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認知テスト/知能検査って何のためにするの?

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■ 新連載:認知テスト/知能検査って何のためにするの?
■ 連載:ペアレントメンターって?(最終回)
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──■ 新連載:認知テストって何?(仮題)
(第1回)認知テスト/知能検査って何のためにするの?
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はじめまして。コロンビア大学で発達心理学の修士、学校心理学の博士号を取得した学校心理士の青木瑛佳(さやか)と申します。アメリカ・日本で、幼児から青年を対象に、心理/発達検査、カウンセリング、保護者や先生に対する発達コンサルテーション等を行ってきました。今回から10回に渡って、「認知テスト」に関して連載させていただきます。

第一回の今回は、「認知テスト/知能検査って何のためにするの?」というテーマで書かせていただきます。

お子さんの発達のことで心配があって、小児科や公共の相談機関などに相談に行くと、「発達検査を受けてみませんか?」と言われることがあるかと思います。小学生以上の場合、ここで言う「発達検査」は、「認知テスト」のことを指していることが多いです。また、小学校の特別支援教育の先生も、教育支援の一環として、お子さんに「認知テスト」をすることがあるかと思います。では、なぜ「認知テスト」を受けるように勧められるのでしょうか?

認知テストを行うことで、分かることは主に以下の4つです。
1.被検査者の大まかな認知能力水準(同年齢の他のお子さんと比較した時)
2.被検査者の得意・不得意
3.被検査者の課題に対する取り組み方
4.被検査者の認知能力の変化

1.認知能力水準

まず、被検査者の”大まかな認知能力水準”ですが、これが分かることで、「その後の支援の方向性、目標」を大まかに定めることが出来ます。

例えば、お子さんの認知テストの点数が全般的に低い場合(指数70以下)、その得点は同年齢の下から数えて2%以内に入ると考えられますので、他のお子さんと同じ学習課題を学校で行っていくのは大変なのではないか、と思われます。したがって、通常学級よりも特別支援級を利用した方が、お子さんがよりスムーズに学習できるのではないか、と考えられるわけです。
※指数70以下は同年齢の子どもの2%だけ (図はこちら>>

2.得意・不得意

次に、被検査者の得意・不得意に関してです。認知テストは総合得点だけでなく、分野別の得点を算出しますので、「どの分野が他の分野に比べてより発達しているか」が分かります。その発達の凸凹が分かることで、「学習・生活などの支援方法がより具体的に」なります。

例えば、あるお子さんの言語理解指数(ことばを正しく理解し、自分の考えをことばで表現する力)が85、知覚推理指数(目でみたものを分析し、パターンを見出す力)が100であった場合、そのお子さんは、ことばで理解するよりも、目で見て理解する方が得意であると考えられるわけです。このようなお子さんは、「目で見てわかる工夫」を積極的に取り入れていくことで、家庭や学校での生活がよりスムーズに送れるようになると思われます。
※言語理解と知覚推理の差がある場合 (図はこちら>>

3.課題に対する取り組み方

3つ目は、被検査者の課題に対する取り組み方です。認知テストの最中のお子さんの様子を検査者が観察することで、お子さんの課題に対する取り組み方、課題の好き嫌いなどが明確になります。そのような情報も、支援計画、特に「学習に対する直接の支援の他に、どのような支援を行っていけばいいか」ということを考える上で役に立ちます”。

例えば、あるお子さんは、時間を測って行う課題になると急に緊張してしまい、なかなか進めることが出来なかったのですが、時間を気にせず行う課題では、のびのびと自分の力を発揮して取り組むことが出来ました。このようなお子さんの場合、学校生活、特に試験などで自分の力を発揮できるようになるために、緊張をほぐすトレーニングを受けることが勧められます。

4.認知能力の変化

最後は、被検査者の認知能力の変化です。複数回認知テストを受けることで、認知能力がどう変化しているかがはっきりし、「支援・治療計画の継続・変更などの決定」に役立ちます。このような認知テストの使い方は、高齢者、精神的な不調を抱える方に対して行うことが多いです。

