発達障害でIT社長の僕

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2021.08.13

発達障害でIT社長の僕

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■   まえがき
■□  新連載:発達障害でIT社長の僕
■□■ 新連載:様々な困りごとに対応した算数・数学動画コンテンツの制作
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■□ まえがき ■□--------------------------
一つは、名古屋テレビの番組『メ~テレ』で取り上げられるなど、障害がある人の職場拡大で注目を集める齋藤秀一(さいとうしゅういち)氏。話題の新著『発達障害でIT社長の僕』で伝えたいメッセージを本メルマガにご寄稿いただきました。

もう一つは、京都教育大学教育学部数学科の黒田恭史(くろだやすふみ)教授を代表とするグループの取り組みで、子どもゆめ基金の助成と文部科学省の科学研究費を活用して、学習を進める上での様々な困りごとに対応した算数・数学動画コンテンツを制作しています。日本語版だけでなく、留学生の協力を得て多言語版を多数制作し、外国人の子どもを含む全国の小・中・高生の算数・数学の学習支援に取り組んでおられます。
 
 
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 ■ 新連載:発達障害でIT社長の僕
                         第1回 発達障害を"才能"に変える
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学校にも社会にも居場所がない。
集中力が続かず、勉強も運動も苦手。
コミュニケーションがうまくとれず、学校ではいつも一人。
長い間、僕は自分だけが特別に「変な奴」だと思っていました。
3年前にADHDとASDがあると診断されたものの、それまでは診断名もない発達障害グレーゾーンでした。

そんな僕が特性を活かすことができるようになった過程を書いた『発達障害でIT社長の僕』※の中から、生きづらさを無くすことができたエピソードを2つ紹介させていただきたいと思います。

 
1)居場所がある
僕は社会に出てからも自分の居場所を見つけられず転職を繰り返していました。
一番の原因は人間関係です。

自分でも気づいていませんでしたが、当時は2次障害を発症していたらしく、常に周囲から悪口を言われている"幻聴"が聞こえていました。
だから周囲と同じことができない自分の劣等感と相まって、良好な人間関係を作ることができませんでした。

転機となったのは、社会人になってから5回目の転職でパソコンショップに就職したことです。

今でこそ「オタク」という言葉も含め、何かにマニアックなぐらい詳しい存在として世の中でも認められていますが、今から30年前はアニメオタク、パソコンオタクといえば変な人たちという認識をされていました。

そこが僕にとってはすごく居心地の良い場所でした。
生まれて初めて「自分はここに居ていいんだ」と感じることができました。
僕自身がパソコンオタクだったため、自分が得意なもの好きなものが周囲にあるということも大きかったです。

居心地の良い場所で働いていることで、いつしか幻聴も聞こえなくなりました。

それまでの僕は給与とか待遇とかを基準に職を探していました。
もちろんそれも大事ですが、それ以上に職場が自分の「存在意義」を感じられる居場所であることが大事だと感じています。

2)特性を「特技」に変える
《気が散りやすい → 周囲に敏感で気づきが多い》
僕は学生時代、周囲の人の気配が気になって授業に集中できませんでした。人の気配を自動追尾してしまうことで困っていたわけです。

それがパソコンショップでは役に立ちました。何かほかの作業をしていても、お客様が入ってきたらすぐに気づきます。
お客様が何か困っていたり、スタッフに聞きたそうにしていたりしたら、すぐその気配を察知できました。誰よりも早くお客様に応対できるのです。

これまでネガティブにとらえていた自分の特性が、ポジティブに活かせるようになりました。

僕は自分の特性をずっとマイナスだと思って生きてきました。

でも他の人と同じことはできなくても、逆に他の人ができないことができる。見方を変えればマイナスではなくプラスになります。

特性を無理に消すのではなく、いいかたちに伸ばせれば光が見えてきます。「ここだけはほかの人より、ちょっとでもうまくできる」そう思えるものが1個でもあれば、それだけで生きていくことができます。

自分の特性を消すことは、自分という人間を否定して消してしまうことです。

凸凹は誰にでもあります。
障害がある人もない人も「凹」は補い合い、「凸」は思いっきり伸ばすことで可能性は広がります。

僕は自分が相手のために「できること」に目を向けることで、自己肯定感を感じられるようになっていくのではと考えています。

次号では、「凸凹でも補い合って働ける。ココトモファームの組織づくり」についてご紹介する予定です。

◆齋藤秀一(株式会社ネットアーツ代表取締役、株式会社ココトモファーム代表取締役)
「発達障害でIT社長の僕」(幻冬舎)

