19 歳、養護学校から女流王将へ

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2011.08.26

19 歳、養護学校から女流王将へ

平成20年度から文科省が行っている「脳科学研究戦略推進プログラム」の研究案件が決まりました。発達障害関連4件、うつ病関連4件、脳老化関連3件です。自閉症サイエンスカフェを行っている金沢大学も採択されています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/boshu/detail/1309958.htm

目をひくのは「自閉症の病態研究と新たな診療技法(診断・予防・治療)の開発」浜松医科大学、代表:森則夫教授。昨年1月に発表した研究を発展させるものだと思います。期待したいと思います。
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/25817.html

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【目次】
(1)ヴァラエティ・カフェ-相談機関と支援制度を知っておこう
(2)小児発達医・まなみの診察室 第10話
(3)おすすめコンテンツ「生きてこそ光り輝く」
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(1)ヴァラエティ・カフェ-相談機関と支援制度を知っておこう

7月30日に東京・豊島区心身障害者福祉センターで行った、気になる子を持つ保護者の懇談会「ヴァラエティ・カフェ」第1回レポートの続きです。

スピーカーはフリーランスで執筆・編集を行う傍ら「障がい児・者の医療を考える会がじゅまる」事務局長と「大田区自閉症の子を持つ親の会『翼』」コーディネーターを務めるなど、多彩な活動をされる原佐知子さん。気になる子を持つ親という立場もお持ちです。

1.相談機関を知っておこう
初めに相談をするのは、下記のどの機関でもOK。身近でアプローチしやすいところに相談しましょう。その他、地域の公立保育園や特別支援学校も相談の窓口になっています。

ア.児童相談所
教育機関や地域の保健センターなどとの連携も深く、子どもに関する総合窓口のような存在。スタッフは児童福祉士、心理士、医師など。医療的な対応が望ましい場合は、児童精神科や心療内科、小児神経科などの紹介もしてくれる。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv30/h23.html

イ.発達障害者支援センター
発達障害のある人や家族からの相談に応える。療育や就労の支援、関係機関との連絡調整などを行う。都市に1つなので、問い合わせが殺到し、相談まで長期間待たされる場合が多い。
http://www.autism.or.jp/relation05/siencenter2008.htm

ウ.精神保健センター(精神保健福祉センター)
心の問題についての相談、精神障害福祉に関する相談などに応じてもらえる。
都道府県に1つ以上設置されている。精神保健および精神障害者の福祉に関する総合的技術センターとして、地域精神保健福祉活動推進の中核となる機能を備える。診療機能や社会復帰施設等のリハビリテーション機能も有する。
http://www.pref.nagano.jp/xeisei/withyou/list/list-mhwc_jp.htm

エ.保健所・保健センター
乳幼児健診や育児相談、親子教室、依頼に応じた訪問指導などを行う。身近な子育て支援機関。

オ.医療機関
発達障害が疑われる場合は、小児科か子どもの精神科(児童精神科)、小児神経科で診断を受けられる。医療面でのケアが必要であれば治療が開始される。現状では、発達障害を診断できる医療機関は少なく、半年~3年ほど待たされる場合が多い。

カ.療育センター・発達支援センター
心身に障がいのある子どものために、治療教育(療育)を行う。相談内容に応じて、臨床心理士による検査や担当の医師の診察なども受けられる。具体的な課題に取り組むことにより子どもの苦手な部分を知ったうえで、具体的な支援を行う。

2.支援制度を知っておこう
もしも発達障害という診断がついた場合は、法律で決まっている制度を利用することができます。
支援制度を上手に利用し、お子さんの発達を伸ばしていきましょう。

ア.療育手帳
療育手帳は、基本的には知的障害のある人が支援サービスを受けやすくすることを目的に公布されます。具体的には下記にある支援サービスを受けることができます。

●特別児童扶養手当   ●心身障害者扶養共済
●国税、地方税の諸控除及び減免税
●公営住宅の優先入居  ●NHK受信料の免除
●旅客鉄道株式会社などの旅客運賃の割引
●生活保護の障害者加算 ●生活福祉資金の貸付など

