読めなくても、書けなくても、勉強したい

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2013.03.29

読めなくても、書けなくても、勉強したい

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■ 連載:ADHDとLD診断の小学生の保護者からのお便り
■ 書籍:読めなくても、書けなくても、勉強したい
■ 報告:メルマガ5周年記念アンケート
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■ 連載:ビジョントレーニング 第7回
ADHD及びLDと診断された小学生のお母さんからのお便り
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今回は北出先生に寄せられた、保護者の方からのお便りの紹介です。

1.はじめに
息子が小学校1年生の夏にADHD/LDと診断されました。同じような仲間がいなかった私は、「誰と話せばいいのか、何をしたらいいのか」と迷い、落ち込むばかりの日々でした。

そんな時、発達障害児向けのキャンプに参加し、そこでビジョントレーニングを教えていただきました。さらにスクールカウンセラーの先生にビジョントレーニングを直接教えていただき、それにより現在小学4年生の息子がどのように変化したのかということについて、自分なりに報告したいと思います。

2.ビジョントレーニングを開始する前の息子の様子
・小学2年で計算プリントの宿題が多く、帰宅後、癇癪を起こすことが多い
・鏡文字になる
・漢字が覚えにくく、テストで書けないことが多い
・漢字1ページを書くのに30分、気分が乗らないと1時間ほどかかる
・文を書くのも、読むのも苦手なため、文章題が出来ないことが多い
・一人で日記が書けない

3.9ヵ月、ビジョントレーニングを実施

1) 実施方法
家庭で父か母がほぼ毎日5-10分行う

2) 実施内容
次の、ア~カのいずれかを、子どもの様子を見ながら選択して実施する。

ア.ひもつきお手玉をぶらさげて、動かし、眼で追って指でタッチ
イ.ビー球を机の上で転がして机の端でキャッチ
動かしているストローの穴を眼で追い、ペン先をストロー穴に入れる
ウ.点図形の模写、運筆プリント
エ.ジオボード・シェイプバイシェイプ(図形パズル)
オ.ビジョントレーニングPCソフト
カ.体を使った取組
・紙を線にそって、破く
・折り紙
・体でグーチョキパーを作る
・右手、左手で左右を意識しながらキャッチボール

3) その他行ったこと
キ.ことばの教室への通級
ク.ワーキングメモリーのトレーニング
ケ.漢字練習
・じゅもんで覚える漢字練習
・ホワイトボードに大きく漢字を書き、形を確認
・好きな本を音読

4.9ヶ月間通しての変化

1) 通級の先生から
・詩の朗読を毎回録音しているが、それを聞いていくと、初めて読む作品への入り方が違い、格段によくなった
・言葉のまとまりが上手にとらえられてきた
・文字への抵抗が減り、以前より読みがスムーズになった
・眼球運動が改善された

2) 学校での変化
・クラスで音読ができるようになった
・文章題が以前よりできるようになった

3) 息子の変化
・あれほど嫌いだった漢字書き取りだったが「僕は出来るよ、大丈夫」と言って毎日こなすようになる。以前は1ページ30~60分かかっていたのが10分ほどで書けるようになる
・漢字が以前より大分書けるようになり、点数にも結びつくようになった
・日記が一人で書けるようになった
・癇癪を起こさなくなった
・自己肯定感が上がり、何でもやる気いっぱいで取り組むようになる。期間限定の陸上クラブ、水泳クラブの朝練習や放課後練習に意欲的に参加する。マラソン大会での目標順位を達成。ドッチボール交流試合で学年選抜メンバーに選ばれる

5.さいごに
よい変化ばかりをお伝えしましたが、まだ鏡文字がある、複雑な文章題はいまだ苦手であること、処理速度がゆっくりなこと、SSTの必要性があるなど、今後の課題もあるのが現状です。

でも、ここまで改善できたのはビジョントレーニングのおかげだと思うのです。確かにビジョントレーニングも他のトレーニングも万能ではないと思います。しかし、少しずつでも続けていけば、いずれはよい変化がおとずれ、本人の心の状況が良い方向に向いたとき、今まで表には出てこなかった本来持っている能力が引き出されるのではないかと思います。

今、考えると当時の私は息子の感情の起伏についていくのがやっとで、毎日宿題を息子と仕上げる、ビジョントレーニングを行う、学校で悲しいことがなかったかなど、気にかけたり、とにかく毎日心配し、必死に頑張っていました。その時の私は「発達障害を何とかしよう」と思い、それを良くないものというようにとらえていました。

しかし色々な本を読み、様々な方に出会わせてもらい、沢山の言葉をいただく中で、発達障害に対して人一倍こだわっている自分、できないことをさせようと頑張っている自分、息子に頑張らせている自分に気づきました。

「発達障害を悪いものとして排除しようとするのではなく、息子に寄り添い、認め、息子や私たちが発達障害と上手く付き合っていく方法(コツ)を見つけていくことが大切なんだ」と思います。そしてこれらを通して、心配ではなく、信頼していく大切さも学びました。そんな風に思えるようになった今、二人の息子と、今度はもっと楽しくワクワクしながらのんびりと、またビジ
ョントレーニングを始めたいと思っています。

