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「幼児期」「学童期」の吃音について

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■ 連載:『幼児期』『学童期』の吃音について
■ 連載: 大好きななにかで、自己開示・表現
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──■ 連載:「吃音」のこと、もっと知ってください! そして、もっと一緒に話してください!
(第3回)『幼児期』『学童期』の吃音について
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「吃音」についての第3回は、『幼児期』『学童期』でどのような支援が必要か、また周囲がどのように接すれば良いのかをお伝えしていきます。

○『幼児期』の支援(関わり方)について

「吃音」は、前回のQ7で、多くの場合2歳以降に発吃し、2〜5歳の発吃時期が一番多いとお伝えしました。この時期に現れる吃音を「発達性吃音」ということもあります。

ことばを話し始めたばかりで、脳機能の統合がまだ進んでいないこの時期は「たくさん話したい!」という気持ちが先走って、ことばがつっかえたりすることがよくあります。中には、顔を真っ赤にして、ことばがなかなか出てこないような子どももいます。

そして、Q6でもお伝えしたように、約3%〜5%の幼児にそのような状態が現れますが、その後、自然治癒してしまう子どももいますので、保護者ははあまり気にしすぎてはいけません。

幼児期を発吃とする吃音の多くは、保護者や周囲の大人が厳しく正しい話し方を教え込んだり、叱ってしまうことで、話すことが嫌になってしまったりつっかえないように話すことに意識しすぎて更にどもってしまうことで、吃音はよくないものと思い込んでしまいます。

そこで、幼児期の吃音の子どもへの支援について例として挙げれば、次のような内容になると思います。

・楽に話せるような環境づくり
→子どもの話は最後まで聴いてあげましょう!

・言語・運動面
→話す速度はゆっくり、ゆったり!
保護者が話す内容は、その子が分かる内容、スピードで話そう!

・情緒面
→「ゆっくりでいいのよ!」または「ちゃんと話しなさい!」などのプレッシャーをかけず、子どもの話す内容をきいてあげましょう!

・保護者や大人が吃音について前向きに話す
→幼稚園で、もし「なんで○○ちゃんの話し方はそうなるの?」と言われてしまった場合にこんなふうに言えるようにしておいてね!
例1:「そういうふうになるのは、○○ちゃんのくせなんだから、いいんだよ。お友達の□□ちゃんだって、△△△っていうくせがあるじゃない。それと同じよ。」
例2:「それが、○○ちゃんの話し方だからいいんだよ。背が高い子と低い子がいるみたいに、いろいろなお話の仕方があるんだよ。」

・必要に応じて、専門家による直接的な言語指導や、遊戯療法を行う
→どうしても気になる場合は、ことばの教室の先生や病院の言語聴覚士(ST)さんに相談しましょう!

○『学童期』の支援(関わり方)について

幼児期に現れる吃音は自然治癒する場合もあることは、前回お伝えしましたが、中には学童期になっても吃音がある子どもがいます。また、学童期になると、多くの幼稚園・保育所・保育園から集まり、様々な人と接触する機会が増えます。すると、今までは気付かなかった自分の話し方の違いに気付いたり、新しいお友達に指摘されたり、からかわれたりすることで、自覚するようになります。

私がことばの教室時代に出会った小学1年生のお子さんも、「いそいでしゃべると、とちゅうでとまっちゃうから……」や「あー、とかなっちゃうから」と気付いており、周りからも「なんでそうなっちゃうの?とか聞かれる」と話してくれました。

つまり、学童期の支援については、下のような、幼児期の吃音との違いが現れてくるため、学童期に応じた支援や関わり方が必要となります。

・一般的に、自分の吃音を意識するようになってきます。
・話す前に「予期不安」(Q3でお答えしました)が出てくるようになります。
・それに伴って、「ブロック」や「随伴運動」(Q2でお答えしました)が増えてきます。
・また、人と違うという意識が芽生え始め、恥ずかしいことと考えたり、人前で話すことを避けるようになってくる場合も少なくありません。
(吃音のタイプや、性格、周囲の対応、指導を受けた経験の有無などによって大きく異なりますが…)

