アプリとYouTubeを連携させて実施した手話うたコンテスト

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2021.03.26

アプリとYouTubeを連携させて実施した手話うたコンテスト

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■   連載:アプリとYouTubeを連携させて実施した手話うたコンテスト
■□  連載:SDGs 社会課題とその対策とは?
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 ■ シリーズ:子どもゆめ基金のデジタル教材「手話うたアプリ」
                        第3回 アプリとYouTubeを連携させて実施した手話うたコンテスト(最終回)
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前回のメルマガでは、「手話うたアプリ」の詳細についてご紹介しました。今回は、「手話うたアプリ」とYouTubeを連携させて実施したコンテストについてご紹介します。

1.「手話うたアプリ」とYouTubeとの連携

「手話うたアプリ」は音楽を楽しみながら学び、聴こえる子と聴こえない子の共生社会を目指したアプリです。曲の進行と連動した歌詞、音符、リズムを表現するビートなど、楽曲の視覚的情報が表示される仕組みになっています。

2016年度に開発した「手話うたアプリ」では、歌手の井上あずみさんが歌う「ビリーヴ」(作詞・作曲:杉本竜一)の動画・音源とともに、歌詞、楽譜、ビートが視覚的に提示される仕組みになっています。翌年の2017年度には、楽曲の追加によるアプリのバージョンアップをおこないました。「この星に生まれて」(作詞・作曲:杉本竜一)をアプリに追加し、譜面、イメージ動画、音源の作成をおこないました。アプリに収録したこれらの楽曲、「ビリーヴ」と「この星に生まれて」は、保育園・幼稚園や小・中学校において、卒業式や文化祭、合唱コンクールなどで子どもたちが歌う合唱曲として採用されることが非常に多く、子どもから大人まで幅広い人々に親しまれている楽曲です。

また、このアプリでは、楽曲の動画を視聴するだけではなく、iPadの動画撮影機能を使って、手話で歌っている様子を簡単に録画することができる仕組みになっています。そして、聴覚障害のない一般の人も広く巻き込んで、みんなでよりよい手話歌動画コンテンツを作り上げていくことを目指しました。手話パフォーマンス動画コンテストをYouTubeサイトに投稿するコンテストを実施し、視覚的に聴覚障害児の興味を喚起する素材動画を収集することをおこないました。視聴数などで優秀作品を選定し、それを専用ページで告知し、その素材動画に同期させる形で、手話に興味のある一般の人々がiPadにインストールした本アプリを使用して手話歌動画コンテンツを作成し、投稿してもらいました

2.手話うたコンテストの実施

2016年度に「ビリーブ」を課題曲とする第1回手話うたコンテストを、2018年度に「この星に生まれて」を課題曲とする第2回手話うたコンテストを、それぞれインターネット上(YouTube)で実施しました。なお、現在はすでに応募が終わっていますが、第1回手話うたコンテストの応募要項には、次のような説明をおこないました。

「ぜひアプリをダウンロードして、家族やお友達と一緒に「手話うたアプリ」を使って「ビリーヴ」を楽しんでください。そして、手話を工夫し、うまく歌えたら、このアプリを使って撮影し、その動画をYouTubeにアップロードして第1回手話うたコンテストに応募してください。」


第1回手話うたコンテストに関しては、兵庫県立姫路聴覚特別支援学校、福島県立聾学校、岡山県立岡山聾学校、大阪府立中央聴覚支援学校などの計6団体からアプリを利用して手話うた作品の応募があり、インターネット上で審査結果の公表をおこないました。手話うたの受賞作品の動画は現在も視聴できます。

コンテストに応募された団体からは以下のような感想がありました。このアプリを通じて聴覚障害のある子ども達が音楽を楽しむことができたことを示唆していると思われます。

・クラスのみんなで、歌の意味を考えて、手話表現を考えました。世界中の人たちが仲良くなり、平和な世界になれば、苦しみや悲しみのない希望に満ちた世界になると信じて歌いました。
・「手話はぼくたちにとって大切なことば」という聞こえない生徒たちが手話に心をのせて歌います。

3.さいごに

聴覚障害のある子どもが生まれる割合は千人に一人と言われています。聴覚障害児に特化したアプリであれば市場性はきわめて小さなものとなります。しかし、アプリとYouTubeを連携させることによって、アプリの利用者は聴覚障害のある子どもたちにとどまらず、障害のない子どもたち、子どもをとりまく保護者や家族、教育現場の教員や地域の大人達、YouTubeを閲覧し、かつ、手話に興味のある一般の人々といったさまざまな利用者層が想定され、社会全体に寄与できる可能性が広がります。これからの社会を担う子ども達が手話うたに親しみ、聴こえる人も聴こえない人も、ともに生きていく社会を作り上げていくようになることを願っています。

3回にわたってお送りしてきた「手話うたアプリ」の連載は今回で最後となります。最後までおつきあいいただき、誠にありがとうございました。この連載が皆様にとって少しでもなにかのヒントになれば幸いです。

◆荒木 友希子 (Araki Yukiko)
金沢大学 人間社会研究域人間科学系・子どものこころの発達研究センター  准教授
博士(文学)、臨床心理士、公認心理師

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 ■ 連載:SDGsとは未来を変える目標、一人ひとりにできることとは?
                     第2回 「社会課題とその対策とは?」
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SDGsということばを聞いたことのある人はたくさんいるでしょう。でも、SDGsの本質について本当にわかっている人はどのくらいいるでしょうか?

