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発達を支援する生活動作(食事:食べ方編)

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● 連載:発達を支援する生活動作(食事:食べ方編)
● 連載:感覚処理アセスメントの作成の経緯
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● 連載:発達を支援する生活動作
第3回 発達を支援する生活動作(食事:食べ方編)
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生活動作には、食事、更衣、排泄、入浴、整容、起居動作、移動などがあります。日々の生活を送るために必要な動作であり、日常生活動作(ADL: Activities of Daily Living)と呼ばれています。生活動作を自分で出来るようになってくると、手伝われることを嫌がり自分で行いたくなってきます。子どもがこの状態になるように関わり、その後獲得していけるまで、じっくりと待つこと、さらに必要に応じた適切な支援がとても大切になります。

〇食事動作

生活動作の中で、多くの子どもたちが積極的に取り組める動作は食事動作になります。それは生きていくために必須であることと、欲求が満たされるからです。したがって、他の生活動作と比べて非常にモチベーションが高いために、療育指導をする効果的な場面になります。食事動作では、口腔機能の発達、上肢機能の発達、道具操作の発達、自己統制力の発達など、多くの発達を促すことができます。本稿では、その中から食事動作を中心にしてお伝えします。

・食事場面で確認したいこと

(1)食欲があるか、(2)おやつの内容と量、(3)飲み物の内容、(4)食事時間と所要時間、(5)食事の形態があっているか、(6)偏食があるか、(7)食べ方など、多くのことを確認する必要があります。

(1)食欲、(2)おやつ、(3)飲み物、(4)時間

食事の量と内容を確認します。小食の子どもの場合には、三回食から四回食に増やすこともあります。注意したいことは、食事と食事の間の時間をしっかりと空けることです。ダラダラと食べ続けている状況は良くありません。食欲がないと訴える子どもの中には、おやつやジュースで満たされている場合がありますので、確認する必要があります。

中には拒食や小食の子どもたちがいます。それらの子どもたちには特別な対応が必要です。その基本は、関わる人との信頼関係を構築すること、無理強いはしないことです。年齢の低い子どもには、大人が無理強いすれば一時的に食べることもありますが、その大人がいなくなれば食べませんし、食事場面自体が嫌いになることもあり、自ら食べるようにはなりません。子どもが成長して力をつけてくると、無理強いはできなくなり結局、子どもにとっては嫌な体験をしただけになります。その体験が原因で、拒食になったりパニックの原因になったりしてしまいます。

(5)食事の形態

柔らかすぎ、硬すぎ、小さすぎ、大きすぎなど、食物の形態が子どもの食べやすいものになっていないと、丸呑みや吸い取り食べになり、口腔機能が発達しにくい状況になります。子どもがむせやすい場合も、食物の形態が合っていない可能性があります。誤嚥のリスクが出てきて誤嚥性肺炎を起こす場合があるので注意が必要です。

(6)偏食

偏食の原因に感覚の過敏が関係することがあります。匂い、触感、見た目などにより、不快に感じている場合があるのです。苦みや酸味のある食べ物は、本能的に避けようとする傾向があります。また繊維質の多い食べ物も低年齢だと食べにくいために避けようとする傾向があります。

年齢が高くなることで食べられるようになるものもあります。信頼関係の取れている大人が促しの声掛けをして、子どもが自ら食べてみようと取り組む以外に、無理に食べさせる必要はありません。

野菜が苦手だから野菜ジュースを飲ますというのは誤った対応になります。野菜ジュースも半分は果汁なので、糖分を取りすぎて成人病リスクが高くなります。

食事時間で食べられなかった場合に、休み時間になっても食べ終わるまで食事を続けさせる対応も避けます。自己評価や他者からの評価も下がることにつながり、最も伸ばしたい自尊感情の発達に影響します。小食や偏食がある子どもの場合には、配膳の際に子ども自身に食べるものと量を調整させます。自分で決めた量を食べ切った方が達成感もあり、食事の時間が嫌にならずに済みます。給食の時間が嫌で、不登校になる子どもが多いことを知っておく必要があります。