これらの特徴は、『幼児期』からみられる子もいますし、小学校高学年になっても吃音の意識がある子も全くない子もいるので、その子によって特徴が異なり、一概に言えないのが吃音の難しいところといえます。

『学童期』の支援については、『幼児期』の支援でお伝えしたように、地域の小学校に設置されている「ことばの教室」や、病院等の言語リハビリテーション室、その他「ことばの相談室」等の話し言葉に関する改善を目的とした施設で次のような、直接的・間接的な支援をして下さいます。

(1)環境調整(家庭環境の調整、学校環境の調整)
(2)自分自身と吃音理解への働きかけ
(吃音についてオープンに話せる場所の確保。吃音を持つ仲間同士のグループ指導を含む)
(3)周囲他者とのコミュニケーションに関する働きかけ
(単に「吃らない」ことを狙うのではなく、効果的な発話・コミュニケーションをする方法を学習したり経験する。模擬面接などを含む)
(4)話しことばへの働きかけ
(「流暢に(吃らないように)」ではなく、「楽に」話すことを狙う)

※詳しくは、全国公立学校難聴・言語障害教育研究協議会『きこえとことばの研修テキスト』第10章に書いていますが、「ことばの教室」の先生方向けですので、一般的に販売されている書籍を最後に紹介致します。

ここでは、『学童期』吃音の子ども達に関わる保護者や、大人である私たちの支援(関わり方)についてお話ししておきます。
特にここでは、【してはいけない】アドバイスや行動という形でご紹介しましょう。

・「吃音のないあなたは認めるけれども、吃音のあるあなたは好きじゃない」のようにその子どもに感じさせるような行動や表情や視線。
・吃音がおきると言い直しをさせる。
・話すことを含めて、過度に厳しく行動の正確さを求める。
・子どもが吃ると話の途中であってもやめさせる。
・吃ると、子どもに代わって続きを言ってしまう。
・吃ると、子どもから話の主導権を奪って、次に話し始めるチャンスを、なかなか与えない。
・子どもを吃らせてはいけないと思って、子どもに話させないようにする。
・「吃らずに言えて良かったね」と誉める(吃らなかったことへの賞賛は、たとえ善意からしたことであっても、望ましくない行動であると思います。子どもに「吃ったから、失敗だ」ととらえさせるような対応の仕方は望ましくありません。)
・「早く!急いで言って!」
・「言う前に練習して、よく考えてから言って!」
・「さっきは吃らずに言えたから、今度もきっと大丈夫。吃らずに言おうとしたら、言えるよ。しっかりして!もう一回言って!」
・「息を吸ってから、深呼吸してから言って!」
・「落ち着いて。あわてないで、止まらないで言って!」
・「調子の良い時みたいに言って!」
・「ゆっくり、もう一度、はっきり、落ちついて、息を整えてからにして言いたいことをまとめてからにして」等の話し方への度重なる注文
・子どもの話し方に注文をつけること

これは、先ほどの『幼児期』の支援や関わり方にも通ずることですので、一緒に考えてよいと思います。特に、質問に対して話し言葉で答えるといった機会が多くなる『学童期』ですから尚更ですね。
そして、子どもと関わる際に【大切にしてほしいこと】をお伝えします。

・子どもの言葉の流れを止めたり奪ったりせずに、子どもに最後まで話しをさせて下さい!
・聞き手は吃音や話し方にとらわれずに、子どもが伝えようとしている内容を聞いて下さい!
・吃ったから失敗ととらえずに、吃っても相手に伝えられれば成功であるという気持ちを、子どもに持たせることです!
・吃らなかったことを賞賛するのではなく、言いたいことを伝えたこと、内容の伝達に成功したことを賞賛すべきであることを家族や周囲の大人に伝えましょう!

