小児発達医・まなみの診察室・最終回

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2011.09.30

小児発達医・まなみの診察室・最終回

こども脳機能バランサー・プラスの新発売で、大変うれしいお便りをいただきましたので、ご紹介させていただきます。
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我が息子は、旧脳機能バランサーを楽しく使わせていただき、視機能面での能力が著しく向上しました。使う前は、心配されていた漢字の習得も、問題があるどころか、学力テストでは満点の成績。発達障害の子育てのマイブログで思わず紹介したところ、数人のブログ仲間が購入し、子どもが楽しく取り組んでるとの報告を受けました。こういう形で、困っている子どもたちを支援できるのは、一人の親として本当にうれしいことです。

脳機能バランサーも、新たによりよい機能を加えた新製品ができたとのこと。能力のアンバランスを抱える子どもたちを支援する製品を、よりよいものに開発しようとしていただける会社があることが、私たち親にとって明日への光となります。

私も、来年度は特別支援学級での教員に復帰する予定であり、脳機能バランサーの新製品が役立つかもと考え、購入したいと思います。レデックス様のますますのご発展をお祈りしています。(小学低学年のお子様の保護者からいただいたメールの抜粋)
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とても感激し、2500円の特別価格専用ページを10月17日まで延長することにしました。お知り合いの方に、よろしければご案内ください。
http://goo.gl/b2Cl2
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【目次】
(1)講演会「理解しにくく誤解されやすい発達障害」3
(2)小児発達医・まなみの診察室 第12話
(3)おすすめコンテンツ「でこぼこした発達の子どもたち」
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(1)講演会「理解しにくく誤解されやすい発達障害」3

埼玉県上尾市での「発達障害の理解啓発セミナー」の北海道大学大学院教授の田中康雄先生の講演レポートの続きです。

1では、発達障害の分類と特徴、2で、次の一歩として、
・子どもの心に近づく
・その子の発達段階、ライフステージを尊重する
の2点の必要性が解説されました。

今回はそれらをさらに積み上げ、保護者と学校関係者がとるべき態度と方略が解説されます。

●1、2、3歩目

・子どもに親切に、やさしく対応する
・今できていることを大切にする
・発達は常に結果。目的にしてはいけない
→プロセスをほめる!
・子どもの必死さを尊重する

さらにブレイクダウンすると、

●基本的対応
・長所を探し、認める
→親なら、よいところを5つ、教師なら3つ、書いてほめましょう。
・習得に時間をかけ、適切な援助をし続ける
・子どもの秘密を守り、安全を保証する
・馬鹿にせず、真剣に話を聞く、不適切な言葉はかけない
・言葉や、大人の都合で子どもをごまかさず、支配せず、尊重する
・言葉だけでなく、具体的な行動を示唆し、時に一緒に行動する
・結論を急がずに待つ
・見返りを期待せず、信頼する
→この態度を取り続けるのは、時に教師が疲れてしまうことがあります。学年が変わった時に、上の学年の先生は、それまでがんばった先生をほめてあげましょう!
・常に「生活の視点」で話し合う

特に重要な点は、
●子どもが変わるためには親が変わる必要がある、ということです。
・子どもは「できない」のではありません
・子どもは、毎日精一杯頑張っています
-親に元気でいてほしいのです
-親に笑っていてほしいのです
-親の泣くところは見たくないのです
-お父さんとお母さんがなかよくしていてほしいのです
-(大事)叱られるのがいやなのではないのです。期待に添えないことが悔しくて、悲しいのです
-ちゃんと頑張ったねって、ほめてほしいのです
-僕(私)は役に立ちたいのです
・まいにち、えらいね、ありがとうね!
→今を肯定しましょう。

●支援の必要性とは?
・障害を治すのではなく、状況、関係性を修復すること
・子ども一人ひとりに近づき、心に触れ、心を認め、育ちを信じること
・自分にある力を使って、「今をともに生き、共有する世界を立ち上げる」ことが肯定されること
・自分自身が役だつ存在であることを実感できること

次に具体的に、学校でどうすればよいのかを考えてみましょう。

●クラスでの対応・要点1
・(大事)競争ではなく、協力を教える
・社会への責任に気づかせる
・市民としての自覚を促す

●クラスでの対応・要点2:わかりやすい対応
・「まず見せて、それからして見せて、言って聞かせて、して見せて、やらせられるようならさせてみて、誉めてやらねば、自閉症の世界を持つ子どもは動かぬ」
・(大事)一度に複数の情報を提示しない → 話すときは話すだけ、見せるときは見せるだけ  ※著者注:モンテッソーリと同じ
・過敏性に対する配慮 → コントラストが強すぎると認知できないことがある ※子どもが何に過敏性を示すのか、想像を含め、情報を集める
・一貫した対応 → 予定を変更しない、どうしてもの時は予告する
・あいまいな表現はしない、不意打ちやびっくりさせるようなことは避ける
・(大事)こだわりは精神安定剤として、有効活用する

