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認知テストと発達障害(3):学習障害( LD )

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■ 連載:認知テストと発達障害(3):学習障害(LD)
■ 連載:自閉症児の四次元ワールドへようこそ(2):「困ったこと」
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──■ 連載:認知テストって何?
(第8回)認知テストと発達障害(3):学習障害(LD)
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こんにちは、学校心理士の青木瑛佳です。前回は、認知テストと注意欠如・多動症(ADHD)の関連について書かせていただきました。今回は、テーマ:認知テストと発達障害の最終回として、認知テストと学習障害(LD)に関して書かせていただきたいと思います。

(1)    学習障害(LD)とは

最近、教育や心理の関係者の間で、学習障害、という概念が広まりつつあります。多くの場合、授業や活動についていけないが、知的障害と呼ぶほどではないお子さんが、学習障害があるとみなされています。例えば、クラスのほとんどが足し算を出来るようになっても足し算が出来ないお子さん、漢字をなかなか覚えられないお子さん、また保育園などでは、制作活動がうまくできないお子さんなども、そう思われているようです。

このように、現場では非常に広い意味で使われている「学習障害」ですが、アメリカの診断基準マニュアルDSM-5によると、学習障害は、単に「勉強ができない」というだけで診断してはいけないことになっています。

DSM-5によると、学習障害とは、「読み」「書き」「算数/数学」のいずれかの分野で、年齢から期待されるよりも明らかに出来ないため、学業や仕事に困難をきたしている状況を指しています。これだけなら、単に「勉強ができない」と言っているのと変わらない気がしますが、DSM-5は、そこにさらにいくつかの「条件」をつけています。

DSM-5では、学習障害と診断されるには、学習の困難が次の6つの原因によるものでない場合のみとされています。その6つの原因とは、(1)知的障害、(2)視覚/聴覚の障害、(3)精神疾患や神経疾患、(4)社会的/心理的要因(貧困や虐待など)、(5)母国語で学校の授業を受けてないこと、(6)不適切な授業を受けてきたこと、です。さらに、学習困難のための支援を適切に受けたにも関わらず、年齢相応まで伸びない、という条件もあります。

つまり、勉強ができないのが、本人の家庭事情や他の障害や病気、学校の教え方によるものではなく、もっと「純粋に」勉強ができない場合のみ、学習障害であるとされています。となると、正確な診断には、本当に様々なところからの情報収集と検査が必要であり、また支援効果が少ないことを示すために、長い時間も必要なわけです。こんなことを踏まえた上で、学習障害と認知テストの関連について、お読みいただければと思います。

(2)    学習障害と認知テスト

先ほどDSM-5の学習障害の診断基準の話をしましたが、実はそれ以前は、かなり長い間、アメリカで学習障害は全く別の基準に基づいて定義されていたのです。以前の基準によると、学習障害とは、知能と「読み・書き・算数」のいずれかの学習達成度の間に有意差(30標準得点以上)があることを指していました。例えば、知能指数が100なら学習達成度が70以下、知能指数が90なら学習達成度が60以下という具合です。

言い換えると、どんな知能指数であれ、学習達成度が低ければ「学習障害」と呼ばれてしまうわけです。今の基準でも、「知能の低さでは説明できない学習困難」が学習障害なので、知能指数は学習障害には関係ないことになります。というわけで、結論から申し上げてしまうと、学習障害に特有の知能テストの結果のパターンは存在しえない、ということになってしまいます。

ただ、それではみなさんに興味をもっていただけないでしょうし、学校現場で検査を行ってきた経験からは、学習障害とみなされているお子さんによく見られるパターンがいくつか見出されましたので、紹介します。ここでは、日本で現在最もよく使われている認知テストであるWISC-IVの点数を用います。

第一は、前回の記事で紹介させていただいた注意欠如・多動症(ADHD)の診断を受けたお子さんの典型的なプロフィールと似た結果になるパターンです。このようなお子さんは、ADHDの診断基準を満たしませんが、注意力がやや低めであるため、特に国語の学習に支障をきたしていることが多いです。「読む」ことは文字を認識しつつ全体の意味を理解していく作業であるため、注意がうまく分散できないと難しいようです。