そして、特に「家庭」は、その子を含む家族全員にとって『自由なことを話せる場所』となるように心がけていくこと、また子どもに(特に話しことばについて)要求する水準を下げることが大切です。

そして、大切なのは、子どもが吃音のことについて疑問に思ったことや、幼児期や学童期に友達から言われたことなどに対して、保護者が答えられるようにしておくことも重要です。いざという時に口を濁したり、ごまかしたりせずに、きちんと質問に答えられることが、『吃音の話ができる関係』の第一歩につながります。また、このように考えていくことで、子ども自身を理解していくことが出来るようになってくるかもしれません。

もちろん、その子どもさんと毎日のように関わる学校の担任が、周囲の子どもの質問やからかいに、答えられるようにしておくことがとても大切ですし、(担任の関わりについても、『きこえとことばの研修テキスト』に書いていますが、一部下記のパンフレット等を参照して下さい。)

そして更には、その子を取り巻く周囲の大人達が、このような関わり方を自然と出来ることを願っています。

<参考文献>
・伊藤伸二編著(1999)吃音と上手につきあうための吃音相談室.芳賀書店.
・伊藤伸二著(2004)知っていますか?どもりと向きあう一問一答.解放出版社.
・小林宏明著(2014)学齢期の吃音の指導・支援 改訂第2版.学苑社.
・伊藤伸二・吃音を生きる子どもに同行する教師の会編著(2010)吃音ワークブックどもる子どもの生きぬく力が育つ.解放出版社.
・菊池良和(2015)吃音のことがよくわかる本.健康ライブラリーイラスト版.講談社.

<皆さんに知って頂くためのパンフレット等>
・ことばの臨床教育研究会発行(2007)吃音相談シリーズ
「幼児編 うちの子はどもっているの?お子さんの話し方が気になる方へ」
「学童編 どもる子がクラスにいたら学校の先生方へ」
(全国言友会連絡協議会ホームページよりダウンロードできます)
(詳細はこちら>>

・NPO法人全国ことばを育む会 両親指導の手引き書
(1)どもりについてのQ&A
(2)もしお子さんがどもったら
(3)子どもの吃音Q&A親御さんの質問に答えて(2011年版)
(吃音のある)子どもに向き合うために

・子どもの吃音啓発資料(2016)
【資料1】クラスメートに理解してもらうための資料(4パターン)
【資料2】周囲の大人に理解してもらうための資料(2パターン)
(学苑社ホームページよりダウンロードできます)
(詳細はこちら>>

次回第4回は、『幼児期』『学童期』に続いて、『思春期』『成人期』で、どのような支援が必要か、また周囲がどのように関われば良いのかをお伝えしたいと思います。

そしてこのタイミングで、フジテレビ月曜日夜9時に『ラヴソング』というドラマが今月11日より、始まっています。主人公の女性には吃音があります。第1回には、まさに『成人期』の吃音者の悩み、不安、苦悩も表されていました。主役の福山雅治さんとのラブストーリーも今後どのように展開していくかも楽しみです。どうぞこちらもご覧になって下さい!
(詳細はこちら>>

群馬県渋川市立古巻小学校通級指導教室
教諭 佐藤雅次(まさつぐ)
<臨床発達心理士・特別支援教育士>

 

──■ 連載:イイトコサガシから始まるコミュニケーション
第6回 「大好きななにかで、自己開示・表現」
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今回は、私の心が折れた事例から入りたいと思います。生き辛さとは、ここまで深く重いものなのだなと、実感して頂ければ幸いです。

とある就労移行支援機関でワークショップをさせて頂いた時のことです。
(イイトコサガシは、複数の支援機関にコミュニケーションのプログラムとして、定期的に呼ばれているのです)

とにかく、言葉が出ない。
質問も出ない。
というわけで、だったら「大好き」をテーマに思う存分、話してもらおう!
そして
・わかりやすさは、考えなくてよい
・むしろわかりにくく、マニアックでOK
・自分が一番話したいことから話す
・自分らしさを意識する

ということをワークショップで試してもらったのですが、全くぬかに釘。
消極的な姿勢は変わらず、顔も無表情なまま。

『冠地さん、大好きって言えるほどのものはありません』
悪意は不思議と全く感じられませんでした。

私の心が折れた原因は皆の
「なぜ、自分の好きなものを他の人に話さないといけないの?」というあまりに自然体なたたずまいだったのです。

親御さんにも似たケースがありました。
お母さん『私、大好きなんてないので』
私『自分の好きなものならなんでもよいんですよ?』
お母さん『上手くできないと思います、私は本当に下手でだめなんです』
私『試した時点で大成功!だから大丈夫ですよ』

