中高生が作る教育 Web サイト「シンククエスト」

MAILMAGAZINE
メルマガ情報

2011.03.04

中高生が作る教育 Web サイト「シンククエスト」

小春日和という言葉をふと口にしたら、大学生の息子から秋の季語と指摘されました。11月頃に春めいた気候になることを指すことばのようです。Wikiによれば、英語にも相当する言葉があってIndian Summer というそうです。

では三寒四温かと調べてみると、本来は中国北東部などで冬に、シベリア高気圧の勢力が7日の周期で強弱を繰り返すことが原因で起きる現象を指すことばとのこと。寒暖が不定期に変わる日本には当てはまらないようですが、ことばも生き物ということで、勘弁してもらいましょう。

Wiki 小春日和
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%98%A5%E6%97%A5%E5%92%8C
Wiki 三寒四温
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%AF%92%E5%9B%9B%E6%B8%A9

====================================================================

【目次】
(1)特総研セミナー・レポート「特別支援教育の現状と課題」
(2)mayaさんの「スクールカウンセラー奮闘記」15
(3)おすすめコンテンツ 中高生が作る教育Webサイト「シンククエスト」

====================================================================

(1)特総研セミナー・レポート「特別支援教育の現状と課題」

国立特別支援教育総合研究所セミナー・レポートの続きです。千原由幸・文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長の行政説明と松村勘由・国立特別支援教育総合研究所上席総括研究員のシンポジウム基調報告を素材にして、特別支援教育の現状と課題についての発表の概要を報告します。

1.日本の特別支援教育の全体像

(1) 特別支援教育の対象

小中学校の対象年齢は全体で1,074万人。そのうち、文部科学省が特別支援教育の対象者としてとらえているのは、下記の通りです。いずれも毎年、増加しています。

特別支援学校         6万2千人 0.58%
特別支援学級        13万5千人 1.26%
通常学級で通級に通う子ども  5万4千人 0.50%
合計            25万4千人 2.34%

(2) 学習指導要領の改訂による特別支援教育の変更点

小学校では平成23年度から、中学校と高校では平成24年度から新学習指導要領が全面実施されます。それまでは移行措置が取られます。特別支援学校もそれぞれの年齢が相当する学校の時期で、小学部、中学部と実施されます。

もっとも大きく変わった点は、特別支援学校に在籍するすべての子どもについて「個別の指導計画」の作成が義務付けられた点です。また、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒の交流と共同学習が推進されることになりました。

(3) 個別の指導計画の意義

この計画は、障害のある子どもの実態を把握し、一人一人の教育的ニーズに応じて、教育の内容と方法を計画し、実施した結果を記述するものです。

意義は3つの側面から捉えられます。

a.教育の質の確保
教育の目的に従って、活動を計画し、実施し、評価・改善するPDCA(Plan Do Check Action)サイクルのプロセスをたどることで、目的に対応した活動の質を確保する。
根拠に基づく教育(Evidence Based Education)の実現の手立て。

b.インフォームドコンセントの考え方
保護者・本人とともに教育内容を考えていく、当事者中心の教育の実現。

c.アカウンタビリティの考え方
公教育として行っている事柄について、説明責任を果たす。

さらにこの計画によって、組織・チームによる指導・支援が創造され、様々な関係者の指導や支援がつながれることを目的としています。

(4) 個別の指導計画の現状

平成19年度と21年度の調査を比較すると、個別の指導計画の作成状況は以下となります。
19年度   21年度
小学校    75%    90%
中学校    61%    80%

計画作成のプロセス(複数回答)は、小学校では特別支援教育コーディネーターと相談して作成、がもっとも多く52%、次が学級担任(教科担任)が単独で作成で34%です。中学校でも同じ順序で、それぞれ57%、28%と、コーディネーターの存在がより大きくなっています。

計画の活用度では、活用されているが小学校で71%、中学校で61%となっており、地域差や教師で活用度に差があるのではと推測されています。

(5) 今後の課題

特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議では次のように報告と提言が行われています。

「幼児児童生徒の一人一人のニーズに応じた適切な指導を行うためには、必要な幼児児童生徒に対し個別の指導計画を適切に作成・活用することが重要である。そのためには、個別の指導計画の作成・活用に関する実態把握、作成・活用のための専門性・ノウハウについての小・中学校への支援、特別支援学校のセンター的機能の活用、PDCAサイクルの確立等が必要である。」

そのためには「小・中学校等における個別の指導計画の活用・評価に関する具体的かつ実践的な研修を実施してくことが求められる。」

その他、「個人情報保護との関係」「当該計画(票簿)の管理」「計画の内容」「学年間や学校全体での共通理解」の課題が提起されています。

また、「保護者のとの関係」については、「指導計画は学校の責任において作成すべきもの」としながらも、保護者からの情報を得ることの必要性について言及しています。

●参考文献
「障害のある児童・生徒のための個別指導計画Q&A」東京都教育委員会
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/shidou/kobetu.htm

特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議審議経過報告
http://bit.ly/e5otHP

====================================================================

(2)mayaさんの「スクールカウンセラー奮闘記」15

<これまでのあらすじ>
アスペルガー症候群の状況と推定され小学校1年からずっと教室に入れず、休み休みながら保健室への登校を続けてきたA子。中学校に入学し、なんとか教室登校からスタートしましたが、2学期からは教室に入ることが難しくなり、校内の別室「ふれあい教室」から少しずつ授業への参加を始めました。
1年3学期が終了する頃には、午前中の授業に参加できる程度の持久力がついてきました。2年生になり少しずつ自分と向き合い始め進路を考えるようになりました。3年12月には専門学校の入試に合格しました。それから、進学してから学校で1日過せる持久力をつけるために、教室に出て1日過ごせるように努力しています。