(7)食べ方

獲得したい食べ方は、姿勢を正し、器を支え、適切な食具を使って、一口分口に入れ十分に咀嚼した後に嚥下しを繰り返す食べ方です。逆に、気を付けたい食べ方は、器に口をつけたかきこみ食べ、口に入っているうちに次を口に入れる詰め込み食べです。このような食べ方を続けていると多くの食べ物が口に入り十分に咀嚼しない状態で丸呑みするようになり、その感覚に慣れてしまいます。パンなどを詰め込むことで窒息する危険性もあります。嚥下機能が低下する障害のある子どもにとっては非常に危険な食べ方になります。

低年齢の時に、一人で食べられることや、スプーンよりも箸を使わせることを目標にした場合に、不適切な食べ方になる可能性があります。年齢が上がり社会に出る準備の段階になると、食べ方が指摘される場合が多いです。食具の持ち方や箸を使えることをすすめるよりも、まずは食べ方に注意を払うことが大切になります。

詰め込み食べやかきこみ食べをしている子どもは、適切な一口量が分かりにくいので、口に入っているうちは、次を口に入れさせない工夫が必要になります。咀嚼が少なく丸呑みする子どもには、かじりとり食べが有効です。食べ物を一口大に切り分けてあると、口の中に放り込むだけになり、適切な一口量をかじり取って食べる経験をしないことになります。適切な量をかじりとり食べをしていくことで、咀嚼が発達していきます。

かきこみ食べ、詰め込み食べ、丸呑みしている子どもの食べ方は非常に早いことが多いです。食事以外の場面でも衝動性が高く学習や集団活動などがうまくできないことがあります。落ち着いて食べられるようになると、自己統制力が高まり、食事以外の場面も落ち着いた行動がしやすくなります。したがって、食事動作は非常に重要な活動なのです。

これ以外にも、水分摂取の発達段階、歯磨き、食べすぎや偏りによる肥満、排便も食欲に影響する事柄になります。

生活動作を考えるときにただのスキル獲得だけでなく、社会に出るために必要な実行機能や自尊感情の発達を意識した対応が重要になります。

生活動作をさらに知りたい場合には、「発達が気になる子へのスモールではじめる生活動作の教え方」、「苦手が「できる」にかわる! 発達が気になる子への生活動作の教え方」(ともに中央法規出版)をご参照ください。

※発達が気になる子へのスモールではじめる生活動作の教え方
(詳細はこちら>>
※発達が気になる子への生活動作の教え方
(詳細はこちら>>

株式会社児童発達支援協会
リハビリ発達支援ルームかもん
代表取締役 鴨下賢一

 

● 連載:感覚・動作アセスメントの概要
第2回 感覚処理アセスメントの作成の経緯
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1.はじめに

前号で、感覚・動作アセスメントの概要を説明しました。今回は、感覚・動作アセスメントの感覚処理面のアセスメントの作成の経緯について、少し詳しく説明します。

2.感覚面のアセスメントの項目・評価領域の作成

感覚面のアセスメントは、質問紙を使ったものが以前から使われていました。国内では日本版感覚インベントリー(JSI-R)(太田, 2002)がよく使われてきました。最近では、感覚プロファイル(Dunn, 1999; 辻井, 2015)もよく使われています。子ども達に見られる感覚処理の問題をこれらの質問紙によって把握する試みがなされてきました。これらは親御さんが質問紙に回答するものでした。

一方、学校においても感覚面のアセスメントの必要があったことから、Dunn(2006)はSensory Profile School Companionを開発しました。欧米では、この質問紙を用いて、教師が生徒の感覚処理の問題を評価することができます。ところが、日本には教師が学校の中の様子を見て、生徒の感覚面の問題を把握するためのアセスメントツールがありませんでした。そこで、教師が使える感覚面のアセスメントツールを作成してきました(岩永ら, 2017; 上田ら, 2015; 中山ら, 2012a; 中山ら, 2012b)。これらの研究プロセスでは、感覚統合理論を参照し、感覚過敏だけでなく、感覚刺激への気付きにくさ、感覚刺激を求めすぎる行動なども評定できるような項目の工夫をしました。また、教師が学校での生徒の生活の様子を見て判断できる質問の工夫もしました。「感覚・動作アセスメント」の感覚面のアセスメントのための質問項目と評価領域は、これまでの研究を踏まえて作られたものです。