このやり取りが7回くらい繰り返されました(汗)
とにかく言い訳をしておきたい、それを承認してもらいたいという感じです。

『大好きが見つからない、試した時点で大成功!が難しいなら、参加を取りやめますか?参加費はお返ししますよ?』とも提案しました。
他の試そうとしている参加者さんの時間を、結果的にそのお母さんが奪っているからです。

しかし、そのお母さんは息子さんと一緒に参加しているため、自分だけが帰るわけにはいかなかったようで、上記の同じやり取りが繰り返された、というわけです。

もう本当に消耗しましたし、感情的になってしまいました(反省)
ただ、思わぬ嬉しい誤算もあったのです。
そんな私とお母さんのやり取りを見ていた息子さんは、「大好き」をテーマにちゃんと最後まで試し続けてくれたのです(笑)
非常にユニークな個性を爆発させて。
そのおかげでプラマイゼロって感じでしたね、あの時は(遠い目)

さて、上記の話をベースに生き辛さを紐解いていきます。
なぜ、「大好き」をテーマに話すのが難しいのでしょう?
それは、「大好き」が自己満足で自己完結していることが多いから、です。
他者に自分の「大好き」を話すということは、自分の望む展開にならない可能性もある、ということです。(むしろ、その可能性の方が高いでしょう)
自分の世界の中で「大好き」に浸っていた方が安全なのです。
「大好き」だからこそ、傷つきたくないのです。

もちろん、理由はそれだけではありません。
社会背景も無視できない要因の一つです。
現代社会は、何から何まで手厚く楽しませてくれるシステムが増えています。
努力を必要としない、お金さえ出せば「大好き」を楽しませてくれるサービスが増えています。
上記が当たり前、と脳に刻まれてしまうと、他者との交流が面倒くさくなってしまうのです。不確定要素が多いため、煩わしくなってしまうのです。
主体的に大好きなジャンルを展開できる機会を、自分で増やしていかないと、いつの間にか自己満足の自己完結になりやすい、ということです。
そして、自己満足の自己完結で彩られている自分の「大好き」に需要がないことを、それとなく気が付いているため、話す気になれないのでは?
と、私は想像しています。

そんな生き辛さを可能性に変えるべく、私は提案したいのです。
「大好き」を使って、他者と交流できるブリッヂ(橋)を創りませんか?
「大好き」で、多様性を実感→受容→展開していきませんか?
まずは「大好き」で自分の中の引き出しをすべてさらけ出してみませんか?
「大好き」の持っているエネルギーを使って、成長を目指してみませんか?
「大好き」の持っているスケールの大きさを使って、自分の世界を広げてみませんか?

イイトコサガシでは、大好き、楽しい、ありがとうの三本柱でたくさんのワークショップを展開中です。
『冠地さん、「大好き」がテーマなら私はいくらでも試せるよ!』
と皆が笑顔で言える状態をスタート地点にしたいからです。
そしてその次は、他者の「大好き」を受容し、理解し、応援できるような自分を目指してほしいな、と。
更には「大好き」な会やイベントに一人で参加できる自分、初対面の人ばっかりでも、コミュニケーションを試行錯誤できる自分を目指してほしいな、と。
最終的には自分の「大好き」で会を主催したり、イベントを開催したりできる自分を目指してほしいな、と思っています。
コミュニケーション・対人関係の経験値獲得でもっとも有効なのは、自分が会やイベントの主催者・運営者となり、初対面の人たちを楽しませること、です。
規模は小さくてもよいんです。
集客が少なくてもよいんです。
内容がマニアックでもよいんです。
自分が主役ならば。
自分で「大好き」をデザインして行けたら、生き辛さが可能性に変わっていきますよ!

冠地情(かんちじょう:本名)イイトコサガシ代表

 

──■ あとがき
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熊本地震で災害に遭われた方々、ご関係者の方々に心よりお見舞い申し上げます。

次回メルマガは、通常より1週間先の5月13日(金)とさせていただきます。
イイトコサガシ冠地さんの次回連載は、いよいよ最終回です。