自閉症のトムくんの成長物語

MAILMAGAZINE
メルマガ情報

2012.04.27

自閉症のトムくんの成長物語

-TOPIC───────────────────────────────
■ 連載:自閉症のトムくんの成長物語・1
■ レポート:Run4u at 世界自閉症啓発デー2012 in横須賀
■ グッズレポート:「医療機関での受診に役に立つサイト」
■ イベント:第5回ヴァラエティカフェ
──────────────────────────────────

 

■ 連載:自閉症のトムくんの成長物語・1 by 未来奈保美
──────────────────────────────────

わたしは大阪で『虹色教室』という算数や工作を取り入れた遊びの教室をしています。教室には自閉症や広汎性発達障害と診断されている子たちもたくさん通っています。

こだわりが強くて興味の範囲が狭い子。
想像力が弱くて見たて遊びができない子。
相互交流をしながら遊びを展開できない子。
ファンタジーに没頭しがちで論理的に考えることが苦手な子、
など特性はさまざまです。

そうした物や人との関わりに問題のある子たちに、さまざまな遊びや物作りに参加させ、算数の世界に親しませ、相互交流する楽しさを体験させていくことがわたしの仕事のひとつです。

これからお話しするのは、虹色教室のトムくん(仮名)というひとりの実在する生徒の成長物語です。トムくんはもうすぐ10歳になる知的障害を伴う自閉症の男の子です。トムくんの親御さんにお許しをいただいて、できるだけ事実を忠実に描くように努めます。

トムくんとの出会いから、もうすぐ3年経ちます。初めて会ったのは、2009年の夏のことです。当時のトムくんは、ほんの一瞬、人に注意を向けることすら難しい様子で、まるで人を人として認識していないように見える子でした。催眠術にかかって眠りながら歩いている人のようにフラフラ移動していく姿からは、自分の意志とか気持ちとか考えといったものが感じられませんでした。

それから2年あまり。現在のトムくんは、自分の意志を身体で表現したり、要求を言葉にしたり、人を観察して真似したり、文字を書いたり、計算したり、「かえるの歌」のメロディーをピアノで弾いたりできるようになりました。最近は、妹さんとする遊びが高度になってきて、知育菓子作りを真似たり、妹さん主導の合奏ごっこに参加するようになっています。表情豊かでいきいきとしていて、人と関わることを楽しむトムくんは、かつてのトムくんとは別人のようです。

それではトムくんがこれまでたどってきた歩みを、わたしとの関わりを中心に紹介していくことにします。
(続く)

編集者注:虹色教室通信

 

■ レポート:Run4u at 世界自閉症啓発デー2012 in横須賀
──────────────────────────────────

Run4u(ラン・フォー・ユー:あなたのために走る)というグループがあります。発達障害に関係する人や当事者が、発達障害についての理解をアピールするために、そのメッセージを描いた黄色いTシャツを来て、ランニングをしようという試みです。筆者もメンバーの一人です。

Run4uの詳細はこちら>>

世界自閉症啓発デーを記念して、発達障害のナショナルセンターである国立特別支援教育総合研究所と、自閉症児専門の筑波大学附属久里浜特別支援学校のある横須賀市で開催されたイベントに、Run4uの仲間、Tさんご一家が登壇すると知り、会場の横須賀市立横須賀総合高等学校に、黄色いTシャツを来て出かけました。

当日は、自閉症の妹を持つ大学生が監督した映画「ちづる」上映と、久里浜特別支援学校の地元の保育園、小学校との交流報告があり、大変感銘を受けました。今回はTさん一家の発表に絞ってレポートさせていただきます。

内容は2部構成で、Tさん(以降、父と記載)のプレゼンと、聞き手の松本末男筑波大教授(前久里浜特別支援学校副校長)が父、母のRさん、子のHくん(自閉症のある7歳男子)と対談する形で行われました。

プレゼンでは、3歳児健診で子の自閉症が見つかったこと、それまで仕事人間だった父が子を優先しようと、久里浜特別支援学校(幼稚部)に転園させるために横須賀市に引っ越したことが紹介されました。

そして、親の会で知り合った人に勧められ、Run4uに入って子と一緒に走る時間を持つようになりました。初めは子が好きなショッピングセンターのゲームをご褒美に、ショッピングセンターまで一緒に走ることから始めました。

最初に参加したマラソン大会(1.5キロ)でゴールした時に周りの人からほめられたことがきっかけで、子はマラソン大会に参加することが楽しみになりました。

マラソン大会に出るには日ごろの練習が欠かせません。休日にしか走れない父の代わりに、平日は母が子と一緒に走るようになりました。

ランニングを通じた、仲間の大人や同じ発達障害の子どもたちとの交流と、久里浜特別支援学校の支援の成果で、小学校は普通学校の特別支援学級に通学できるまでになりました。

対談では、父と母の受け答えに加え、マイクをとって話す子の態度が印象的でした。他の人とのコミュニケーションに関心を持ちにくいのが自閉症の特徴なのですが、マラソンでゴールした時のうれしかった気持ちを伝えたり、いつかマラソンで優勝したいと話す様子は、元気のよい小学2年生そのものと感じました。

他の人と一緒に何かをすることの楽しさを知ること、それをすることで多数の人と継続的に交流(相互作用)することは、特に自閉症スペクトラムの傾向をもつ発達障害の人に好影響を与えることを確信できたイベントでした。

なお、Tさん一家は、NHK総合テレビ首都圏ネットワーク11年10月27日放映にも登場されており、そこでもRun4uのことが紹介されています。

放送内容に関する概要はこちら>> 
(五藤博義)

 

■ グッズレポート 「医療機関での受診に役に立つサイト」
──────────────────────────────────

前回メルマガ「健康診断をスムーズに受ける視覚支援グッズ」に続いて、病院にいく時に役立つサイトの紹介です。紹介者の yoshikoさんのお子さんが内科に行く際に役立った、ダウンロードできる絵カードなど、活用されてはいかがでしょうか?

グッズレビュー「受診に役に立つサイト」はこちら>> 

 

■ イベント:第5回ヴァラエティカフェ
──────────────────────────────────

前回に続いて、2カ月連続で豊島区での開催です。継続した人的ネットワークを作る母体となれることを目指して、今回は平日午前に開催します。

「大人の発達障害の生き辛さとは?」と題して、ヴァラエティカフェ・メンバーで、成人発達当事者会イイトコサガシ代表の冠地情さんが自らの経験を語ります。自らのアスペルガー症候群の特性を社会に適用できるようにしたコミュニケーション・トレーニングのノウハウを、他の成人当事者にも役立ててもらう活動を全国展開するまでになった経緯は、障害をもつお子さんの保護者にきっと参考になると思います。

主催:ヴァラエティカフェ推進委員会
日時:2012年5月21日(月)午前9時30分~12時
場所:豊島区心身障害者福祉センター 西武池袋線椎名町駅から徒歩7分
費用:500円
詳細と申込はこちら>>

 

■ あとがき
──────────────────────────────────

明日からゴールデンウィークが始まります。研究会や講演会は平日よりも土日祝日に開催されることが多く、1日に2つ重なる日も何日かあります。皆さんはどう過ごされるのでしょうか?

次回メルマガは、5月11日(金)です。

メルマガ登録はこちら

テーマからさがす

全ての記事を表示する

©LEDEX Corporation All Rights Reserved.