感覚に関する質問は45項目用意しており、学校生活の中で周囲の音や臭い、見えるものなどへの反応や自己の身体感覚への反応などに関して、教師が質問後項目に回答するように構成されています。回答は5段階で、教師は「まったくない(0点)」、「まれにある(1点)」、「ときどきある(2点)」、「しばしばある(3点)」、「いつもある(4点)」のいずれかの回答をするようになっています。

結果表示は、これまでの因子分析研究で明らかになった感覚処理の4因子すなわち、「感覚探求」、「認知を伴う過反応」、「身体感覚への低反応」、「過反応」に対応したスコアと「固有受容覚」、「前庭覚」、「触覚」、「聴覚」、「視覚」、「嗅覚」、「口腔感覚」の感覚系ごとのスコアが出てくるように構成しています。これらをわかりやすく示すために感覚・動作アセスメントでは、各領域ごとのスコアをレーダーチャートで、パーセンタイルスコアによって表示するようにしています。

3.支援方法の提示

筆者は、学校訪問をすることが多く、そこで教師に生徒の感覚面の問題を理解していただけるように説明したり、対応方法を提案したりしています。その中で、複数の教師から感覚面の問題があることは気付いていたが、どのように配慮すれば良いのかわからないという意見をいただいていました。また、感覚プロファイルを使用している療育関係者から、感覚プロファイルのスコアを出したが、それに基づいてどのような支援をすれば良いのかわからないとの意見も聞いていました。このような中、全ての教師や療育関係者に感覚統合理論を詳しく知ってもらい、質問紙の結果から、対応方法を考案してもらうというのは、難しいことであることを感じてきました。

そこで、筆者は学校の教師や療育関係者が子どもの感覚処理の問題を評価してスコアを出すだけではなく、支援方法を提示するツールが必要であると考えました。そこで、教師が感覚処理に関する質問項目に回答することで、感覚処理の偏りだけでなく、それぞれの感覚処理の問題に応じた支援を提示するアイデアが生まれました。

4.おわりに

以上のような経緯を経て、教育現場で教師が感覚処理の問題を自ら評定して、支援方法を模索できるようなツールを、レデックス社の協力のもとに具現化したのが感覚・動作アセスメントの感覚処理アセスメントの部分です。

○文献
・太田篤志、土田玲子、宮島奈美恵: 感覚発達チェックリスト改訂版(JSI-R)標準化に関する研究.感覚統合障害研究9: 45-46. 2002

・Dunn W: The Sensory Profile: User’s Manual. San Antonio, TX: Psychological Corporation. 1999.

・Dunn W(2006) Sensory Profile School Companion Manual San Antonio, TX: Pearson.
Dunn W著(辻井正次監修:萩原拓、岩永竜一郎、伊藤大幸、谷伊織): SP感覚プロファイル.日本文化科学社.2015

・岩永竜一郎:自閉症スペクトラムの子どもの感覚・運度面の問題への対処法.東京書籍.2014

・岩永竜一郎, 加藤寿宏, 伊藤祐子, 仙石泰仁, 徳永瑛子, 東恩納拓也, 樫川亜衣, 上田茜: 学校版感覚処理アセスメントの因子分析研究, 日本発達系作業療法学会誌, 5(1): 9-14, 2017

・上田茜, 岩永竜一郎:学校版・感覚運動アセスメントシートの通常学級児のデータに基づく因子分析~感覚系の結果~. 感覚統合研究. 15: 41-50, 2015

・中山茜、岩永竜一郎、十枝はるか:学校版感覚・運動発達アセスメントシートの開発~感覚面に対するアセスメント~. 感覚統合研究. 14:47-52. 2012a

・中山茜、岩永竜一郎、十枝はるか:学校版感覚・運動発達アセスメントシートを使った広汎性発達障害児の感覚面の評価~パイロットスタディ~. 感覚統合研究. 14: 53-58. 2012b

岩永竜一郎
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授

 

● あとがき
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「レデックス通信」の配信方法を、前号より変更いたしました。

これまでは自社サーバより配信しておりましたが、お蔭さまで購読者数も増えてきたため、より安全で安定した配信を行うべく、新しい配信システムは「ブラストメール」(詳細はこちら>>)という、専門の外部サービスを導入いたしました。

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