例えば、精神的な不調を抱える方の場合、最初に病院などに来院した時点では、本来の能力よりも、認知テストの結果が低く出ることも多いのですが(この現象は、連載の別の回で詳しく解説します)、治療がうまくいくと、認知テストの点数が上昇することが多いです。そのため、認知テストの結果が、治療方針の継続・変更などの決定の重要な参考情報になることも多いです。

以上のことから、認知テストを受けることで、「現在の全体的な認知能力水準、分野間の能力の凸凹、課題への取り組み方が分かり、より明確で具体的な支援計画を立てる」ことが可能になるといえます。そのため、発達や学習面に課題があるお子さん、精神的な不調を抱えているお子さんや大人の方、認知症の高齢者に勧められることが多いと考えられます。

記事をお読みいただき、有難うございました。次回は、「そもそも知能って何?」ということについて書かせていただく予定です。

心理士 青木 瑛佳(学校心理学博士)

 

──■ 連載:母親として発達凸凹の子育てが面白い!楽しい!を広めたい
第8回:ペアレントメンターって?(最終回)
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自閉症スペクトラムなどのある子供を育てた経験がある保護者で、同じような診断やその可能性の示唆を受けた子供を養育する保護者等に対し、子育て経験から相談に応じたり、有益な情報を提供したりする支援者のことを『ペアレントメンター』と呼ぶようになりました。ペアレントparentは親、メンターmentorは信頼のおける相談相手という意味です。

しかし、ペアレントメンターは、ボランティアという定義づけです。
なぜ、ボランティアでなければならないのでしょうか。

自閉症スペクトラムの子供は、周囲から理解されにくい面があり、家族だけで悩みを抱え込んでしまう場合が少なくありません。そうした状況に陥らせないためには、家族の多様な疑問や悩みを聞き、それに共感しながら相談に応じられる存在が重要ということで、一般社団法人日本自閉症協会は、2005年度(平成17)にペアレントメンター養成講座を開設したそうです。

講座は通常1〜2日間で、知的障害を伴う高機能自閉症や、アスペルガー症候群などの障害に対する知識や、幼児期から成人期までの支援のあり方などに関し、理解を深められるとしている内容※1。
※1日本大百科全書の解説 (解説はこちら>>

ペアレントメンターとして活動するために重要な基礎技能として、相談相手と会話しながらうまく相談に応ずる方法も教えています。講座を修了した人の多くは、在住する地域の発達障害者支援センターの協力を受けながら、個別相談、電話相談、保護者勉強会、研修会などの啓発活動、支援ツール作成などといった活動を行っているそうです。

厚生労働省は発達障害者支援体制整備事業のなかで、ペアレントメンターの養成を行う自治体への支援を2010年度から開始しました。2011年度からは、発達障害者支援センターの利用者に対し、ペアレントメンターを仲介するコーディネーターの配置を進めています。

2012年度からは、都道府県などの行う地域生活支援事業にペアレントメンターの養成や発達障害者支援センター運営事業を組み込み、地域の児童相談所や保育所などの関係機関とペアレントメンターが連携を図りながら、地域社会が一体となって取り組む体制づくりを始めました。
※資料1 鳥取自閉症協会ペアレントメンター資料 (資料はこちら>>

ここまでの働きを期待されているのに、ペアレントメンターは、ボランティア扱いです。しかも、その役割は、親以上の範囲を逸脱してはならないのです。
※資料2 書籍「ペアレント・メンター入門講座 発達障害の子どもをもつ親が行なう親支援」学苑社  (書籍の詳細はこちら>>

このことをまとめると、ペアレントメンターとは、自助グループのリーダー的存在を育てるための組織に助成金が投入され、そこで養成費用を自分で払ってくれてしかもボランティアで働いてくれる存在。

受給者証ビジネスの緩和で多くの事業所が乱立している状況から予測できることは、今度は、ペアレントメンター養成事業ビジネスの併設でしょう。そこに生きがいを見出し、救われる保護者も多いかもしれないけれど、障がい特性の多様性をどのように扱うかは、まだまだ未知数です。

