人の表情への気づきを促すカードゲーム

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2013.04.12

人の表情への気づきを促すカードゲーム

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■ 連載:USA TODAY おすすめアプリ:Letter Reflex
■ グッズレビュー:ハリガリ ジュニア
■ 書籍:子どもの才能チェックBOOK
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■ 連載:ボストンからの発達障害レポート 第2回
USA TODAY おすすめアプリ:Letter Reflex
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皆さんこんにちは。ボストンの礒です。
今回は、USA TODAYで紹介されていたおすすめアプリのレビューを報告します。

Letter Reflex というiPad、iPhone、iPod touch向けアプリで、読み書きを始めた子どもが、bとd、pとq、uとn、6と9など、誰もが間違えやすいアルファベットや数字をシンプルな二種類のタスクを通して遊びながら学ぼうというものです。

一つ目のタスク "Tilt it”(傾けて)は、画面上に出てくるボールを、スクリーンを傾けることで p、q、b、d の○の部分にある穴に入れて音声指示されたアルファベットを完成させるというものです。
★Letter ReflexのYouTube動画はこちら>>

このタスクは、文字の認識につまづく子どもは、「左右の概念」と「左から右へ文字を書いていく」というルールを習得できていないのではないかという研究を元に、正しい文字形成の学びにつなげようというものです。また、音声を聞き、考え、見て、手でスクリーンを傾けるという、総合的な運動感覚を刺激することで、学習を強化しようというアプローチに基づいています。レベルがアップすると、無関係の穴が増えるので、正しい場所にボールを運ぶために神経を集中させなくてはならず、集中力の強化も期待できます。

二つ目のタスク "Flip it"(はじいて)は、音声指示に従って画面上のアルファベットや語彙の上下左右を、タッチスクリーンに触れて入れ替え、視覚を強化して正しい文字形成の学習を促すことを目的としています。
(例:「uの文字に直しなさい」と音声が流れ、画面にはnやnの鏡文字が表示され、それを指ではじいて回転させ u の文字にする)

レベルがアップすると文字が画面上で動いたり、アルファベット一文字だけではなく単語も出てきたり、単語と数字が出てきたりと、少しずつ高度になっていきます。

どちらのタスクもゲーム終了後に、かかった時間と正確さのパーセンテージが表示されます。

$1.99とかなりお手頃価格の値段なので、文字を習いたての4~6歳くらいの子向けの短時間アクティビティに良いかと思いました。

★紹介サイト(appstoreへのリンクも)はこちら>>

余談ですが、私が5歳半くらいの頃だったでしょうか。2歳年下の妹とけんかをして、いつまでも泣いているのにいらだって、油性ペンでドアに「ないてるひとは はいらないでください」と書いたのです。

しかし、「ないてるひとは」と書いていたところで、「は」の右と左が分からなくなってしまい、どちらかは当たっているといいなと思って「はいらないでください」の「は」は右と左を逆に書いたのです。

私の両親はドアに落書きをしたことよりも、なぜそんな書き方をしたのかの方が気になったようで、さして怒られもせずその理由を聞かれたことが強く印象に残っています。

(それは母のお気に入りになって、リフォームをするときに業者の人に壁紙からそれを切り取ってもらって額に入れています。)

近年、読み書きの能力というのは単純に本を読んだり鉛筆で書いたりすることだけではなく、パソコンやゲーム機器、携帯電話など様々なメディアに対応しなければなりません。

実際に鉛筆で書くのと、キーパッドを打つのと、ボタンを押すのと、タッチスクリーンを触るのとでは、似て異なります。さらに同じ小文字のaでもフォントによっては筆記体の形の場合もあります。

様々なメディアに対応できる読み書き能力を育ててあげるためにも、こういったアプリを使ってのゲーム感覚の学習は、効果的ではないでしょうか。
(礒恵美)

 

■ グッズレポート:「ハリガリ ジュニア」
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ちょうど1年前に、連載「自閉症のトムくんの成長物語」を寄稿いただいた未来奈緒美さんから大変ユニークなゲームをご紹介いただきました。

