ヴァラエティ・カフェ

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2011.08.12

ヴァラエティ・カフェ

スマートフォン、Androidは基本ソフトの情報を公開しており、様々な分野で応用ソフトや専用機の開発を志す人のグループ「友の会」が組織されています。その一つ、障がい者支援をテーマに活動する「福祉部会」に招かれて、7月31日に発達障害について話をすることができました。

Ustreamで配信された動画がYouTubeにアップされています。シャープ様のご好意で、その会議室を日曜日にお借りして使っており、省エネで窓を開けての会議でしたので、外の騒音が入って聞きにくい内容ですが、もし、ご興味をお持ちいただければご覧になってください。

http://www.facebook.com/all4variety/posts/107199939381730

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【目次】
(1)ヴァラエティ・カフェ-発達の遅れと多様性
(2)ヴァラエティ・カフェ-矢幡洋スペシャル・トーク
(3)おすすめコンテンツ「ねぇ、きいて。」
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7月30日に東京・豊島区心身障害者福祉センターをお借りして、気になる子をもつ保護者の懇談会「ヴァラエティ・カフェ」第1回を実施しました。今回はそのレポートを紹介させていただきます。

会の内容は下記ページをご覧ください。
http://www.facebook.com/all4variety/posts/238901832801619

主催はヴァラエティ・カフェ推進委員会で、趣旨に賛同した個人から成る、任意団体です。メンバーは下記pdfファイルをご覧ください。
http://www.ledex.co.jp/sharedfiles/v-cafe_member.pdf

(1)ヴァラエティ・カフェ-解説1:発達の遅れと多様性

スピーカーはカフェ推進委員会のメンバー、榎木丸真子さん。第1子の娘さんが生後10か月で自閉症と診断されたことがきっかけで療育を始め、療育センターまで立ち上げてしまわれました。療育の専門家としての視点と保護者の視点の両方から、発達障害について知っておきたい基礎知識を解説していただきました。

1.子が発達障害と診断された保護者の気持ちの推移
下記の図は、先天奇形をもつ子どもの誕生に対する親の反応を表したものです。程度は異なりますが、私自身もこの図と同様にI.ショック、II.否認、III.悲しみと怒り、IV.適応、V.再起、と推移し、今は娘と一緒に生活できることを楽しめるようになりました。
http://www.geocities.co.jp/NeverLand-Mirai/9326/souki2.html

会場には、もしかしたら、いろいろ悩まれている方もいらっしゃるかもしれませんが、いつかは私と同じような気持ちになると信じていただければと思います。

2.発達障害の多様性
自閉症が最初に認識されたのはわずか70年前であり、発達障害に関する診断自体がまだまだ流動的です。また、診断名とされてきたADHD(注意欠如多動性障害)やLD(学習障害)、広汎性発達障害、精神遅滞も重複している場合が多いです。加えて、年齢によって(認知機能が発達することもあって)診断名が変わることもあります。つまり、一人ひとり、抱えている困り感が異なっていると捉えるべきで、それによりそってサポートするという姿勢が大切になります。

3.どれくらいいるの?
30年前は1000人に1人と言われていました。ところが現在は、自閉症スペクトラム(ASD)と診断される子どもだけで100人に1人います。なんらかの困り感をかかえる小学生は、10人に1人ともいわれます。

これは、診断基準が変化することが原因ですし、問題とされる基準も時代によって変化することが影響を与えています。

4.遅れ?多様性?個性? → 脳のタイプ
ASDでは「ウイングの3つ組」といわれる特徴があります。イギリスの児童精神科医、ローナ・ウイングが自閉症の中核症状として提唱したものです。
(1)社会的なふるまいの特徴やその学び方の特徴
(2)社会的なコミュニケーションやその学び方の特徴
(3)社会的イマジネーションの特徴

これらの特徴をなくすことを目指すのではなく、よいところを伸ばし、特徴を利用して出来ることを増やしていくことが大切です。つまり、3つ組は、長所でもある、と考えることです。

3つ組の他にも、感覚の偏り、不注意、多動といった特徴をもつ子どももいます。それらを抱えながら、社会で生きていく力を育むサポートが必要なのです。

5.自己肯定的理解を高める子育て
●強みと苦手は、同じ特徴の表と裏
例えば、電車へのこだわりを活かして、駅名を全部覚えて地図ばっちり。
駅名を書き込ませる遊びで文字ばっちり。
走ることがすき、を活かして、マラソン、陸上競技ばっちり、などなど。

あくまで、楽しい!ことがモチベーションアップには重要です。

6.どんなサポートがあるの?
・療育:できることを増やす
- 公的な療育 言語聴覚士や作業療法士、TEACCH、感覚統合
- 民間の療育機関 ABAなどの個別療育
- 家庭療育
・ペアレントトレーニング(親サポート)

7.あきらめない、あさらない、がんばりすぎない:楽しい子育て
・今ある困難をカバーし、将来の夢のためにじっくり、ゆっくり、こつこつ
・発達凸凹の子に役立つことは、それ以外の子どもたちにも役だつ
・生きることを楽しむこと、夢を見ることができること、幸せになることを求めていく