4月に、中学生から読める書籍『10代からのSDGs-いま、わたしたちにできること』※を発行する予定です。その書籍の著者として、その本に書かれているSDGsについて、ダイジェスト版でお伝えしていきたいと思います。

※出版元ページ 

第2回として、SDGsを達成しないといけないことになった世界の諸問題とその対策について解説します。

〇これまで人間が生きてきたことから生じた様々な課題

例えば、産業革命以降、エネルギー消費量が急激に増えてきました。その結果、二酸化炭素排出量も増え、空気中の温室効果ガスの濃度が上がり、気候変動が起こっています。その気候変動が原因とされる地中海東部の記録的な干ばつによりシリア内戦が起こり、大量の難民が生まれました。

世界の問題はすべてつながっているのです。人間の経済活動が生んだ気候変動や環境破壊による異常気象から政治的な問題が起こり、内戦や紛争が起こります。このような問題を解決するためには、「transforming our world(世界の変革)」が必要になります。

将来も地球に住み続けるためには、「持続可能性(サステナビリティ)」が非常に重要であることは言うまでもありません。人類はこれまで自然資源の「消費」を続け、環境を脅かしてきました。しかし、それがどれだけ地球環境に負荷をかけてきたかは目に見えません。

WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)※では、この問題の解決をめざす最初の一歩として、その人類がもたらしている環境負荷の影響を、包括的に明らかにする取り組みを行ってきました。それが、限りある自然資源の略取によって生じる環境負荷を数値化した環境指標「エコロジカル・フットプリント」です。

※WWF 

人は普段、朝起きてから就寝までの間に、食事をし、交通機関を使い、電気照明の下で仕事をしています。紙や照明のエネルギー、食用にする肉や魚、どの場面にも森林や海洋の産物である自然資源が使われています。

この「エコロジカル・フットプリント」の数値は、世界の国々ごとに異なっています。日本のように、石油や石炭などの化石燃料に支えられた産業や経済が発達した国は、「エコロジカル・フットプリント」が高く、開発途上国のような国々は低くなります。もし、世界の人が全て、今の日本と同じような生活をした場合は、地球2.8個分の自然資源が必要になると考えられています。

※参考 

〇キーワードは「持続可能」と「多様性」

SDGsのSD(Sustainable Development:持続可能な開発)とは、「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の欲求も満足させるような開発(モノやサービスなどで暮らしが豊かになること)」です。ただし、持続可能な開発でないといけないということは忘れてはいけません。

これからの開発は、「持続可能性」がキーになります。未来を考えないといけないのだから、現代の世代のニーズと、将来の世代のニーズの双方を検討することが必要。つまり、未来を担う子どもや若者の意見を尊重すべきだということになります。
また、 持続可能な開発を実現するには、1つの立場からの視点ではだめなのです。人種や世代、文化的・経済的な背景が異なる人たちのさまざまな視点から考えていくことが大切です。多様性がみとめられる社会の実現こそが、「誰一人取り残さない」というSDGsの究極の目標と言えます。

〇SDGsは若者がこれからを生きる生存要件

その究極の目標を達成するために今の若者たちの活躍が必要であることは言うまでもありません。若者こそが将来の社会課題を考え、その解決策を成し遂げるのです。
それは、下記に示されているSDGsの認知度に関するアンケート結果からもわかります。

 
この調査結果からも20代~30代のSDGsに対する認知度が高いことがわかります。39歳以下の世代はもともと環境や社会問題への知識が豊富で、関心が高いと言われている世代です。
小学校で「総合的な学習の時間」が導入され、国際・平和・環境などのテーマで学習が始まったのが2002年。2015年にSDGsが採択されて、学校での授業に採り入れられてきました。
今20代前半の若者には、SDGs目標年である2030年は、30代半ばになり、社会活動の中心を占めることになります。SDGsに関する課題に現在の社会のリーダーたちがどう対応するかに、若者たちは批判的な目線を持たざるを得ないのです。2010年の13歳は、2020年には23歳、2050年には43歳になります。21世紀の中心的な役割を担う世代にとって、SDGsの達成は将来の生存にかかわる重大なものと認識されているのです。

SDGsが私たち、特に若者たちの将来のために必要である理由がおおよそわかっていただけましたでしょうか? 次回からは、課題解決のために行政や企業などがどんなことを行っているかについてお伝えします。

フリー編集者・ライター 
 障害福祉や教育関係の書籍や雑誌、進学情報誌等の編集や取材・ライティングを行う。また、執筆だけでなく、コミュニケーションや発達障害についてのセミナーやワークショップ講師としても活動中。
全国手をつなぐ育成会機関誌『手をつなぐ』では、映画や本、舞台の評を不定期に連載中。
主な編著書に、『ADHD、アスペルガー症候群、LDかな?と思ったら…』、『ADHD・アスペ系ママ へんちゃんのポジティブライフ』、『専門キャリアカウンセラーが教える これからの発達障害者「雇用」』、『自閉症スペクトラムの子を育てる家族を理解する 母親・父親・きょうだいの声からわかること』などがある。
2021年3月、平凡社より「発達障害のおはなしシリーズ3巻」を、大月書店より「10代からのSDGs-いま、わたしたちにできること」上梓予定


■□ あとがき ■□--------------------------
川崎市が「自立支援」という観点から「利用者にとって最適な福祉製品」として認証する、かわさき基準(KIS)※に、レデックスの脳バランサーキッズが選定されました。
 
 
それを記念して「新入学、新学期を迎える子どもたちの支援」というテーマで、2021年4月18日(日)に、お二人の専門家からオンラインでセミナーをしていただきます。

講師は、どちらも過去に本メルマガにご寄稿いただいた、柳下記子・特別支援教育士/視覚発達支援センター 学習支援室室と、鴨下賢一・専門作業療法士/リハビリ発達支援ルームかもん、です。ご関心のある方は、下記ページからお申込みください。放デイ新学期対策特別セミナーという名称にしていますが、個人の方でもお申込みいただけます。
 
 
次号は4月9日(金)です。

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