●クラスでの対応・一般的戦略
・批判を控え、励まし、やる気を引き出す
・(大事)クラス全体に「いろいろな子ども」がいることの自然さを伝える
・親切と協力を大切にするクラス作り
・仲間同士の支え合いを築く
・各生徒の長所を把握しておく
・盛大に励ます
・ユーモアを大切にする
・量ではなく、質を重視する
・学業不振にならない工夫
-必ずやり遂げられるように構成された課題
-説明を補足し、簡単・簡潔に
-得意教科、得意な作業などに光をあてる

●クラスでの対応・特別な戦略例
1.注意力への戦略
・邪魔なものは、注意が散漫にならないように机や教室から排除する
・単純明快で簡潔な指示を心がける
・気が散らないように、最前列とか、教師の近くに座らせる
・机と机の距離をとり、容易に四方の生徒に手が伸びないように配慮する

2.衝動性への戦略
・些細なことはできるだけ無視し、なにかよい場面があれば、すぐに誉める
・正しい行動、行為を明記したものを眼のつくところに示しておく
・禁止文で表現しない 例)廊下は、静かに、右側を歩こう!
・どうしてもよくない行動(興奮、乱暴)に対しては、説教や批判をせず、その場から離し、一人で考える場所と時間を与える(クールダウン)。落ち着いたら、その前の行動を責めるのでなく「どうしたかったか?」を尋ね、そのために必要なよりよい行動を伝えるため、実際にロールプレイなどで示し、その子から意見を聞く
・予め行動のルール、約束を取り決めておく(約束が守れた時は賞賛する)

3.多動性への戦略
・(大事)多動を押さえようとせず、「動ける保証」をする
・授業中に小休止を設定したり、ストレッチ体操などを取り入れる
・子どもに完璧な態度を求めず、多少のだらしなさは容認する
・移動教室使用時は、単独行動でなく、グループで移動させるか、何らかの役割を持たせる

4.自尊心への戦略
・子ども同士の励まし合いを学級内に作り出す
・間違った行動は、叱責・指摘せず、正しい行動を教える
・集団の中で「恥ずかしい」経験をしないように配慮する

5.理解力に問題がある場合の戦略
・その子が「理解できる」レベルを評価する
-言葉は?態度は?表情は?状況の理解は?
・わかりやすい表示を心がける
-絵カード、サイン、決まり文句
・大切なのは、「もしかしたら、この子は私の言っていること、伝えていることがわかっていない、伝わっていないかもしれない」という気づき
-伝える側の工夫は必須

●学級集団作り
・意図的にクラスに「自由な雰囲気」と、「自主性」を創るために必要な「枠」を設ける
・枠は壊れたり、不安定でないようにする
・集団内にリーダーを置く(リーダーに負担をかけないようにする配慮も)
・教師は常に子どもを信頼し、しかし、絶対の安全を提示する (いざとなったら頼りになる、と思わせる)
・この「いざ」が子どものライフサイクルで異なる点に注意
※次回最終回に続く
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(2)小児発達医・まなみの診察室 第12話(最終回)

人の「認知特性」についてお話ししてきましたが、実はまだよく分かっていないことも多く、性格占いのような感じで捉えられているかもしれません。

「認知特性」というものにこだわりすぎる必要はないと思うのですが、自分自身や夫、妻、子、友人あるいは仕事相手などの「特性」を知っていると、夫婦円満のコツが分かったり、子育ての方法、仕事の取引などがスムーズにいく場合があります。

たとえば、商談の時、自分も相手も言語優位者であれば、文章化された資料を用意し、系統だてて、継時的に、起承転結をもって「ことば」でコミュニケーションを取ることをお勧めします。逆にどちらかがイメージ優位者であれば理路整然と言葉で話すのではなく、より感覚的・直感的に図や映像を使ってイメージを共有するようにすれば上手くいきます。

例をあげると、仕事であるプロジェクトをプレゼンテーションする時、言語優位の相手を目の前にして、目的、方法、リスクがこれだけあるが、利益はこれだけある、目的を達成するためにはA案とB案とC案があるが、それぞれの利点と欠点はこうだ、という具合に説明したほうが上手くいきます。すなわち、一つの話を部分・部分から全体へまとめていき、部分を全体的に組み立てる際に部分同士の順序や系列的関係を説明していくのです。

一方、相手がイメージ優位者であれば、理由はすべて後回しにし、我が社が最も勧めるB案を図やイメージでまず提示します。その上で、他の案とのリスクや利益の比較を述べ、方法を具体的に説明する方が分かりやすいと思います。すなわち全体をまず捉え、その中にある部分を関係性をもって一つずつ補足的に説明するのです。