各自治体により、対象者やサービス内容は異なる場合がありますので、地域の福祉担当窓口にお問い合わせください。
申請先:市町村の窓口
判定と交付:18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所等で障がいの程度等の判定を受ける。

イ.発達障害者支援法
平成17年4月に「発達障害者支援法」が施行されました。これは、これまで既存の社会福祉制度の谷間に置かれ、その気づきや対応が遅れがちであった自閉症・アスペルガー症候群、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)などを「発達障害」と総称して、それぞれの障害特性やライフステージに応じた支援を国・自治体・国民の責務として定めた法律です。

ウ.障害児通園施設
都道府県知事が指定する障害児施設(知的障害児施設、知的障害児通園施設等)において、障害児としての専門的な指導訓練を行っています。対象者は、身体に障害のある児童または知的障害のある児童で、都道府県が児童相談所の判定を通して決定します。
すべての市町村に置かれているものではありません。設置場所については、市町村の児童福祉の窓口等で確認できます。

エ.児童デイサービス
都道府県が指定する指定障害福祉サービス事業者において、障害児に日常生活における基本的動作の指導、集団生活への適応訓練などを行っています。
発達障害を含む障害児が対象となりますが、市町村が支援の必要性を調査した上で(必要に応じ児童相談所・保健所などに意見を求めて)決定します。
すべての市町村に置かれているものではありません。設置場所については、市町村の児童福祉の窓口などで確認できます。

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(2)小児発達医・まなみの診察室 第10話

人は自分が見たり、聞いたり、理解したり、感じたりするのと同じように、他人も見聞き、理解すると思いこんでいます。けれどそれは違うのです。
前号までの引き続き、物事の捉え方、脳内での処理の仕方を「認知特性」といいます。

今回は聴覚言語優位者についてお話します。聴覚言語タイプの人は、言語優位者なのですが、ことばを音という聴覚的な情報のみで言語を脳内に取り入れます。

前号でお話しした言語映像タイプや言語抽象タイプと同様に、言語優位者として分類していますが、言語を映像というイメージで処理するか(言語映像タイプ)、言語を抽象的な形をもつ文字で処理するか(言語抽象タイプ)、あるいは音という聴覚的な情報で処理するか(聴覚言語タイプ)の違いになります。

ややこしい説明になってしまいましたが、言語思考者という点ではいずれも左脳優位者であり、その言語の処理方法をタイプ別にしたと考えてください。

これまでに分けた認知特性タイプを簡単に判別できる検査として「語の流暢性」という脳の前頭葉機能をみる検査があります。ある与えられたお題に対して思いつくまま単語を言う検査です。たとえば、「野菜の名前を時間内にできるだけ多く言う」という課題に、ニンジン・レタス・ナス・キャベツ・ピーマン・白菜・・・と答えていきます。このように制限時間を設けられた切羽詰まった状況では認知特性が分かれやすくなります。野菜の色・形、八百屋の売り場、図鑑の写真などをイメージしながら答えていく場合には映像タイプ(視覚優位者や言語映像タイプ)の人、逆に「『あ』がつく野菜は~・・・アボガド」というように50音や語頭を意識して答える人は言語抽象タイプや聴覚言語タイプの人が多いと思われます。

おなじ言語優位者のなかでも、聴覚言語タイプの人は、相手が話している音や言葉だけで、言葉の内容を理解でき、頭の中でもイメージ映像というよりは言葉そのもので思考を働かせることが多いようです。サイレントトークといわれますが、脳内で自分自身といつも対話をしている人はこのタイプといえましょう。

最近のテレビは情報を分かりやすく伝えるために、セリフをテロップとして流すことが多くなりましたが、このテロップがなくてもテレビの内容理解に変わりのない人、あるいはラジオ放送や朗読を聴くだけでも内容がすんなりと頭に入ってくる人も聴覚言語タイプといえます。

一度聞いたコマーシャルの宣伝文句や歌の歌詞などをすぐに覚えられ、口ずさむ人、あるいは音韻を踏んだり、あげ足をとったり、ダジャレが得意な人も聴覚言語タイプの人です。