○北出先生からのメッセージ
このような素晴らしいご報告をいただけて本当に幸せです。苦手なことは誰にもありますし、私にも多々あるのですが、上手く苦手なことと付き合いながら楽しく生きていきたいと思います。多くの方にこのお母様のようにワクワク、のんびりとビジョントレーニングを楽しんでいただけたらと思います。

★北出先生のサイト:視機能トレーニングセンター「ジョイビジョン」はこちら>>

 

■ 書籍:読めなくても、書けなくても、勉強したい
-ディスレクシアのオレなりの読み書き
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映画「DXな日々 美んちゃんの場合」などを見て、ある程度ディスレクシアのことは分かっていたつもりでした。が、この本を読んで自分の理解がまったく不十分だったことを思い知らされました。

著者の井上智さんが自分がディスレクシアだと知ったのは43歳の時、まだ数年前のことです。共著者で奥さんの井上賞子さんは、小学校の特別支援学級の担任で、発達障害に関しての活動で著名な教師です。その賞子先生ですらだんな様がディスレクシアだということに気づいておられなかったとの記載があります。その理由は賞子先生のせいではありません。智さんが、自分の「文字が読めない、書けない」という特性を、自分自身の努力不足が原因だと信じて、その困難をひた隠しにしてきたからです。

その特性以外は、人間的にも体力的にも他の人よりも優れた素質を持っていたために余計に、智さんは他の人から冷たい目で見られ、そのことで自分を責め、壮絶ともいえる人生を送ってこられました。

ディスレクシアの人によって差があると思いますが、智さんのように、困り感のきわめて大きい人が存在すること、それらが特性であることを周りの人が知ることが極めて重要であることを、この本で多くの人に知ってもらいたいと思います。

もう一点知ってもらいたいのは、智さんレベルの困難さをもつ人でも、いったんそれが特性であることを知り、意欲をもって様々な工夫をすることで、難易度の高い公的資格を、筆記試験を突破して獲得できたという事実です。そこでの具体的な工夫の数々と、必要な対処方法を身につける、柔軟な考え方を、この本を通してぜひ知ってもらいたいと、強く思いました。

なお、この書籍の元になったブログで、この本の内容をある程度、知ることができます。

★智さんのブログ「成人ディスレクシア toraの独り言」はこちら>>

ディスレクシアを含む学習障害(LD)を持つ人の比率は、5%以上といわれています。それが表だってこないのは、本人がそれを発達障害の由来と知らず隠しているからだと思われます。その特性以外ではたくさんの可能性を持つ子どもたちが、智さんのような辛い思いをすることなく、伸びていける環境の実現に全力で取り組みたい、と改めて決意させていただきました。井上覚さんと賞子先生に感謝したいと思います。

『読めなくても、書けなくても、勉強したい』 井上智・賞子著
ぶどう社、2012年1月発行、A5判、176ページ、1890円(税込)
詳細はこちら>>

 

■ 報告:メルマガ5周年記念アンケート
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2月に実施した読者アンケートの結果をご紹介させていただきます。
ご協力いただいたのは15名でした。FacebookページでもLike2000達成記念として実施しましたので、合計で24名。プレゼントは20名でしたから、かなりな確率で当選されたことになりました。

今回のアンケートは、メルマガを皆さんがどう思っていらっしゃるか、改善すべき方向性は何かを探ることでした。ですから数は少ないですがメルマガ読者15名のご回答についてご報告させていただきます。

1.立場
保護者10名、教師3名、専門士と福祉関係者が各1名でした。

2.お住まい
関東と近畿が各4名、中部、中国、九州が各2名、沖縄1名でした。

3.当社のメディアで読みたいもの(複数回答)
役だつグッズのレビューが13名でトップでした。続いて10名が3つあり、セミナー等のレポート、保護者や支援者の体験談、専門知識の解説、でした。残る各種イベント情報は7名でやや支持率が低かったのを除けば、総じて、これまでの掲載内容はニーズに即していると感じます。

4.メルマガの発行頻度
適切が13名、少なすぎるが2名でした。

5.メルマガ1回の分量
適切が12名、やや多いが2名、やや少ないが1名でした。

以上から考えるに、大きく形式を変える必要はないようです。ただし、アンケートにご協力いただけなかった方がたくさんいらっしゃいますので、その方々は改善してほしいと思っていらっしゃる点があるのかもしれません。下記問い合わせフォームから、ぜひご意見をいただければと存じます。
★問い合わせフォームはこちら>>

6.よいと思ったメルマガの記事等
連載:ビジョントレーニング 6名(第1回4名、知的な遅れ1名、両眼視1名)
連載:自閉症のトムくんの成長物語 2名
連載:小児発達医・まなみの診察室 1名
認知療法・認知行動療法のスキルを学ぶ 1名
発達障害のある人の支援ツール(おめめどう) 1名
グッズレビュー 1名

ビジョントレーニングが大変高い支持率を集めています。連載は後3回を予定しています。ご期待ください。
それも含め、実体験をお持ちの方の連載は人気が高いようです。今後の編集方針でも柱として考えたいと思います。
ご協力ありがとうございました。

 

■ あとがき
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わが街、まほろ市の桜はまだ満開です。都心より気温が数度が低いことが、その原因だと思います。冬は雪の多いのに困らせられることもありますが、都心の桜と合わせて、長く楽しめるのはうれしいことです。

次回メルマガは、4月12日(金)の予定です。

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