・以下、グッズレビューから引用
人の表情への気づきを増やし、人の顔が描かれた図柄への拒否感を和らげるゲームのご紹介です。

対人関係をうまく築けない自閉症の人は、相手の表情を認識する脳の特定の部分の活動の低下が指摘されています。また、自閉症児は、人の顔の図柄に対してより多くの視線回避を示し、それは笑顔の図柄に対して顕著であるという研究結果もあります。

(中略)

こうした形でハリガリ ジュニアの遊びをすることで、笑顔に気づきやすくなり、「口角が上がっている時が笑顔」という理解もすすみます。
・・・引用終わり

遊び方の動画や、元々の遊び方では難しい自閉症の子のために、未来さんが考案した遊び方も紹介されいますので、ぜひご一覧ください。

★ヴァラエティカフェ・グッズレビューはこちら>>
レヴュアー: 未来奈緒美

 

■ 書籍:子どもの才能チェックBOOK-得意ジャンルが見つかる、伸ばせる
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国立成育医療研究センターの宮尾益知先生から紹介された新刊本です。それぞれの子どもの認知特性の違いを知って、それを発達成長に活かす、という宮尾先生の持論を具体化をしようとしている本なのかなと思いました。

子どものタイプを知るために、2種類のチェック項目を用意しています。1つめは、H.Gardnerの多重知能理論(Multiple Intelligence)の8つの知能(MI)です。日本ではあまり有名にならなかったのですが、欧米で一世を風靡した学説といってよいでしょう。8つは、言語的知能(言語能力)、論理数学的知能(論理的思考能力)、音楽的知能(音楽的能力)、身体運動的知能(運動能力・巧緻性能力)、空間的知能(空間認識能力)、対人的知能(コミュニケーション能力)、内省的知能(自己認識力・メタ認知)、博物的知能(識別能力)です。

★多重知能理論の紹介 佐藤朝美・東大・助教の論文(PDF形式)はこちら>> 
★日能研の解説ページはこちら>>

もう一つのチェック項目は、著者が考案した6つの学習スタイルです。そのうち4つは認知機能から著者が子どもの特性を測るのに適したと選択した、遂行機能(計画性・自律性)、長期記憶(記憶の定着)、ワーキングメモリ(作動記憶)、注意機能(集中力)です。他の2つは、才能を伸ばすために必要な性質と著者が考える、興味の変動、学習のペースです。

それぞれの項目は4~5の質問で構成されており、いずれも保護者が子どもを観察、あるいは本人に尋ねて、1(弱い)から4(強い)の4段階から選んでチェックリストに記入します。そして、それぞれの項目の点数の合計が16点以上なら得意、8点以下なら苦手、という訳です。

この本では、MIの結果をその子どもの現状、LSをその子のもつ認知特性と捉えて、それぞれのタイプごとに、各教科の学習や行動習慣の改善方法などを提案しています。

著者の野添絹子さんは、学習障害についての2E教育という米国での取り組みについても興味深い文章をネットで公開されています。

★BERD(ベネッセ教育研究開発センター発行)2007 No.11の閲覧はこちら>>

2Eとは、twice-exceptional、つまり「二重に特別な」という意味で、米国の一部の学校で行われている「才能のある、学習困難な子どもへの学校教育の取り組み」のことです。

★著書の紹介 
子どもの才能チェックBOOK -得意ジャンルが見つかる、伸ばせる
野添絹子著、小学館、2013年3月発行、四六判、192ページ、1575円(税込)
(詳細はこちら>>

 

■ あとがき
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4月11日朝日新聞朝刊に、町田市教委に脅迫、嫌がらせという記事が載りました。市内の朝鮮学校への防犯ブザー配布に抗議するもので、「ハンマーで頭を割ってやる」など3日間で250件の電話があったそうです。

他にも多数の韓国・朝鮮や中国に対する抗議行動や暴力行為、ネット上での暴言などのヘイトクライムが目に余るようになってきました。

特定の異民族への排他意識は、エスカレートすると、異文化、自分と異なる特性をもつ障害者などに広がっていくと考えます。ヘイトクライムを放置しない、自分とは違う人を認める社会を作っていきたいと思います。

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