話は変わりますが、ワーキングメモリー(短期記憶)といわれる主に前頭葉が司る機能があります。長期的な記憶と対比して考えられる記憶なのですが、脳内に長時間留めておく必要のない記憶のことです。例えば、今から入る店でアレとコレを買おうというような記憶で、買い物が終わってしまえば必要のなくなる記憶です。私たちは生活を送るうえで、このワーキングメモリーを巧みに使いながら、必要のない一時的な情報を取捨択一しながら脳内がオーバーヒートしないように操作しているのです。

ワーキングメモリーの一つに聴覚的ワーキングメモリーがあります。これは、耳で聞いた情報を頭の中で一時的にストックしておく記憶です。聴覚的なワーキングメモリーを簡単に調べる方法に、数字の逆唱があります。これは、検者が数桁の数字を言い、それを逆に唱えるものです。例えば、「3-5-7-9」の逆唱は「9-7-5-3」となります。このように耳で聞いた数字を頭の中で一度ストックし、それを逆に取り出していくという操作が必要となるためにワーキングメモリーを使うのです。

聴覚言語優位者で聴覚的ワーキングメモリーが弱い場合には、耳にした話題を覚えてストックしておくことが難しいために、流暢に会話をこなしますが、話題が次々と飛んでしまったり、一貫性を持てなく場合があります。

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(3)おすすめコンテンツ「生きてこそ光り輝く」
将棋の女流棋士、石橋幸緒(さちお)さんがタイトル女流王将を取るまでの19年間を書いた自伝です。

石橋さんは、1800gの未熟児で生まれ、腸閉そくを起こしやすい体質で4歳まで東京都立清瀬小児病院に入院していました。その後も入退院を繰り返す生活でしたが、学齢期になり、肢体不自由の養護学校(特別支援学校)に入学し、高等部まで養護学校に通いました。小学生の時に将棋を覚え、母親の献身的な支援もあって、本格的に将棋に取り組むようになり、プロになってタイトルをとるまでになりました。

第7章に『「養護学校に行った子が、将棋のような難しいゲームをできるのだろうか?」と思うらしい。』と記され、それに対して、『養護学校には、盲、聾、知的障害、肢体不自由、病・虚弱があり、さまざまなところに障害をもっている子どもが通っている。(略)だが、手足の機能に障害をもっていても、それを補うものさえあれば、パソコンだって使えるし、絵だって描ける。(略)一人ひとりに、それぞれ個性があり、精一杯生きることで、その個性が輝きはじめるということは、養護学校で学んだからこそ知ることができた。』と書いています。

この本では、実際に通った人にしか分からない養護学校の生活が、活き活きと描かれ、特別支援学校について、同時に、障害をもつ子どもの考えていることについて、理解を深めさせてくれます。

この本は、漢字に総ルビがふられており、文体も平易で、小学校中学年以上なら十分に読めると思います。残念ながら品切れ重版未定とのことなので、図書館などで入手して、ご家族みんなで読んでいただきたいと思います。

なお、この本は特別支援教育メーリングリストで、兵庫のふじわらさんの投稿で知りました。ブログでも紹介されています。ここに記し、感謝の意を表させていただきます。
http://plaza.rakuten.co.jp/kyouikuuseful/diary/201108130000/

生きてこそ光り輝く-19歳、養護学校から女流王将へ 石橋幸緒著
PHP、2000年10月発行、四六判、228ページ、1400円(税別)
http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=4-569-61291-1

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9月9日-10日に千葉県我孫子市で開かれる、第6回千葉県福祉用具・健康機器フェアに出展します。癒しロボットや癒しグッズの紹介、最新の福祉用具や介護用品の展示などが行われます。「抽選で素敵なプレゼントが当たる」とのこと、お時間のある方はぜひお立ち寄りください。
http://www.furepla.jp/

次のメルマガは、3週間先の9月16日金曜日を予定しております。残暑がまだ続きそうです。夏の疲れには十分にお気をつけください。

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