最悪なのは、やりがい搾取となり、当事者の家族が、業者や支援者やコーディネーターと呼ばれる側に搾取されてしまうこと。

発達凸凹の子供はひとりひとり違います。あるメンターの子育てが役に立つ家庭もあれば、まったく役に立たず、話を聞くだけでストレスという場合もあります。

例えば、指示の受容に問題がある子もいれば、言うことが完璧に理解できていても、言葉の表出だけが難しいケースもあります。まったく言語による表出ができない子供もいれば、しゃべりすぎて困る子達もいます。スケジュールボードが大変に有効な子供がいるけれど、全く必要のない子供もいます。ABAで飛躍的な効果が現れる子供もいればそうでない子供も。聴覚優位、視覚優位では、全く支援の仕方が異なります。

発達指数の全体平均が50に満たないというケース※2でも、かなりおしゃべりが流暢な子もいれば、その逆も。発達指数が高すぎる子達もいれば、平均値の子もいます。文字があれば安心して会話できる子供もいれば、そうではない子、絵カードが効果ある子そうでない子、本当にひとりひとり、違うんです。
※2 発達指数の平均点は100、標準偏差は15です。100−15×3=55 ですから、50は平均よりもかなり低いことになります。

メンターとお子さんのマッチング事情は、相談者と合致させるためのカテゴライズは、丁寧に行われているのでしょうか。

さらに言えば、家庭環境、きょうだいの有無、収入格差も大きく関係してきます。その辺は今後の課題なのでしょう。

発達凸凹の子供を育て上げたという経験は、非常に尊いものです。また、発達凸凹の子供を育てるために、自分の仕事のキャリアを諦めたというお母さん、お父さんも多くいらっしゃいます。発達凸凹の子供を育てるために仕事ができず、経済的に困窮するご家庭も少なくありません。

ペアレントメンターが国策として行われるならば、発達凸凹の親たちをやりがい搾取で終わらせず、その経験や能力には、報酬を受ける価値が有ることに気づいて欲しいです。

ペアレントメンターは、親である範疇を超えないボランティア養成だということですが、私自身は、親が一番の理解者であり、当事者の応援団であると考えています。発達凸凹のお子さんの子育てを頑張っている親御さんが、ペアレントメンターの経験を活かし、ボランティアに留まらず、プロの教育者として活躍する人材が増えていくことを期待しています。

今週末には、都内でペアレントメンター講座が行われます。(資料3、4)私も参加予定なので、どのようにペアレントメンターが発展していくのか、考えていきます。
※資料3 ペアレントメンター講座 (詳細はこちら>>
※資料4 日本ペアレント・メンター研究会 (詳細はこちら>>

私が発達凸凹の子供を産んで、自分も発達凸凹のきょうだい児であり、私にも凸凹なところがあることに気付きました。もともと、言語学の研究で言葉の習得について研究していましたが、子どもの発達凸凹から応用行動分析に基づく療育支援のトレーニングを受け、臨床家として活動しています。

現在は、発達凸凹のあるお子さんの療育、学習を行っています。子供達には、楽しんで生きていってもらう、自己肯定感を養ってもらうために、凸凹の凸部を存分に伸ばす練習を積んでもらうことを目的として楽しい挑戦を続けています。

人生は、一度きりです。
楽しんで生きていけるステージを見つけて生きていく、
既存のものがなければ、自分で作っちゃうことをモットーに。

発達凸凹の本人や保護者、家族が搾取されず、生き方を楽しめる社会になりますように。

連載は、今回で終了です。
私の子育てや活動の情報を、読んでくださる方の参考にして頂けましたら幸いです。

あしたん
代表スーパーバイザー
こころことば教室 (ブログはこちら>>

 

──■ あとがき
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無事に、第150号のメルマガとなりました。2010年7月の創刊以来、6年3か月の長きにわたって連載が続けてこられましたのは、読者の皆様、さらに、ご寄稿を心よく引き受けていただいた数多くの先生方のおかげです。メルマガのみでの記載で失礼と存じますが、謹んで御礼申し上げます。

さらに、充実した誌面をめざし、これからも努力してまいります。
引き続き、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

次号は、10月21日(金)の刊行予定です。