8.参考文献・おすすめ書籍
・矢幡洋「数字と踊るエリ」講談社
・杉山登志郎「発達障害のいま」講談社現代新書
・高橋和子「高機能自閉症児を育てる」小学館101新書
・中田洋二郎「子どもの障害をどう受容するか」大月書店
・平岩幹男「あきらめないで!自閉症」講談社
・吉田友子「自閉症・アスペルガー症候群の『自分のこと』のおしえ方
学研ヒューマンケアブックス
・兼田絢未「親子アスペルガー」合同出版
・Lobin H.「無限振子」協同医書出版社
・ジェニファー・エルダー、マーク・トーマス「みんなとはちがった人たち」
スペクトラム出版社
・キャロル・ストック クラノウィッツ「でこぼこした発達の子どもたち」
すばる舎

最後に一言。娘がまだ小さかった頃、なかなか受容できず、崖の近くにいった時、ここで落ちた方がこの子のためかも、と思ったことがあります。3~4歳になってようやく、この子にも生きる権利、夢を追う権利があると気づきました。そして、子どものためのサポーターとして生きる決心をしました。

いろいろなお子さんをお持ちの方がいらっしゃると思いますが、どの子にも持っている力があって、必ず伸びていくので、あきらめないで、あせらないで、がんばりすぎないでがんばっていただければと思います。

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(2)ヴァラエティ・カフェ 矢幡洋スペシャル・トーク

テレビで、犯罪者の心理の解説で度々登場する臨床心理士、矢幡洋(やはたよう)さん。医師に小児科とそれ以外があるように、心理士にも子どもを対象にする人とそれ以外があり、発達障害については門外漢だったそうです。
長女についても、小学校入学の直前になって、特別支援学級への入学を薦められるまで、自閉症とは考えなかったそうです。

1.食のこだわりと睡眠障害、写真での視線
最初に娘が普通と違うと気づいたのは生後4日目。様々なミルクを用意しましたが母乳以外はいっさい受け付けませんでした。そのため、泣く度に母親が授乳しなければならず、大変な負担でした。また、続けて眠る時間もごく短く、夫婦が交代で娘に付き添わざるを得ませんでした。そのため、共働きの生活に大きな支障が出ました。

ところが生後7~8カ月の時に、突然、母乳を飲まなくなりました。最初は、おなかがすけば、あきらめて飲むようになると考えましたが、まったく改善されません。やむなく様々な乳児用食品を試すことになります。

これらの食へのこだわりは、今にして思えば、普通の子どもとは大きく異なっていました。

娘につきっきりだったこともあり何千枚と写真を撮ったのですが、親に視線を向けたものは1枚もありませんでした。抱かれてもエビ反りになって、他のものを見てしまいます。

2.ことば、親への愛着
従兄は重度の自閉症です。もう50歳ですが、親に関心も持たず、言葉も一言も話しません。そういう従兄を見て育ちましたので、娘に11ヵ月で初語が出たこと、その後もいくつかのことばを話すようになったことから、自閉症ではないと、夫婦で思おうとしていたようです。

2歳になって、母親が「言葉が増えていない」と漏らしたことがきっかけで、語彙が増えていないことに気づきます。1歳は「語彙的爆発期」ともいわれ、1日に7~8語を覚えるなど、一生でもっとも語彙の増える時期です。ところが娘は食べたい、ぬりえ、などと、言葉としては要望を断片的に口にする程度でした。

もう一つ、自閉症ではないと思った要素が親への関心です。娘は親が大好きでむしゃぶりついてきます。これも、他人に無関心だった従兄との違いで、自閉症ではないのではと考えてしまいました。

ところが5歳の時のエピソードで、真相が分かります。体調を崩していた母親がその日、一段とひどい腹痛で苦しんでいました。そんな母親に対し、いくら私が静止しても、娘はいつも通りに何度でもむしゃぶりついていきます。親に対して関心をもってはいても、親の表情を読み取ることはまったくできていなかったのです。

3.早期発見のかぎ
今にして思えば、定型発達の子と娘のもっとも大きな違いは、自分のことを見てほしい、知ってほしい、という行動がなかったことだと気がつきます。
普通だったら、積み木を高く積み上げたりした時など、自分のやりとげたことを見てほしいと親に働きかけます。保育園から帰ってきたら、その日の園のできごとを何かしら話すこともあるでしょう。それに対し、娘はそういった行動を一切しませんでした。

自閉症にも、高機能、中度、重度と人によって程度の差があります。ことばが話せる、親に関心をもつ、ということだけでなく、その実情を詳しく知って、判断することが必要だと思います。

4.子どもへの関わりの方法:発達的アプローチ
6歳の誕生日の前日に、専門医から自閉症の診断が出ました。ただ、就学前に担当部門に呼び出された日に特別支援学級への入学を即断するように要求された反発で、1年だけ普通級への入学を認めさせるということになりました。
そのことで、なんとか普通級に対応させなければならないと、海外の文献を取り寄せ、自分なりに工夫して自閉症の療育に取り組んだ訳です。そして、今娘は、普通級の5年生として、通知表でオールB、学校で困る行動はない、と評価される状態になっている訳です。

