちゃんと諦めると理想というものが無くなります、そうするとなんでも良くなるのです。

なんでもよくなると目の前のできないことだらけの息子でOK!となるのです。
執着を一旦捨てて新しいものを入れるという自己啓発本に出てくるような考え方ですが、この方法は子育てにも応用ができて精神が安定しやすくなりました。
息子は生きている、それだけで完ぺきなのです、それ以上それ以下に何も求めなくてもいいのだと思いました。

できないこともそのうちできるようになる、そのうちでいい!必要なときが来たら絶妙なタイミングでできるようになる!成長は親が無理やりどうこうできるものではないですものね。必要なときにできるようになるものなのだと、親はそのタイミングを早めたり遅くしてしまったりしないように子どもに任せていくしかない。

調子よく成長させるために褒めてあげて毎日気持ちよく過ごさせてあげるほうが得なのかもしれないという、育児書に書いてある良い育て方の図式が少し見えてきたのでした。
「怒らないで褒めて育てる」は育児書に必ずといっていいほど紹介されているコツです。
なんで褒めるといいのだろう?と最初はハッキリとした理由がわかりませんでしたが、いい言葉をかけると人間は変わる、愛していると注目するだけで子どもの行動は変わるという記事を読んでやっとわかりました。

褒めることや親子のスキンシップで脳から精神を安定させるセロトニンや意欲やヤル気が出るドーパミン、安心や幸せを感じるようになるオキシトシン、集中力やヤル気を高めるノルアドレナリンなどが分泌されやすくなるのだと、こういう物理的?科学的な根拠があってなのだとわかると、すぐに育児に取り入れてみよう!という気になったのでした。気になるととことん調べてみたり、理屈が分かると納得して従うようになるあたり、私も発達障害の特性があるのです(笑)

※褒められることでホルモンが、、 

こうしてペアレント・トレーニングのおかげで私の育児はやっと楽しくなってきたのですが、反抗期で新たな課題が出てきました。
次回は反抗期の子どもとの対決☆ナマイキな言葉を投げられたときの私風の受け流し方。をお送りします。


かなしろにゃんこ。
著書『発達障害 僕にはイラつく理由がある!』講談社
 



■□ あとがき ■□-------------------------- 
次号は、5月8日(金)を予定しています。

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