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特別支援学校からのレポート

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■ まえがき:特別支援学校からのレポート
■ 連載:子どもたちの夢や願いを支える
■ 書籍 子どもはみんな問題児。
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■ まえがき:特別支援学校からのレポート
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これまでメルマガでは、主に発達障害のある子どもへの支援を取り上げて来ました。学びの支援という観点をさらに広げたいと考えて、特別支援学校で肢体不自由や知的障害の子どもの支援を長く担当し、子どもたちの将来の生活をより豊かにするために、キャリア発達やICF/ICF-CYの研究をされてきた逵直美(つじなおみ)先生にお願いして、連載をしていただきます。

※ICF 国際生活機能分類。ICF-CYはその子ども版。
生活に必要な機能は何か? 一人ひとりの子について、どの生活機能がどの程度できているのかを基準にしながら、支援の方法を設定しようという考え。 (Wiki詳細はこちら>>

 

■ 連載:子どもたちの夢や願いを支える
第1回:子どもたちのつぶやきを見過ごさない
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今 学校教育の中では、キャリア教育の必要性や意義が高まっており、その目指す先は、子どもたちが将来の社会の中で自立し、自分らしい生き方をしていくことです。自分の力で生き方を選択することができるよう、必要な力や態度を身につけることは重要なことです。私たち、子どもに関わるものは誰しも、子どもたちの夢や願いに寄り添い、その実現を目指し、その子らしい生き方をしていって欲しいと願わずにはいられません。

今回は、その子らしい生き方を支えていくということはどういうことなのか三重・及び東京での実践を通して、出会った子どもたちの姿を通して振り返っていく機会としたいと思います。

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「先生!こんなことめったにできへんわ」

施設併設の肢体不自由の学校に勤務していた時のことです。
「自分の町へ出かけよう!」というテーマで子どもたちの家がある地域に出かける校外学習をしていたときに ふとAさんが漏らした言葉です。今でも横断歩道を渡っているときに私の顔を見上げて言ったその時の状況が忘れられません。

リハビリテーションセンターに入所しているAさんは、高等部まで施設で過ごし、週末に家に帰る生活をしていました。しかし、自分の住んでいる町に出かける経験がなく、地域の中での存在も希薄でした。また、保護者は、施設入所、Aさんは家に帰りたいというように進路先の希望には差異がありました。車椅子なのでバリアフリーでない地域の環境やAさんが地域の中で関わる人・物・事が少ない環境など様々な要因があったように思います。

地域の中で当たり前に生活していく、そのことの大切さをAさんに教えられた場面でした。また同時に、Aさんが自分の思いを人に伝えていく力を身につけていくことの必要性にも気づかされました。

日常、社会に関わることができにくい施設併設の学校生活には様々な制約がありました。その中で何ができるのか、難しい・できないとあきらめて既存の学習活動に終始するのではなく、少ない外に出かける経験を補うために、学校に様々な人に来てもらうという発想の転換を行うことにしました。

国際交流財団の交流員を招聘し、食文化交流を行いながら異国の文化を学び外国語にも触れる機会となりました。ブラジル・イギリス・アメリカ・オーストラリア・中国の文化を学び交流員とふれ合う機会は、興味関心を広げる機会になりました。また、茶道学習を始め、毎月外部講師の方に来校していただきました。

肢体不自由の子どもたちにとって袱紗さばきなど苦手なこともありましたが、作法よりも茶道の心得を身につける機会と捉えることにしました。予算があってはじめたものではなく、裏千家の助成金を申請して、肢体不自由の子どもたちにとっても座って取り組める茶道具を揃えることができました。回を重ねる中で、学校祭でお茶会を開き多くの人にお点前を披露することもできました。

人とふれ合う・人に役立つ、外部の方々に来ていただく教育活動が加わったことで広がる学習活動がありました。そのことでの経験が子どもたちにとって自分たちもできる・自分たちもやってみようという自己効力感から自信が持てるようになったように思います。

「自分たちの町に出かけよう」「国際交流:外国を知ろう」「茶道学習:日本の文化を知ろう」これらの活動を年間計画の中に位置づけ繰り返し行いました。これらの活動から、広がる学習があり、教科の学習意欲にもつながったように思います。

なかなか自分の思っていることを伝えられなかったAさんは、「私は、家に戻って○○に通いたい」という願いを親に伝えることができ、卒業後は、地元に戻り自宅から希望する○○に通所しています。