商談だけではなく、夫婦喧嘩や子どもの躾の際にもこのテクニックは使えます。「これがこうなって、こうなるから、こういうことはしないでね」と順序立てて伝えるか、「ダメなものはダメ。なぜなら・・・こうなるから」というように結果から伝え補足的に説明するか、の違いでコミュニケーションが円滑にいく鍵となるのです。

最後に、認知特性の番外編ともいえるのですが、これまで言語や映像、文字、音などの特性優位者についてお話ししてきましたが、「からだ」を使うのが得意な人たち、「身体感覚優位者」もいます。つまり視覚と聴覚をのぞいた感覚が際立っている人ともいえるでしょうか。

「からだ」を使うのが得意なんだから、運動神経がよいスポーツ選手のような人たちでしょ。と思われるかもしれませんが、「からだの感覚」を使うのが得意な人たちを指しているのです。固有覚や前庭覚が優れたスポーツ選手はもちろんのこと、イメージを身体で表現できるダンサーや、嗅覚や味覚が際立っているソムリエや料理人、香水調合者もこのタイプに入ります。

私の従姉妹は、レストランで食べた料理にどんな調味料がどんな分量で配合されているのかが分かり、自宅でそっくりそのままの料理を作り上げます。このタイプの人は「この味はおふくろの味だ」とか「この香水で別れた人を思い出す」とか「雨のにおいがする」といったような感覚が研ぎ澄まされています。

しかしながら、視覚や聴覚以外の、身体感覚だけが際立っている人はいません。生活にはことばや記憶、イメージ、コミュニケーションが必要ですから、「身体感覚優位者」も、物事を理解したり相手に伝えるには、視覚や言語や聴覚のいずれかを用いています。ただ、言葉やイメージとは別に、味やにおい、身体の動きなどを使って記憶したり、イメージしたり、コミュニケーションする、別の手段をもっている人とも言えるかもしれません。

まだ言葉や文字が発達していない時代でも、祈りを踊りで身体で表現したり、何かを記憶する時に貧乏ゆすりをすると覚えやすくなったり、身体の別の感覚を使っての、コミュニケーションや記憶というのもあるのです。

今号で最終回となります。これまで読んで下さった方々、このような機会を与えて下さったレデックス社に感謝申し上げます。

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(3)おすすめコンテンツ「でこぼこした発達の子どもたち」

自閉症やADHDといった発達障害の代表的な分類の特徴はだんだんと知られるようになってきました。しかし、それらの特徴、こだわりや多動などの振る舞いは周囲の人を戸惑わせますが、本人にとって自然な行動ともいえます。それらの外から見て分かりやすい特徴以上に、子どもたちを困らせているの
が、聴覚や触覚、身体の平衡感覚といった「感覚」が、子ども一人ひとりで定型発達の子どもたちと違っていることです。

一例として、比較的多数の子どもが持っている「聴覚過敏」を紹介します。身の周りには様々な音が存在します。そんな環境の中でも、聴きたい人の声が理解できるのは、その声だけを認識し、他の音(騒音や同時に話している他の人の声など)に注意を振り向けないように、人間の脳が制御しているからです。ところが、その制御機能が十分でないのが聴覚過敏の子どもです。想像してみてください。いろいろな音がすべて同じ音量で、同じように聞こえてくる状態を。

私たちは、様々な感覚が自分たちと違っている子どもたちがいることを知らなければなりません。そして、その困り感を和らげる方法として本書に解説されている「感覚統合理論」について理解したいと思います。

下記ページで、本書関係者のまえがきと目次、チャプター1の途中まで、パソコン画面で立ち読みができます。
http://goo.gl/MwpOY

本書は、アメリカで50万部超のベストセラー書で「感覚統合障害についての必読書」とのことです。子どもが見せる、気になる行動の理由と、子どもの長所を伸ばす接し方のポイントが解説されています。別冊の「反応・行動チェックリスト」は、子どもの困り感の傾向がつかめるようになっています。私自身これからしっかり読み込んで、理解を深めていこうと思います。

でこぼこした発達の子どもたち キャロル・ストック・クラノウィッツ
監訳:土田玲子、訳:高松綾子、すばる舎、2011年6月発行、B5変形、
本文320頁+別冊:感覚統合発達チェックリスト24頁、2400円(税別)
http://goo.gl/MwpOY

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10月29日に神奈川県大和市で、第2回ヴァラエティカフェを開催します。本メルマガで2回に渡って紹介した大和市の自閉症療育講座テキストの執筆者、五味純子・臨床心理士の解説もあります。
http://goo.gl/b2ZOq

関心のあるテーマの小グループに参加して、先輩保護者や専門家、当事者と直接、懇談することができます。是非ご参加ください。
http://goo.gl/khGzd

次回メルマガは10月14日金曜日です。めっきり朝夕涼しくなりました。風邪をひかないように過ごしたいものです。

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