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ダウン症 指導の前の「指導」が勝負

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| 連載:指導の前の「指導」が勝負
| 連載:ファシリテーターが居なくなる日
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─■ 連載:ダウン症のある子どもたちへの「知っておきたい」指導
第3回(最終回) 指導の前の「指導」が勝負
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前回までは、学校現場で見られるダウン症のある子どもたちへの指導の難しさやその原因となる指導の構造について説明してきました。

最終回の今回は、実際の教室で見かける例を具体的に挙げながら、ダウン症のある子どもの指導の土台となる「情意面の課題への対応と考え方」について解説していきます。

私が自分自身でダウン症のある子どもの指導がうまくいかなくなっていった最大の原因は、今思うと極めて単純なものでした。ダウン症のある子どもたちを、授業に最後まで取り組ませられなくなっていたのです。学習にしっかりと向かわせる、言わば「基本的な学習姿勢」を作らせる技術がなければ、彼らの指導は毎日行き詰っていきます。

ダウン症のある子どもの担任教師に聞いた“教室でよく引き起こすトラブルは?”という質問で最も回答の多かった課題である「次の活動に移れない」を例に上げて見ていきましょう。

ダウン症のある子どもが何かに夢中になり、次の時間になっているのにいつまでもやっているような場面をよく目にします。この課題は、単に夢中になっているかどうかというような単純な問題ではありません。世の中の動きのほとんどが、時間を区切りとして活動の切り替えを行なっているからです。実はこれができないと当然、学校を卒業し、社会に出た後も問題となっていきます。自分からは切り替えが難しい場合でも、何とか他人から促しを受けたら次の活動に移れる子どもに育てたいところです。

実際の教室でみかける以下のような場面も同様です。すべて場面の切り替えができないことに起因しています。

(1)好きなことをしているときは、掃除、マラソンの時間になっても、てこでも動かなくなってしまう。
(2)休憩時間の遊びが止められず、その場で固まってしまう。
(3)交代ができずこだわって動かないことがある。
(4)自宅を出る時間になってもテレビを見続ける。
(5)休憩時間が終わり、周りに人がいなくなっても教室に戻ってこない時がある。

次の活動に移れなくなると、つい動かそうといろいろな方法を試してしまいがちになりますが、まずはブレーキをかけているのが頭(理解面)、心(情意面)、体(健康面)のどこなのかの特定を先にすることを忘れないようにします。

私は、子どもの動きにブレーキをかけているものは3つあると考えています。まずは頭の中で次の行動や行き先を理解していない場合。どこにいくのか、何をするのか頭で理解していなければ子どもは動けません。そんなときに「みんなが待ってるよ!」「次が始まるよ!」と心(気持ち)に働き掛けても動いてはくれません。

次に心(情意面)がブレーキを掛けている場合。何か直前に嫌なことがあったり、気持ちが不安定な状態になっていたりして、行き先は分かってはいるが「行きたくない」という気持ちになっている場合です。ダウン症のある子どもはこのケースが特に多いと感じています。この場合は気持ちを促すような対応をしなければなりません。絵カードや写真カードで一生懸命見通しをもたせても、てこでも動きません。

最後は体のどこかに不調があり動けない場合。朝からおなかが痛い、少し熱っぽいときは、大人でも動きたくはありません。特に発語の少ない子どもや自分の体調を訴えることができない子どもには注意をしたいところです。

以上の頭(理解面)、心(情意面)、体(健康面)の3つのどこが原因なのかによって対応が全く異なるため、この段階の確認は忘れずに行うようにしています。その後で次の活動へ意識を向けさせるためのネタ(方法)のアプローチに移るようにします。動かすきっかけは子どもによって異なります。大事なことは、その子どもを支援していく大人が、最も効果的な方法を早めに見つけて引き継いでいくことです。

また、原因が環境や状況ばかりでなく“ひと”の場合もあります。甘えられる大人の前でのみ動かなくなることもよく見受けられます。切り替えさせる物や言葉を見つけることも大事ですが、究極の目標は、動かなくなることを減らすことです。

もう1つ忘れずに取り組みたいことは、どんな場面で切り替えが難しくなるのかのデータを取ってみることです。切り替えが難しい場面が浮き彫りになった場合は、なぜその場面(状況)に特にこだわるのか、注意深く見ていくと別な角度から新たな実態が分かってきます。本人が抜け出せなくなるものが何なのか、分かっただけでもその後の指導の展開が変わってきます。

今回紹介した「次の活動に移れない」という課題以外にも、ダウン症のある子どもの指導に当たる際によく直面する情意面の課題がまだまだあります。それぞれの課題へのアプローチの方法は1つではありません。詳しくお知りになりたい下記の文献をご覧ください。

参考文献 ダウン症のある子どもへのアプローチ222 佐藤功一著、田研出版
(詳細はこちら>>

ダウン症のある子どもへの実践的な研究は決して多いとは言えません。私自身もダウン症のある子どもへの指導についてはまだまだ実践の途中です。これからも小さな実践を重ねて地道に理論化していく作業を大事にしながら、ダウン症のある子どものために効果的なアプローチを提案できればと思っています。

