成人ディスレクシアの独り言

MAILMAGAZINE
メルマガ情報

2017.05.26

成人ディスレクシアの独り言

-TOPIC──────────────────────────────
■ まえがき
■ 新連載:成人ディスレクシアの独り言
■ 新連載:アメリカでの保活
─────────────────────────────────

──■ まえがき
───────────────────────────────────────
今回から新しい連載が2本スタートします。

最初の連載は、ディスレクシア当事者、井上智(さとる)さんからのご寄稿です。ご自分だけで文を書くことは現在もにがて、ということで、奥様の井上賞子さん(島根県松江市立意東小学校教諭)との共著になります。お二人の著書である『読めなくても、書けなくても、勉強したい~ディスレクシアのオレなりの読み書き』ぶどう社 をお読みになれば、ディスレクシアについて、さらに詳しくご理解いただけると思います。
(詳細はこちら>>

もう一つの連載は、アメリカ保育事情です。以前から何度かご寄稿いただいている礒恵美(いそ めぐみ)さんがお子様に恵まれ、親としての視点を加えての登場です。アメリカのシビアな保育事情にびっくりされると思います。

※ボストンからの発達障害レポート 2013年3月15日から連載
(バックナンバーはこちら>>

 

───────────────────────────────────────
──■ 連載:成人ディスレクシアの独り言
第1回 「自己紹介」
───────────────────────────────────────
みなさん、初めまして。私は、鳥取で大工をしている、井上智といいます。重篤なディスレクシア+ADHDとの診断を受けています。大工ですから、家も建てます。大きな水族館などの内装を手がけたこともあります。図面を見て、打ち合わせをして、複雑な指定についてもきちんと理解して、周囲に指示を出しながら仕事を進めることもしています。会社を複数経営していた頃もあり、社会人として働くことには、自信もあります。しかし、私の「読み・書き」の力は、今も「小学校低学年程度」と言われています。

思えばずっと生きづらさを抱えていました。でも、それがなんなのかわからないまま、たくさんの失敗と大きな挫折を繰り返してきました。

自分がディスレクシアだと知ったのは、43歳の時です。多くの疑問は、霧が晴れるように「そうだったのか」「だからなのか」という納得に代わりました。しかし、だからと言って傷がなくなったわけではありません。あきらめてきたたくさんの事柄や、望むこともできずに蓋をした夢や願い、自分を否定して蔑んで、隠して逃げて生きてきた日々の記憶は、今も生々しく自分を縛っています。現在は、念願だった大学に通い、写真という自己表現の手段も得ることができました。しかし、どんなに今が平穏であっても、「もっと早くに知ることができたなら」この思いばかりは、きっと一生消えないでしょう。

「自分のような思いを、今の子ども達にしてほしくない」「近くにいる大人が、気づいてあげてほしい。そして、救ってあげてほしい」、そんな思いで、自分の体験を公開してきています。今回の連載では、これまで公開してきたものを整理しなおすとともに、「それ以降」のことについてもご紹介できればと思っています。

「知って終わり」ではないということを、日々痛感しています。私は今も、「現在進行形で当事者」なんでしょう。ただ、「知ったこと」で逃げなくなったり、向かい合ったりする場面は増えました。うまくいかないことをいらいらと誰かのせいにするのではなく、「自分の中の問題」として考えたり、投げ出さずに、「ではどうすればいいのか」と、その先について思いを巡らしたりすることで、開いた扉もありました。

「ディスレクシアなのに、どうやって書いているの?」という質問を受けることがあります。至極自然な疑問だと思います。現在の自分は、ICTを使うことで、ずいぶん読むことも書くことも困難が軽減されてきています。しかし、それでも何十年にもわたる学習空白は深刻で、日常的な呟きは書けるようになっても、思いが強ければ強いだけ、「文章でまとめて伝える」ということは、難しいです。そのためこうした原稿は、「テーマについて自分が話したことを、妻が文章化していき、それを読み上げで聞いて、また自分の考えを付け加えていく」という形をとっています。

※井上夫妻の共同作業イメージ (画像はこちら>>

「サポートがあることで、自分の思いを伝えることができる」今はそのことを、素直に受け入れることができます。「助けてもらうのは恥ずかしいこと、劣っていることを認めるようなもの」と思っていたときは、どんなに苦しくても、手助けを求めることすらできずにいました。サポートは、「自分の力を発揮するために」必要だと、今は心から思えます。
文章にしていくとき、妻のサポートは、自分にとって「眼鏡」のように前提となるものです。彼女の力を借りながら、自分の思いをみなさんにお伝えしていきたいと思います。

井上智、井上賞子
ブログ「成人ディスレクシア toraの独り言」
(ブログはこちら>>

 

───────────────────────────────────────
──■ 連載:アメリカでの保活、その1
───────────────────────────────────────
私には1歳半の子供が1人おり、現在1日6時間週5日の時短勤務をしています。
就学前の子供を持つ親に必要不可欠なものとして、保育園、幼稚園、認定こども園、ベビーシッター等、とにかく預ける場所がないと働けません。
今回は、アメリカでの保活について数回に渡り連載できればと思っています。
第1回の本号では、保育園に入園するまでの大まかな流れを、アメリカの産休育休の現状を交えながらお話ししたいと思います。