発達障害の社長が手掛けたバウムクーヘンに込めた願い
HUG 児童発達支援・放課後等デイサービス施設運営システム
自家製米粉100%グルテンフリーのココトモバウム
株式会社ネットアーツ
株式会社ココトモファーム


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 ■ シリーズ:子どもゆめ基金のデジタル教材
              新連載「様々な困りごとに対応した算数・数学動画コンテンツの制作」
               第1回 不登校や病弱の子どもの学習を支援する算数・数学動画コンテンツ
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1.はじめに
文部科学省の調査によると、2019年度の全国の不登校の小学生は53,350名(前年度比+19%)、中学生は127,922名(同+7%)となっており、ここ数年小学生を中心に増加傾向が続いています。この数値を全国の小学生、中学生の人数と比較すると、小学生は約120名に1名、中学生は約25名に1名の割合で不登校となり、中学校では1学級に1~2名の不登校の生徒が在籍する計算となります。こうした子どもたちへの精神的なサポートは家庭と学校との協力によってなされる必要がありますが、同時に長期の欠席は学力の遅れを伴います。

担任の先生方が個別に学力支援に対応するにしても限界があることや、小学生の不登校の増加傾向などを勘案すると、各学年の教科の学力を系統的に支援するシステムの構築が急務と言えます。とりわけ、系統性が高いとされる算数・数学は、前学年での学習内容を理解していないと、当該学年の学習内容を理解することが困難です。

2.日本語版"算数・数学動画"制作のコンセプト
精神的にも様々なダメージを受けている不登校の子どもたちが、机の前に長時間座って自学自習することは、ほぼ不可能であると考えました。そこで、動画による学習支援を考え、そのコンセプトを「ベッドに寝ながらスマホで3分学習」としました。短編動画を数多く制作し、学習者が負担を感じず、各学習者のレベルに応じたスモールステップの学習が行えるようにしました。

実は、このコンセプトの背景には、卒業論文で院内学級の学習支援に取り組んだ学生のアイデアがありました。その学生は、重度の病気のために長期の入院を余儀なくされ病院内に設置された院内学級で学ぶ子どもたちのボランティアを行っていました。体調面から長時間の学習ができない子どもや、ベッドから起き上がることのできない子どもたちのための学習支援のあり方を考える中で、この制作コンセプトが浮かび上がってきました。

この取り組みは2016年度から開始しましたが、各学年の多数の算数・数学動画を短期間に制作していくためには、どのような方法で実施していくかが次の課題となりました。ちょうど、文部科学省の学習指導要領改訂の時期と重なり、新学習指導要領では、小学生からプログラミング教育が必修となることになりました。そのことでこれからの教員には、ICTを活用して教材などを制作する力と、子どもたちのICTを用いた学習を指導する力が求められるようになったことから、私が担当している京都教育大学の算数・数学の教育法の時間の中に動画コンテンツ制作を取り入れることにしました。学生のICTの教育的活用能力の向上と、継続的な動画コンテンツの制作とが同時に実現することになりました。

3.日本語版算数・数学動画コンテンツの実際
これまで制作した日本語版算数・数学動画コンテンツは、小学生版が計135本、中学生版が154本、高校生版が211本です。これら全ての動画コンテンツは、専用ホームページとYouTubeサイトで無償公開しています。小学生版と中学生版は、各動画コンテンツに対応したワークシートもあり、こちらもホームページからダウンロードして活用可能です。

※小学生版算数動画コンテンツホームページ





※中学生版数学動画コンテンツホームページ


 
内容の構成は全て統一してあり、(1)タイトル、(2)説明、(3)練習、(4)まとめの順で学習するようになっています。文字の字体やポイント数なども決まっており、学習者が安心して継続的に学習を進めていけるようにしています。
 
※算数・数学動画コンテンツの画面構成

これらのホームページやYouTubeサイトは、文部科学省のホームページ「子供の学び応援サイト」や、全国の教育委員会、学校現場で紹介していただいており、全国から使用の感想や要望が届いています。

(出典)
文部科学省初等中等教育局児童生徒課「平成31年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査」(令和2年10月22日)
日本学術振興会 科学研究費補助金「全国15万人の不登校・外国籍生徒のためのYouTube版算数・数学コンテンツ開発」(17K18629、代表:黒田恭史)

◆黒田 恭史(Yasufumi Kuroda)
大阪大学大学院博士後期課程修了 博士(人間科学)
京都教育大学教育学部数学科教授
一般社団法人 数学教育学会 学会誌編集委員長
映画『ブタがいた教室』(日活株式会社)原作者
 

■□ あとがき ■□--------------------------
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