    佐藤功一(さとう こういち)宮城県立支援学校女川高等学園教頭

 

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─■ 新連載:ファシリテーションって何だろう?
第5回(最終回)ファシリテーターが居なくなる日~皆がファシリタティブになること
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これまで4回に渡って、ファシリテーションとは何か、具体的にうまくいかない会議でファシリテーターがどのように振舞って会議を進めるか、つまりプロセスをどのように整えていくかということをお伝えしてきました。今回の連載では、会議や話し合いといった人が集って何かを生み出そうとする「場」を、特に具体的に取り上げて解説してきました。不思議なもので、このような話し合いの場に見られるさまざまな問題(第1回にご紹介した、話が逸れる、同じ人が発言する等)は、教育現場におけるケース会議のようなものであっても、ビジネスの世界の商品開発の会議などであっても、共通に見られるものなのです。そういう問題を解決するための技術として、ファシリテーションが位置づけられている訳です。最終回の今回は、「結局、ファシリテーションとして私たちが目指すところはどこなのか」ということについてお伝えしていきたいと思います。

私は大学の授業や教員研修を通して、受講してくださった方々が「ファシリテーション」の技術を体得できるように10年以上に渡って活動してきています。学んで現場に帰っていった先生方から「ファシリテーションの技術を使ったら、校内委員会が効率的に進められるようになりました」といったお声を聞くことも少なくありません。つい先日は、教務主任として10年前に私のファシリテーション研修を受けられた先生がそのときの内容を覚えていてくださり、「これは校内全体で学ぶべき技術だ」と今度、校長先生になられたタイミングで、私を校内研修の講師に招いてくださいました。10年も前に作ったファシリテーション研修の配布資料を今でも大事なリソースとしてファイルに取っておいてくださり、時々開いて見てくださっているということは、ファシリテーション理解啓発を自分のミッションとしている私としては泣けそうに嬉しいことでした。

実はこの先生が直感的に「校内全体で学ぶべき技術」と思ってくださったことが、まさに私が目指している方向でもありました。一人だけファシリテーションを学んで学校に戻っても、他の先生とファシリテーションのことをなかなか共有できず実践に結びつかないというところを、皆で学ぶ機会を設けて共通認識してしまおうという訳です。言い換えれば、このように「皆がファシリテーターになれば、つまりファシリテーションを行うことができるようになれば、“敢えて”ファシリテーターという人を立てることは必要なくなる」ということなのです。

このことに気づいたのは15年ほど前に、日本ファシリテーション協会という私が所属するNPO法人のメンバーで会議をしていたときのことでした。程度の差こそあれ、ファシリテーションの素養があるメンバーでの話し合いには、プロセスに目を光らせて、話が脱線したり、一人だけ長々意味もなく自論を展開したりという「ありがちな問題行動」を起こらないようにしたり、万一起きたときにもうまくマネジメントしたりという役割の人が不要である、ということを体験したのです。要するに皆がファシリタティブ(ファシリテーションの形容詞)な参加者であれば、ファシリテーターという役割を立てる必要がないのだなぁと気づかされました。

このことが実現するためには、単にファシリテーションの技術(スキル)を使いこなすだけではなく、「意味ある場づくりを皆で作っていきたい」というマインドの面があってのことで、その土台があってこそ皆が同じ方向を向いて生産的な話し合いを行っていけるのだということです。このことを示したものが図1です。マインドの土台の基に何が起きているのかというプロセスを見る力、さらにそこに、どのように問いかけたり、関わっていったりするのかというコミュニケーションの力があって、ファシリテーションのスキルが活きてくるということを表しています。

(図1 画像はこちら>>

参加者全員がこのようなマインドとスキルを身につけることで、わざわざファシリテーターという役割を立てる必要がなくなる、目指している社会とはこのようなものなのです。

日本におけるファシリテーションの第一人者の一人、東京工業大学教授の中野民夫氏も、「最後は立ち去るファシリテーター」ということを推奨しています。ファシリテーターとしては自分がその場をマネジメントしてうまく機能することは喜びになるでしょう。しかし、いつまでも自分がいなければうまく回らないというのではダメですよ、最後は自分が居なくなってもその場が意味ある活性化した場になっていることを目指しましょうということを「立ち去るファシリテーター」という言葉の意味に込めているのです。

今は深く関わっている場であっても、いずれは手放す時が来ることを常に念頭におきながら、今ここでできる最大限のことを行なっていくこと、そういうファシリテーターが世の中に溢れることを祈念して、この連載を終わりたいと思います。

文献:「ファシリテーター行動指南書~意味ある場づくりのために~」
(詳細はこちら>>

     三田地真実(星槎大学大学院教育実践研究科教授、言語聴覚士)

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─■ あとがき
次回 No.200は、今号のアンケートサマリー作成のため、11月23日(金)の発行とさせていただきます。