アメリカは各州によって法律が異なるので多少の違いがありますが、United State Department of Labor/アメリカ合衆国労働局 (ホームページはこちら>>)は、Family and Medical Leave Actという法律の中で、出産や養子によって子供を迎える社員に対し、最長12週間の休暇を取れる権利を約束しています。

これは、12週間休んでも同じポジションに同じ条件で復職できることを約束したもので、この間雇用主はお給料を払う義務はありません。
もちろん、雇用主によってはお給料を払うところもあるし、もっと長期の休暇を保障してくれるところもあります。
各州ともこの法律に準じて産休を制定しているので、アメリカンスタンダードで言えば、働く女性の産後復帰は3ヶ月以内ということになります。

育休という恵まれたシステムはアメリカにはありません。
長くても産後3ヶ月で職場復帰ですので、保活は自ずと妊娠中に行うことになり、園に見学に来たカップルに「お子さんはどこ?」と聞くと「今まだお腹の中でライムくらいの大きさ(妊娠12週程度)なの」という返答は日常茶飯事です。

日本の保育園と幼稚園の様に、管轄省も異なる保育/教育システムはアメリカにはなく、新生児から預かってくれる場所をday care/デイケアと呼んでいます。
ちなみにこのデイケアは全て私立で、助成金や補助金が出る公共のプログラムではありませんので、保育料がとても高額です。

私の住んでいるマサチューセッツ州では新生児から15ヶ月までをinfant(乳幼児)、15ヶ月から2歳9ヶ月までをtoddler(幼児)と設定されていますが、私立ですのでその境目は各園によって多少異なりますし、園の規模によってもクラス分けの年齢層は異なります。

2歳9ヶ月以降はpreschoolプログラムになり、公立の園もありますが、公立の園のフルタイムプログラムは障がい児教育をメインにしてる所が多く、定型発達の子は私立の園に行っていることが殆どです。
小さな子のプログラムほど保育料は高くなります。マサチューセッツは全米でも保育料が高い州の1つで、infantプログラムのフルタイム(1日7、8時間保育)の保育料の平均は月額1,442ドル(1ドル111円換算で15万8472円)です。
年間にすると189万3882円。
早朝、延長保育が必要な家庭ではもっと負担が大きいです。
多くの家庭にとってこれは安い数字ではないので、5歳以降の義務教育が始まるまでのデイケア選びは、プログラムの内容や通園の利便性はもちろん、懐事情も重要です。

気になる園を見つけたらコンタクトをとり、復職のタイミングと合わせ、生後何週間から預かってくれるのか、1クラスに何人の子供、何人のスタッフがいるのか、園での1日のスケジュール、年間イベントスケジュール、子供が風邪を引いた時の規則、保育/教育方針等を調べます。家庭の理想と合いそうな園を見つけたら見学に出向き、気に入ったら登録料(5千円~1万円未満くらい、園によって異なる)を払って入園準備を進めます。
通年園児を募集していますが、人気の園だとリスト待ちになることも多いので、一箇所ではなく数カ所に登録する家庭もあります。

園の選び方は完全に両親の意向によります。
両親が異なる言語を話すので、週に2日は英語の園、週に3日はもう一方の言語を話してくれる園に通わせる、という方法もあります。
子供が少し大きくなるまでは週4日に減らして働くことにしたので週4日だけ園に通わせる、週に2日はおばあちゃんに見てもらうから週3だけ園に預ける、両親がフレックス制で働いていて子供を見る人のいない午前中だけ預けたい、など、各家庭と各園によって子供の預け方/受け入れ体制は様々です。

いかがでしたか。
私個人の感想ですが、アメリカはとにかく保育料が高い!
保育園の抽選結果がわかる時期になると、落選した家庭のエピソードや保育園不足の現状のニュースが流れるのを見ます。

もちろん大変な事もたくさんあるかと思いますが、それでも産休育休の制度があり、そして公的資金で賄われるために低額で子供を預けられる(しかも各種給付金まである)日本の制度は、アメリカよりずっと手厚いと思います。

次回は、全て私立ならではの、豊富な種類のデイケアの内容をお伝えしたいと思います。

礒恵美(いそ めぐみ)

 

──■ あとがき
───────────────────────────────────────
連載の共著者、井上賞子先生には以前、充実した連載をしていただきました。新しく読者になられた方には、メルマガのバックナンバーをご覧ください。
※2013年9月20日号から連載 賞子先生の魔法のアプリ
(バックナンバーはこちら>>

セミナーで広島に来ています。6月9日まで、大阪、堺、神戸、札幌、名古屋と残り8回。放課後等デイサービスと児童発達支援に関心をお持ち方にぜひ聞いていただきたい内容です。よろしければお申し込みください。

※発達支援セミナー
(詳細はこちら>>

次回メルマガは6月9日(金)です。名古屋からの発信になります。

メルマガ登録はこちら

本文からさがす

テーマからさがす

全ての記事を表示する

執筆者及び専門家

©LEDEX Corporation All Rights Reserved.