今も Aさんは、○○の作業所で様々な人と出会い、電動車椅子を購入し、出かけた先で自由に行動できるようになるなど さらに力を発揮しているように思います。

〜先日のメールから〜
「お元気ですか?毎日組紐のお仕事頑張っています。毎月2回お泊まり(ショートステイ)もしています。ゴールデンウィークは家にいるのですか?また、○○に顔を見せてくださいね。楽しみにしています。」

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人は、他者や社会とのかかわりの中で、様々な役割を担いながら生きています。これらの役割は生涯という時間的な流れの中で変化しつつ積み重なり、つながっていくものです。自分の役割を果たし活動していくことを通して、人や社会にかかわりあいながら自分らしい生き方になっていくのではないかと思います。*平成23年1月の中教審答申参照

Aさんも学校生活の中での様々な活動で、自分の役割を担いながら自信を積み重ねてきたように思います。私たち子どもたちを支援するものは、その役割を担う場をどのように提供していくのか、地域で生きていくという社会参加を見据えて考えていくことが大事な事だと思います。Aさんが言った「こんなことめったにできへんわ」という一言…内面のつぶやきを見過ごさないように過ごしていきたいと思います。

特別支援学校では、これまでも自立と社会参加を目指して子どもたちの教育を実践してきましたが、さらに、キャリア教育の導入によって、教育活動の改善や充実を図ろうとしています。子どもたちの将来を見据え、より豊かな生活につなげるために、学校の教育実践を通して何ができるのか、キャリア教育の視点を通してお話しさせていただく予定です。

今後ともよろしくお願いいたします。

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*今回は、三重の施設併設での肢体不自由学校での実践が、今の私の基盤になっていると考えましたのでご紹介させていただきました。事例は下記から出版されています。
特別支援教育に向けた新たな肢体不自由教育実践講座
全国肢体不自由養護学校長会 編著  ジアース教育新社
★詳細はこちら>>

(逵直美・東京都立光明特別支援学校教諭)

 

■ 書籍 子どもはみんな問題児。
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我が子の大好きだった「ぐりとぐらかるた」。その著者、中川李枝子さんが子育て本を書いたと某新聞の書評欄で紹介されていたので読んでみました。

45の小さなエピソードで構成されていてとてもよみやすく、また、それぞれに子どもの実態に気づかされることや、知っておきたい子育てのヒントがたくさん詰まっています。そのいくつかを紹介します。

○子どもの言うことは全部ほんとうです:子どもたちは自分が考えたことを真剣に話します。現実とはまったく異なっていることも多いです。ですが、それは子どもたちの頭の中では本当なのです。そんなふうに考えながら、子どもたちと接することは大切だな、と思いました。

○いざという時、子どもは強い:年下の兄弟のため、自分が守りたいと思う人のため、大人が思う以上のことを子どもはできることがあります。子どもたちは「役に立ちたくてたまらないのです」

○子どもはお母さんの弱みを突いてきます:子どもには園に行きたくない時もあります。そんな時、いうことを聞いてあげたくなる理由を上手に見つけてきます。そんな時おすすめなのは「あらそうなの行きたくないのね」とか「じゃあ、先生に、今日は保育園お休みしますって言いに行きましょう」などと話しながら、ともかく保育園に向かうことです。あの手、この手でくれば、こっちもあの手この手です。

これらは、作者自身の経験だけでなく、佐々木正美先生など子どもの実態に詳しい専門家の知見も併せて紹介されていることで説得力を持っています。

もう一つ、この本をお薦めできるポイントは、子どもの読み聞かせに適したたくさんの優れた本が紹介されていることです。自分の読みたい本を一緒に読むことが、うまく読み聞かせるポイントと書かれていることにも強く共感を覚えました。

子どもはみんな問題児。
中川李枝子著、新潮社、2015年3月発行
四六判変形、159ページ、1000円(税別)
★詳細はこちら>>

(五藤博義)

 

■ あとがき
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「子どもはみんな問題児。」を読んでいて、ちょうどよいタイミングで我が家にやって来た3歳の孫に、手元にあった中川さん絵本「いやいやえん」を読み聞かせてみました。

最初の一話をおとなしく聞いていたので、しめしめと次の話を読み始めたら途中で逃げられてしまいました。もっと喜んでくれそうな本を、中川さんの本の中で紹介されている絵本の中から探しておこうと思います。

次回のメルマガは5月29日(金)です。