著書「数字と踊るエリ」にもたくさんの療育の方法を紹介していますが、療育に取り組む際に参考になる方法をひとつだけ紹介します。

言語の改善や人への関心を持たせるために、毎日1冊、絵本の読み聞かせをしました。本を読みあげ、娘の関心をひくために自分なりの解説を考えて話しかけたのですが、それでは不十分、不適切だったということです。

例えば、娘から「おさるさん」という言葉が出たとします。その視線の先を見て、何に関心があるのかを知るように努めます。「木の上」という言葉が出たら「飛び降りるのかな?」などと声をかけて、自発的に次の言葉が出てくるのを待ちます。出てくるのが単語であっても、それに最小限の言葉を添えて、娘自身が行動するのを待つようにすることが大切だと思います。

5.最後に
宮沢賢治が死ぬ2日前に書いた手紙を朗読して、まとめとします。
肺結核と一緒に人生を送った宮沢賢治は「はたから見て簡単にできると思われる行為であっても、障害・疾患がある人間にとっては、信じられないような行為なのだ」と伝えたかったに違いありません。目に見えない障害である発達障害も、定型発達者からみればできて当たり前のことで、できないことをたくさん抱えていることをご理解いただきたいと思います。

●宮沢賢治、柳原昌悦あての手紙(1933年9月)から引用

風のなかを自由に歩けるとか、
はっきりした声で何時間でも話ができるとか、
自分の兄弟のために何円かを手伝えるとかいうやうなことは
できないものから見れば神の業にも均しいものです。

そんなことはもう人間の当然の権利だなどといふやうな考では、
本気に観察した世界の実際と余り遠いものです。

どうか今のご生活を大切にお護り下さい。

上のそらでなしに、しっかり落ちついて、
一時の感激や興奮を避け、
楽しめるものは楽しみ、苦しまなければならないものは苦しんで
生きて行きませう。

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ヴァラエティ・カフェの動画ページを用意しています。2本の解説とスペシャルトーク、推進委員会のメンバー紹介を2本の動画でアップしています。

その1 カフェの趣旨~榎木丸さん~矢幡さん
http://www.facebook.com/all4variety/posts/180630025336376

その2 としまテレビの予告CM~矢幡さん~原さん~メンバー紹介
http://www.facebook.com/all4variety/posts/140014866084286

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(3)おすすめコンテンツ「ねぇ、きいて。」

VOCA(音声出力型コミュニケーションエイド)といわれるもので、自閉症や失語症など、声を出してコミュニケーションするのが苦手な人のための支援ツールの一つです。VOCAには専用機として販売されるものもありますが、これは、スマートフォン(iPhoneとアンドロイド)にインストールして使います。

使い方はとても簡単です。ソフトを起動して、次の画面「カテゴリ」で「たべたい」「ほしい」「やって」「あいさつ」「おへんじ」など12種類の絵から1つを指で触って選択します。その次の画面の「シンボル」で、その目的語に相当する語を選ぶと、音声が出ます。例えば「たべもの」なら「ごはん」「ラーメン」「アイスクリーム」などと組み合わせます。「ほけん」なら、「あたまがいたい」「おなかがいたい」「ころんだ」などがあります。すると「アイスクリームたべたい」や「あたまがいたい」といった二語文の音声が出て、利用者の代わりに、他の人に伝えてくれます。

画期的なのは、その価格です。専用機が数千円から数万円、他のスマホ用ソフトが千円代から数千円もするのに対し、iPhone用が250円、アンドロイド用が300円です。

基本的な使用方法の他に、独自の画像と音声を登録してオリジナル機能を追加することもできます。また、自分でスマホを操作できない当事者に代わって、支援者がいくつかの候補を画面に出して、当事者に選んでもらうサポーターモードもあります。さらに英語圏向けの別製品、Powwow Talk!や、英語がにがてな日本人が、外国で英語のコミュニケーションに使う Let's Talk!という製品もあります。

商品名「ねぇ、きいて。」開発:愛知工業大学・鳥居研究室。購入は、それぞれのスマホの購入サイト、iPhone APPか、Android Market から。
最新バージョンは、iPhoneが2011年4月、Androidが2011年5月。
http://ne-kite.com/

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8月27日-28日に早稲田大学で開かれる「自閉症カンファレンスNIPPON 2011」の医療機器コーナーに「こども脳機能バランサー・タッチ」を参考出展できることになりました。カンファレンスに参加される方は、講演の合間にでもぜひサブプログラムのブースにお立ち寄りください。

http://www.asahi-welfare.or.jp/info/2011/tokyo/conference2011.html

次回メルマガは8月26日金曜日の予定です。まだまだ暑い日が続くようです。
くれぐれも熱中症にはお気をつけください。

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