----------------------------------

A子は、卒業式の練習に参加することになりました。しかし、卒業式で大勢の人の前で行動することの怖さと、卒業証書を受け取りに壇上に上がり降りてくる手順を間違えたりしないかという不安な気持ちが膨らんでいました。

そこで、全体での練習の前に個人練習を設定し、卒業証書を受けとる所作や壇上に上がり降りする手順を、繰り返し練習しました。その後の1回目の卒業生練習では、うまく動作することができて、少し安心することができたようです。

ところが練習後にA子は「今回は人が居なかったから大丈夫だったけど、本番ではたくさん人が見ているから無理!」と言いだしました。SCとの面接で、卒業式の間は視線を伏し目がちにして足元だけを見て動くこと、待っている間は飼っている猫のことを思い出すことを、話しあって決めました。

視線を伏し目がちにすることで、沢山の人を見ることから受ける怖さの刺激を減らせます。また大好きな猫のことを思い出すことで不安感が弱まります。当人と話しあって、できそうな方法を選んで行動目標にすることで、環境調整の取り組みを進めました。

2回目の卒業式の練習時に、さっそくチャレンジしてみました。少し移動のタイミングでまごつきましたが、これらの行動目標を取り入れた方法でやり通すことができました。A子も「本番ではザワザワ人の声が聞こえてくると思うけど、目に入ってこなければ楽だと思う」と話し、本番にも参加することを前提にして、練習に継続して参加することができました。

A子の「私は、うまくできない」という負の感情の高まりから生じる頑固な信念に対して、環境調整や方略と呼ばれる具体的な行動手順を幾つか提案します。そして、本人ができそうな方法を選択し実施していきます。それらの成功体験の刺激を客観的な事実として積み上げて、少しずつ「私もできる」というように認知を修正するSCの取り組みです。これは「本人の認知が修正されていくと行動が変容していく」という治療仮説に基づく認知行動療法のアプローチ手法の1つです。

次回は、卒業式の本番に挑んだA子の様子を紹介してゆきます。A子の奮闘のいよいよ最終回です。
(文責:maya)

====================================================================

(3)おすすめコンテンツ 中高生の作る教育Webサイト「シンククエスト」

今回は学習に役立つWebコンテンツの紹介です。中高生がチームを組み1年間かけて制作して応募し、文部科学大臣賞、総務大臣賞、経済産業大臣賞などを受賞した優れた教育コンテンツが多数公開されています。

http://thinkquest.jp/

シンククエスト(ThinkQuest)は1996年に米国で始まったWeb制作コンテストで、日本では1998年に始まりました。2月26日に入賞者が発表された第13回大会では、参加者1,649人から412作品の応募がありました。

日本では、日本のインターネットの父といわれる村井純・慶應義塾大学教授や故石田晴久・東京大学名誉教授らが開設し、現在は、NPO学校インターネット教育推進協会(理事長:永野和男・聖心女子大学教授)が運営しています。誕生の経緯には著名人が多数登場し、ちょっとしたドラマともいえるので、興味のある方は、坪俊宏事務局長(グローバルコモンズ代表)の下記ページをご覧ください。

「21世紀の人材を育てるインターネット時代の学習スタイル」
http://thinkquest.jp/about/article01.html

中高生が、自分たちが必要と思う教育コンテンツを作る、という位置づけであるため、学校の教科に偏している商用コンテンツにはないユニークな内容が含まれています。また、長年、最終審査員を務めている筆者が自信をもっていえる質の高さとボリュームを備えたコンテンツが多々あります。

今年の文部科学大臣賞「インフォグラフィックス~イラストが情報を運ぶ」は、交通標識やトイレの場所などの情報をイラストを用いて分かりやすく伝える技術を、イギリスのロンドンオリンピック事務局などとの交流を通して集めた豊富な実例を使って表現しています。

http://plus-infographics.jp/

同じく総務大臣賞「災害信書」は、地震や台風を解説するだけでなく、自分たちが防災センターを訪問して体験した「緊急事態に遭遇した時の気持ち」を動画と合わせて紹介することで、避難の知識の必要性を伝えています。

http://saigaishinsyo-sgss.jp/

これまでの13回の大会で受賞したコンテンツ群は、ライブラリとして公開されており、教育関係者だけでなく、保護者の方にも子どもの質問に答える時に大いに役立つとお勧めします。

ライブラリ http://thinkquest.jp/library/

また、1年間を通して、複数の友人と協力して1つの作品を作り上げるという体験は、その後の人生でも必ず役に立つと思います。近く第14回大会の募集が始まります。中学・高校・特別支援学校の先生、あるいは保護者の方は学校に提案するなどしていただいて、より多くの子どもたちにコンテストに参加していただけたらと思います。

====================================================================

3月26日(土)27日(日)あいち健康プラザ(愛知県知多郡東浦町)で「こどもの福祉機器展~チャレンジドフェア」が開催されます。副題の「見たい!知りたい!試したい!」のように体験コーナーが多数設けられるようです。
詳細は、次回メルマガでご紹介します。

100haの丘陵に、健康に関する5つのゾーンからなる複合施設「あいち健康の森健康科学総合センター」と広い公園があるようです。春休みにお子様連れで出かけられてはいかがでしょうか?

http://www.ahv.pref.aichi.jp/

次回メルマガは、3月18日(金)です。

メルマガ登録はこちら

テーマからさがす

全ての記事を表示する

©LEDEX Corporation All Rights Reserved.