第二は、知能テストの分野別得点の中で、「処理速度」のみが極端に低いパターンです。このようなお子さんの場合、授業の内容を理解できないわけではないのですが、他の人よりもノートを取ったり、計算したりという作業が極端に遅かったりします。そのために、本人が理解にたどり着く前に、授業が先に進んでしまい、学校での学習についていけなくなってしまっているようです。検査中の態度も、全体的にゆっくり答えを言ったり選んだりすることが多いです。

第三は、「作動記憶」分野の点数のみが極端に低くなるパターンです。このようなお子さんは、耳で聞いた情報をたくさん覚えておくことが苦手であるため、授業についていくのが難しいことが多いです。検査中の様子では、「言語理解」分野の課題で何度も問題を尋ねることが多かったりします。一方、「知覚推理」分野の課題は比較的得意で、素早く取り組み、高めの得点になることも多いです。

第四は、視覚認知を測定する課題の点数のみが極端に低くなるパターンです。WISC-IVの中では特に、形状をしっかり認識する必要がある「積木模様」の課題の得点が低くなる他、「記号探し」のミスも増える傾向があります。このようなお子さんの場合、特に漢字の書き取りに支障をきたすことが多くなります。

最後に、全体的にやや低めの得点になるパターンもあります。特に強みや困難さがはっきり見られるわけではなく、WISC-IVのそれぞれの分野の指標得点(SS)が、70〜85の間に落ち着くパターンです。知的障害の診断基準は、IQ=70以下であるため、知的障害の診断基準は満たしませんが、平均的なお子さんと比べると、やや理解や学習がゆっくりめになるため、学校での勉強では大変な思いをしているというパターンです。

このように、学校での勉強についていくのが難しいお子さんでも、色々なパターンがあるわけです。そのため、認知テストを行い、どのあたりに困難さがあるのかをつかんでおくことは、適切な支援を考える上で、非常に重要であると思われます。

以上、認知テストと学習障害に関して書かせていただきました。次回からは、いよいよ、どのように認知テストの結果を活かすかということについて、書かせていただきます。お読みいただき有難うございました。

青木 瑛佳 (学校心理学 Ph.D.)

 

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──■ 連載:自閉症児の四次元ワールドへようこそ
(第2回)「困ったこと」
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うちの子どもたちは、
学生の頃、提出物が間に合わなかった。とか、
テストの点数が悪かった。とか、
友達と喧嘩して何となく話しづらくなってしまった。とか、
お弁当を忘れた。とか、
体操着や上履きを忘れた。とか
待ち合わせの時間に遅刻してしまった。とか・・・

まぁ〜子どもたちにとって、こんな「困ったこと」が起こることは、日常茶飯事。

こういう「自分自身が困ったこと」に直面してみることって、
成長するためには、すごく大事なことだと私は思っています。
(もちろん、その前にそうならないようにすることの方が大事ですが・・・笑)

自分が「困った」っていうことは、じゃあ、これからどうしたらいいのだろう?
防ぐためにどうすれば良かったのだろう?
他の人は、どうやっているのだろう?

いろんなことを「考える」きっかけになると思うのです。

その「困ったこと」があった時、
当たり前のように周りの人たち(たとえば親や先生など)が先回りして手助けしてしまったりしていると、
「困ったこと」=「他の人が助けてくれて当たり前」
「困ったこと」=「どうにかなる」
になってしまって、次にもっと大きな「困ったこと」が押し寄せてきた時にどうすることもできなくなってしまうかもしれません。

「困ったこと」を自分で乗り越えた時、そこには感動や、「やった!」という達成感があります。

「困ったこと」や「嫌なこと」から逃げないで取り組むためのチャンスは、大人になってから、そうそうあるものではありません。
障がいの有無に関係なく、小さな成功体験を積み重ねることは子どもの自信につながると思うのです。

あなたやあなたのお子さんは、今、困っていますか?
そして、何を自分の力で解決できたら、どんな「成長」が待っていると思いますか?

堀野めぐみ

 

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──■ あとがき
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2月12日(日)に埼玉県の日本工業大学宮代キャンパスで開催される、特別支援教育と福祉機器の展示会、埼特ICT/AT.Labo で、レデックス製品を展示することになりました。放課後等デイサービスでのアセスメントをベースにした支援を行う新製品「ほうかごアシスタント」等を紹介します。ご関心のある方はご参加ください。
(詳細はこちら>>

次回メルマガは、2月10日(金)です。